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小倉百人一首、5番札についての説明ページです。読み札(絵札)は「フリガナ付き」、取り札は「ひらがな書き」の共に縦書き。縦横比率も実物そっくりの札で百人一首を紹介します。品詞分解も大きな字と縦書きで読みやすく。
百人一首 5番 「奥山に 紅葉ふみ分け なく鹿の 声きく時ぞ 秋は悲しき」
寂しい秋の山、鹿の音が響く。
作者 猿丸太夫について
- 「さるまるのたいふ」もしくは、「さるまるだゆう」。三十六歌仙。
- ?年-?年。平安時代初期。
- 作者については不明な点が多い
- 古今集においては「よみ人しらず」となっている。
歌の解説
古今集秋上215
猿丸太夫
奥山に
紅葉ふみ分け
なく鹿の
聲きく時ぞ
秋は悲しき
奥山に
紅葉ふみ分け
なく鹿の
聲きく時ぞ
秋は悲しき
こゑきくときそあきはかなしき
- ひらがな:おくやまに もみちふみわけ なくしかの こゑきくときそ あきはかなしき
- 現代仮名遣い(読み方):おくやまに もみぢふみわけ なくしかの こえきくときぞ あきはかなしき
- 漢字書き:奥山に 紅葉ふみ分け なく鹿の 声きく時ぞ 秋は悲しき
- 現代語訳:人里離れた奥深い山、紅葉を踏み分けて鳴く鹿の声を聴くときこそ、秋の悲しさを感じるものだ。
- 意味と解説:奥山で紅葉を踏み分けたのが、作者であるか鹿であるかはよく論争となるところであるが、本訳では通説通り鹿とした。作者の耳には実際は踏み分ける音は聞こえず、姿も見えない。鳴き声のみである。
- 「ぞ」+「悲しき」で強調の係り結び。ここでは「こそ」と訳した。
- 雄鹿が雌鹿を求めて鳴く。そういった作者の思いも込められている。
品詞分解
係り結び(ぞ→悲しき)
奥山に紅葉ふみ分けなく鹿の
声きく時ぞ秋は悲しき
声きく時ぞ秋は悲しき
競技カルタ攻略
おく→こゑ
おくやまに もみぢふみわけ → こゑきくときそ あきはかなしき
百人一首 言の葉データベース
札番 | 歌 | 下の句(取り札) | よみ人 |
---|---|---|---|
1 解説 | あきのたの かりほのいほの とまをあらみ わがころもでは つゆにぬれつつ 秋の田の かりほの庵の 苫をあらみ わが衣手は 露にぬれつつ #後撰集秋 #天皇 | わかころもてはつゆにぬれつつ | 天智天皇 |
2 解説 | はるすぎて なつきにけらし しろたへの ころもほすてふ あまのかぐやま 春過ぎて 夏来にけらし 白妙の 衣ほすてふ 天の香具山 #奈良県橿原市 #新古今集夏 #二句切れ #枕詞 #体言止め #天皇 #女流歌人 | ころもほすてふあまのかくやま | 持統天皇 |
3 解説 | あしびきの やまどりのをの しだりをの ながながしよを ひとりかもねむ あしびきの 山鳥の尾の しだり尾の ながながし夜を ひとりかもねむ #拾遺集恋 #枕詞 #序詞 #係り結び | なかなかしよをひとりかもねむ | 柿本人麿 |
4 解説 | たごのうらに うちいでてみれば しろたへの ふじのたかねに ゆきはふりつつ 田子の浦に 打出でてみれば 白妙の ふじの高嶺に 雪は降りつつ #静岡県静岡市清水区由比 #新古今集冬 #枕詞 | ふしのたかねにゆきはふりつつ | 山部赤人 |
5 解説 | おくやまに もみぢふみわけ なくしかの こゑきくときぞ あきはかなしき 奥山に 紅葉ふみ分け なく鹿の 声きく時ぞ 秋は悲しき #古今集秋 #係り結び | こゑきくときそあきはかなしき | 猿丸太夫 |
6 解説 | かさゝぎの わたせるはしに おくしもの しろきをみれば よぞふけにける かさゝぎの 渡せる橋に おく霜の しろきを見れば 夜ぞふけにける #新古今集冬 #見立て #係り結び | しろきをみれはよそふけにける | 中納言家持 大伴家持 |
7 解説 | あまのはら ふりさけみれば かすがなる みかさのやまに いでしつきかも 天の原 ふりさけ見れば 春日なる みかさの山に 出でし月かも #古今集羇旅 | みかさのやまにいてしつきかも | 阿倍仲麿 |
8 解説 | わがいほは みやこのたつみ しかぞすむ よをうぢやまと ひとはいふなり わが庵は 都のたつみ しかぞ住む 世をうぢ山と 人はいふなり #古今集雑 #三句切れ #掛詞 #係り結び #京都府宇治市 | よをうちやまとひとはいふなり | 喜撰法師 |
9 解説 | はなのいろは うつりにけりな いたづらに わがみよにふる ながめせしまに 花の色は 移りにけりな 徒に 我が身世にふる ながめせしまに #古今集春 #二句切れ #掛詞 #倒置法 #女流歌人 | わかみよにふるなかめせしまに | 小野小町 |
10 解説 | これやこの ゆくもかへるも わかれては しるもしらぬも あふさかのせき これや此の 行くも帰るも 別かれては 知るも知らぬも 逢坂の関 #滋賀県大津市 #後撰集雑 #掛詞 #体言止め | しるもしらぬもあふさかのせき | 蝉丸 |
11 解説 | わたのはら やそしまかけて こぎいでぬと ひとにはつげよ あまのつりぶね わたの原 八十島かけて 漕ぎ出でぬと 人にはつげよ 海人の釣舟 #古今集羇旅 #四句切 #擬人法 #体言止め | ひとにはつけよあまのつりふね | 参議篁 小野篁 |
12 解説 | あまつかぜ くものかよひぢ ふきとぢよ をとめのすがた しばしとどめむ 天つ風 雲のかよひぢ 吹きとぢよ をとめの姿 しばし留めむ #古今集雑 #三句切れ #見立て | をとめのすかたしはしととめむ | 僧正遍昭 |
13 解説 | つくばねの みねよりおつる みなのがは こひぞつもりて ふちとなりぬる 筑波嶺の 峯より落つる みなの川 恋ぞつもりて 淵となりぬる #茨城県つくば市 #後撰集恋 #序詞 #係り結び #天皇 | こひそつもりてふちとなりぬる | 陽成院 |
14 解説 | みちのくの しのぶもぢずり たれゆゑに みだれそめにし われならなくに 陸奥の しのぶもぢずり 誰故に みだれ初めにし 我ならなくに #福島県福島市 #古今集恋 #四句切れ #序詞 #縁語 #倒置法 #掛詞 | みたれそめにしわれならなくに | 河原左大臣 源融 |
15 解説 | きみがため はるののにいでて わかなつむ わがころもでに ゆきはふりつつ 君がため 春の野に出でて 若菜つむ わが衣手に 雪は降りつつ #古今集春上 #天皇 | わかころもてにゆきはふりつつ | 光孝天皇 |
16 解説 | たちわかれ いなばのやまの みねにおふる まつとしきかば いまかへりこむ 立ち別れ いなばの山の 嶺におふる まつとし聞かば 今帰り来む #鳥取県鳥取市 #古今集離別 #掛詞 #序詞 | まつとしきかはいまかへりこむ | 中納言行平 在原行平 |
17 解説 | ちはやぶる かみよもきかず たつたがは からくれなゐに みづくくるとは ちはやぶる 神代も聞かず 竜田川 唐紅に 水くくるとは #古今集秋 #二句切れ #枕詞 #擬人法 #見立て #倒置法 #奈良県生駒郡斑鳩町 | からくれなゐにみつくくるとは | 在原業平朝臣 |
18 解説 | すみのえの きしによるなみ よるさへや ゆめのかよひぢ ひとめよくらむ 住の江の 岸に寄る浪 よるさへや 夢の通ひ路 人目よくらむ #大阪府大阪市住吉区 #古今集恋 #序詞 #係り結び | ゆめのかよひちひとめよくらむ | 藤原敏行朝臣 |
19 解説 | なにはがた みじかきあしの ふしのまも あはでこのよを すぐしてよとや 難波潟 短き葦の ふしのまも あはで此の世を すぐしてよとや #大阪府大阪市 #新古今集恋 #序詞 #掛詞 #縁語 #係り結び #女流歌人 | あはてこのよをすくしてよとや | 伊勢 |
20 解説 | わびぬれば いまはたおなじ なにはなる みをつくしても あはむとぞおもふ 侘びぬれば 今はた同じ 難波なる 身をつくしても 逢はむとぞ思ふ #大阪府大阪市 #後撰集恋 #二句切れ #掛詞 #係り結び | みをつくしてもあはむとそおもふ | 元良親王 |
21 解説 | いまこむと いひしばかりに ながつきの ありあけのつきを まちいでつるかな 今来むと いひしばかりに 長月の 有明の月を 待ち出でつるかな #古今集恋 | ありあけのつきをまちいてつるかな | 素性法師 |
22 解説 | ふくからに あきのくさきの しをるれば むべやまかぜを あらしといふらむ 吹くからに 秋の草木の しをるれば むべ山風を あらしといふらむ #古今集秋 #掛詞 | むへやまかせをあらしといふらむ | 文屋康秀 |
23 解説 | つきみれば ちゞにものこそ かなしけれ わがみひとつの あきにはあらねど 月見れば 千々に物こそ 悲しけれ わが身ひとつの 秋にはあらねど #古今集秋 #三句切れ #倒置法 #係り結び | わかみひとつのあきにはあらねと | 大江千里 |
24 解説 | このたびは ぬさもとりあへず たむけやま もみぢのにしき かみのまにまに このたびは 幣もとりあへず 手向山 紅葉の錦 神のまにまに #古今集羇旅 #二句切れ #見立て | もみちのにしきかみのまにまに | 菅家 藤原道真 |
25 解説 | なにしおはば あふさかやまの さねかづら ひとにしられで くるよしもがな 名にし負はば 逢坂山の さねかづら 人にしられで くるよしもがな #後撰集恋 #掛詞 #縁語 #滋賀県大津市 | ひとにしられてくるよしもかな | 三条右大臣 藤原定方 |
26 解説 | をぐらやま みねのもみぢば こゝろあらば いまひとたびの みゆきまたなむ 小倉山 峯の紅葉ば 心あらば 今ひとたびの みゆき待たなむ #京都府京都市右京区 #擬人法 #拾遺集秋 | いまひとたひのみゆきまたなむ | 貞信公 藤原忠平 |
27 解説 | みかのはら わきてながるる いづみがは いつみきとてか こひしかるらむ みかの原 わきて流るる 泉川 いつみきとてか 恋しかるらむ #新古今集恋 #序詞 #掛詞 #縁語 #係り結び #京都府木津川市 | いつみきとてかこひしかるらむ | 中納言兼輔 藤原兼輔 |
28 解説 | やまざとは ふゆぞさびしさ まさりける ひとめもくさも かれぬとおもへば 山里は 冬ぞ寂しさ まさりける 人目も草も かれぬと思へば #古今集冬 #三句切れ #掛詞 #倒置法 #係り結び | ひとめもくさもかれぬとおもへは | 源宗于朝臣 |
29 解説 | こゝろあてに をらばやをらむ はつしもの おきまどはせる しらぎくのはな 心あてに 折らばや折らむ 初霜の 置きまどはせる 白菊の花 #古今集秋 #二句切れ #倒置法 #体言止め #係り結び | おきまとはせるしらきくのはな | 凡河内躬恒 |
30 解説 | ありあけの つれなくみえし わかれより あかつきばかり うきものはなし 有明の つれなく見えし 別れより 暁ばかり 憂きものはなし #古今集恋 | あかつきはかりうきものはなし | 壬生忠岑 |
31 解説 | あさぼらけ ありあけのつきと みるまでに よしののさとに ふれるしらゆき 朝ぼらけ 有明の月と 見るまでに 吉野の里に 降れる白雪 #古今集冬 #奈良県吉野郡吉野町 #体言止め | よしののさとにふれるしらゆき | 坂上是則 |
32 解説 | やまがはに かぜのかけたる しがらみは ながれもあへぬ もみぢなりけり 山川に 風のかけたる しがらみは 流れもあへぬ 紅葉なりけり #古今集秋 #擬人法 #見立て | なかれもあへぬもみちなりけり | 春道列樹 |
33 解説 | ひさかたの ひかりのどけき はるのひに しづごころなく はなのちるらむ ひさかたの 光のどけき 春の日に しづごころなく 花の散るらむ #古今集春 #枕詞 #擬人法 | しつこころなくはなのちるらむ | 紀友則 |
34 解説 | たれをかも しるひとにせむ たかさごの まつもむかしの ともならなくに 誰をかも 知る人にせむ 高砂の 松も昔の 友ならなくに #古今集雑上 #兵庫県高砂市 #二句切れ #倒置法 #係り結び | まつもむかしのともならなくに | 藤原興風 |
35 解説 | ひとはいさ こゝろもしらず ふるさとは はなぞむかしの かににほひける 人はいさ 心もしらず ふるさとは 花ぞ昔の 香に匂ひける #古今集春 #二句切れ #係り結び | はなそむかしのかににほひける | 紀貫之 |
36 解説 | なつのよは まだよひながら あけぬるを くものいづこに つきやどるらむ 夏の夜は まだ宵ながら あけぬるを 雲のいづこに 月宿るらむ #古今集夏 #擬人法 | くものいつこにつきやとるらむ | 清原深養父 |
37 解説 | しらつゆに かぜのふきしく あきののは つらぬきとめぬ たまぞちりける 白露に 風の吹きしく 秋の野は つらぬきとめぬ 玉ぞ散りける #後撰集秋 #見立て #係り結び | つらぬきとめぬたまそちりける | 文屋朝康 |
38 解説 | わすらるる みをばおもはず ちかひてし ひとのいのちの をしくもあるかな 忘らるる 身をば思はず 誓ひてし 人の命の 惜しくもあるかな #拾遺集恋 #二句切れ #女流歌人 | ひとのいのちのをしくもあるかな | 右近 |
39 解説 | あさぢふの をののしのはら しのぶれど あまりてなどか ひとのこひしき 浅茅生の 小野の篠原 しのぶれど あまりてなどか 人の恋しき #後撰集恋 #序詞 #係り結び | あまりてなとかひとのこひしき | 参議等 源等 |
40 解説 | しのぶれど いろにいでにけり わがこひは ものやおもふと ひとのとふまで しのぶれど 色に出でにけり わが恋は ものや思ふと 人の問ふまで #拾遺集恋 #二句切れ #倒置法 #係り結び | ものやおもふとひとのとふまて | 平兼盛 |
41 解説 | こひすてふ わがなはまだき たちにけり ひとしれずこそ おもひそめしか 恋すてふ わが名はまだき 立ちにけり 人知れずこそ 思ひそめしか #拾遺集恋一 #三句切れ #倒置法 #係り結び | ひとしれすこそおもひそめしか | 壬生忠見 |
42 解説 | ちぎりきな かたみにそでを しぼりつつ すゑのまつやま なみこさじとは 契りきな かたみに袖を しぼりつつ 末の松山 浪こさじとは #後拾遺集恋四 #初句切れ #倒置法 #歌枕 #本歌取り #宮城県多賀城市 | すゑのまつやまなみこさしとは | 清原元輔 |
43 解説 | あひみての のちのこころに くらぶれば むかしはものを おもはざりけり 逢ひみての 後の心に くらぶれば 昔はものを 思はざりけり #拾遺集恋二 | むかしはものをおもはさりけり | 権中納言敦忠 藤原淳忠 |
44 解説 | あふことの たえてしなくば なかなかに ひとをもみをも うらみざらまし 逢ふことの 絶えてしなくば なかなかに 人をも身をも 恨みざらまし #拾遺集恋一 | ひとをもみをもうらみさらまし | 中納言朝忠 藤原朝忠 |
45 解説 | あはれとも いふべきひとは おもほえで みのいたづらに なりぬべきかな 哀れとも いふべき人は 思ほえで 身のいたづらに なりぬべきかな #拾遺集恋五 | みのいたつらになりぬへきかな | 謙徳公 藤原伊尹 |
46 解説 | ゆらのとを わたるふなびと かぢをたえ ゆくへもしらぬ こひのみちかな 由良の門を わたる舟人 梶をたえ 行方もしらぬ 恋の道かな #京都府宮津市 #新古今集恋一 #序詞 #縁語 | ゆくへもしらぬこひのみちかな | 曽根好忠 |
47 解説 | やへむぐら しげれるやどの さびしきに ひとこそみえね あきはきにけり 八重葎 しげれる宿の さびしきに 人こそ見えね 秋はきにけり #拾遺集 #係り結び | ひとこそみえねあきはきにけり | 恵慶法師 |
48 解説 | かぜをいたみ いはうつなみの おのれのみ くだけてものを おもふころかな 風をいたみ 岩うつ浪の おのれのみ 砕けてものを 思ふ頃かな #詞花集恋上 #序詞 | くたけてものをおもふころかな | 源重之 |
49 解説 | みかきもり ゑじのたくひの よるはもえ ひるはきえつつ ものをこそおもへ 御垣守 衛士のたく火の 夜はもえ 昼は消えつつ ものをこそ思へ #詞花集恋上 #序詞 #係り結び | ひるはきえつつものをこそおもへ | 大中臣能宣朝臣 |
50 解説 | きみがため をしからざりし いのちさへ ながくもがなと おもひけるかな 君がため 惜しからざりし 命さへ 長くもがなと 思ひけるかな #後拾遺集恋 | なかくもかなとおもひけるかな | 藤原義孝 |
51 解説 | かくとだに えやはいぶきの さしもぐさ さしもしらじな もゆるおもひを かくとだに えやはいぶきの さしも草 さしも知らじな もゆる思ひを #滋賀県米原市 #後拾遺集恋一 #四句切れ #序詞 #掛詞 #縁語 #倒置法 | さしもしらしなもゆるおもひを | 藤原実方朝臣 |
52 解説 | あけぬれば くるるものとは しりながら なほうらめしき あさぼらけかな 明けぬれば くるるものとは 知りながら なほ恨めしき 朝ぼらけかな #後拾遺集恋 | なほうらめしきあさほらけかな | 藤原道信朝臣 |
53 解説 | なげきつつ ひとりぬるよの あくるまは いかにひさしき ものとかはしる 嘆きつつ ひとり寝る夜の 明くるまは いかに久しき ものとかは知る #拾遺集恋四 #係り結び #女流歌人 | いかにひさしきものとかはしる | 右大将道綱母 |
54 解説 | わすれじの ゆくすゑまでは かたければ けふをかぎりの いのちともがな 忘れじの 行末までは 難ければ 今日を限りの 命ともがな #新古今集恋三 #女流歌人 | けふをかきりのいのちともかな | 儀同三司母 |
55 解説 | たきのおとは たえてひさしく なりぬれど なこそながれて なほきこえけれ 瀧の音は たえて久しく なりぬれど 名こそ流れて なほ聞えけれ # 京都府京都市右京区 #千載集雑上 #縁語 #掛詞 #係り結び | なこそなかれてなほきこえけれ | 大納言公任 藤原公任 |
56 解説 | あらざらむ このよのほかの おもひでに いまひとたびの あふこともがな あらざらむ この世のほかの 思ひ出に 今ひとたびの 逢ふこともがな #後拾遺集恋三 #女流歌人 | いまひとたひのあふこともかな | 和泉式部 |
57 解説 | めぐりあひて みしやそれとも わかぬまに くもがくれにし よはのつきかな めぐり逢ひて 見しやそれとも わかぬまに 雲がくれにし 夜半の月かな #新古今集雑 #縁語 #係り結び #女流歌人 | くもかくれにしよはのつきかな | 紫式部 |
58 解説 | ありまやま ゐなのささはら かぜふけば いでそよひとを わすれやはする 有馬山 猪名のささ原 風吹けば いでそよ人を 忘れやはする #兵庫県神戸市北区 #後拾遺集恋二 #序詞 #掛詞 #係り結び #女流歌人 | いてそよひとをわすれやはする | 大弐三位 |
59 解説 | やすらはで ねなましものを さよふけて かたぶくまでの つきをみしかな やすらはで 寝なましものを 小夜更けて 傾くまでの 月を見しかな #後拾遺集恋二 #女流歌人 | かたふくまてのつきをみしかな | 赤染衛門 |
60 解説 | おほえやま いくののみちの とほければ まだふみもみず あまのはしだて 大江山 いく野の道の 遠ければ まだふみも見ず 天の橋立 #京都府宮津市 #京都府福知山市 #金葉集雑 #掛詞 #縁語 #倒置法 #体言止め #女流歌人 | またふみもみすあまのはしたて | 小式部内侍 |
61 解説 | いにしへの ならのみやこの やへざくら けふここのへに にほひぬるかな 古への 奈良の都の 八重ざくら 今日九重に 匂ひぬるかな #詞花集春 #女流歌人 | けふここのへににほひぬるかな | 伊勢大輔 |
62 解説 | よをこめて とりのそらねは はかるとも よにあふさかの せきはゆるさじ 夜をこめて 鳥のそら音は はかるとも 世に逢坂の 関はゆるさじ #後拾遺集雑 #掛詞 #滋賀県大津市 #女流歌人 | よにあふさかのせきはゆるさし | 清少納言 |
63 解説 | いまはただ おもひたえなむ とばかりを ひとづてならで いふよしもがな 今はただ 思ひ絶えなむ とばかりを 人づてならで 言ふよしもがな #後拾遺集恋三 | ひとつてならていふよしもかな | 左京大夫道雅 藤原道雅 |
64 解説 | あさぼらけ うぢのかはぎり たえだえに あらはれわたる せぜのあじろぎ 朝ぼらけ 宇治の川霧 絶えだえに あらはれ渡る 瀬々の網代木 #京都府宇治市 #千載集冬 #体言止め | あらはれわたるせせのあしろき | 権中納言定頼 藤原定頼 |
65 解説 | うらみわび ほさぬそでだに あるものを こひにくちなむ なこそをしけれ 恨み侘び ほさぬ袖だに あるものを 恋に朽ちなむ 名こそ惜しけれ #後拾遺集恋四 #係り結び #女流歌人 | こひにくちなむなこそをしけれ | 相模 |
66 解説 | もろともに あはれとおもへ やまざくら はなよりほかに しるひともなし 諸共に あはれと思へ 山ざくら 花よりほかに 知る人もなし #金葉集雑上 #三句切れ #擬人法 #奈良県吉野郡天川村 | はなよりほかにしるひともなし | 前大僧正行尊 |
67 解説 | はるのよの ゆめばかりなる たまくらに かひなくたたむ なこそをしけれ 春の夜の 夢ばかりなる 手枕に かひなく立たむ 名こそ惜しけれ #千載集雑上 #掛詞 #係り結び #女流歌人 | かひなくたたむなこそをしけれ | 周防内侍 |
68 解説 | こゝろにも あらでうきよに ながらへば こひしかるべき よはのつきかな 心にも あらで憂世に ながらへば 恋しかるべき 夜半の月かな #後拾遺集雑一 #天皇 | こひしかるへきよはのつきかな | 三条院 |
69 解説 | あらしふく みむろのやまの もみぢばは たつたのかはの にしきなりけり 嵐ふく 三室の山の もみぢ葉は 竜田の川の 錦なりけり #後拾遺集秋 #見立て #歌枕 #本歌取り #奈良県生駒郡斑鳩町 | たつたのかはのにしきなりけり | 能因法師 |
70 解説 | さびしさに やどをたちいでて ながむれば いづくもおなじ あきのゆふぐれ 寂しさに 宿を立ち出でて 眺むれば いづくも同じ 秋の夕暮れ #後拾遺集秋上 #体言止め | いつくもおなしあきのゆふくれ | 良暹法師 |
71 解説 | ゆふされば かどたのいなば おとづれて あしのまろやに あきかぜぞふく 夕されば 門田の稲葉 おとづれて あしのまろやに 秋風ぞ吹く #金葉集秋 #係り結び #京都府京都市右京区 | あしのまろやにあきかせそふく | 大納言経信 源経信 |
72 解説 | おとにきく たかしのはまの あだなみは かけじやそでの ぬれもこそすれ 音に聞く 高師の浜の あだ浪は かけじや袖の ぬれもこそすれ #金葉集恋下 #四句切れ #掛詞 #縁語 #係り結び #女流歌人 #大阪府堺市 | かけしやそてのぬれもこそすれ | 祐子内親王家紀伊 |
73 解説 | たかさごの をのへのさくら さきにけり とやまのかすみ たたずもあらなむ 高砂の 尾の上の桜 咲きにけり 外山の霞 立たずもあらなむ #後拾遺集春上 #三句切れ | とやまのかすみたたすもあらなむ | 権中納言匡房 大江匡房 |
74 解説 | うかりける ひとをはつせの やまおろし はげしかれとは いのらぬものを うかりける 人を初瀬の 山おろし はげしかれとは 祈らぬものを #千載集恋二 #擬人法 | はけしかれとはいのらぬものを | 源俊頼朝臣 |
75 解説 | ちぎりおきし させもがつゆを いのちにて あはれことしの あきもいぬめり 契りおきし させもが露を 命にて あはれ今年の 秋も去ぬめり #千載集雑上 #縁語 | あはれことしのあきもいぬめり | 藤原基俊 |
76 解説 | わたのはら こぎいでてみれば ひさかたの くもゐにまがふ おきつしらなみ わたの原 漕ぎ出でて見れば 久方の 雲居にまがふ 沖つ白浪 #詞花集雑 #枕詞 #体言止め | くもゐにまかふおきつしらなみ | 法性寺入道前関白太政大臣 藤原忠通 |
77 解説 | せをはやみ いはにせかるる たきがはの われてもすゑに あはむとぞおもふ 瀬を早み 岩にせかるる 滝川の われても末に 逢はむとぞ思ふ #詞花集恋 #序詞 #係り結び #天皇 | われてもすゑにあはむとそおもふ | 崇徳院 |
78 解説 | あはぢしま かよふちどりの なくこゑに いくよねざめぬ すまのせきもり 淡路島 かよふ千鳥の 鳴く声に いく夜寝覚めぬ 須磨の関守 #兵庫県神戸市 #金葉集冬 #四句切れ #倒置法 #体言止め | いくよねさめぬすまのせきもり | 源兼昌 |
79 解説 | あきかぜに たなびくくもの たえまより もれいづるつきの かげのさやけさ 秋風に たなびく雲の 絶間より もれ出づる月の 影のさやけさ #新古今集秋上 #体言止め | もれいつるつきのかけのさやけさ | 左京大夫顕輔 藤原顕輔 |
80 解説 | ながからむ こころもしらず くろかみの みだれてけさは ものをこそおもへ ながからむ 心も知らず 黒髪の みだれて今朝は ものをこそ思へ #千載集恋三 #縁語 #係り結び #女流歌人 | みたれてけさはものをこそおもへ | 待賢門院堀河 |
81 解説 | ほととぎす なきつるかたを ながむれば ただありあけの つきぞのこれる ほととぎす 鳴きつる方を 眺むれば ただ有明の 月ぞ残れる #千載集夏 #係り結び | たたありあけのつきそのこれる | 後徳大寺左大臣 藤原実定 |
82 解説 | おもひわび さてもいのちは あるものを うきにたへぬは なみだなりけり 思ひわび さても命は あるものを 憂きに堪へぬは 涙なりけり #千載集恋三 | うきにたへぬはなみたなりけり | 道因法師 |
83 解説 | よのなかよ みちこそなけれ おもひいる やまのおくにも しかぞなくなる 世の中よ 道こそなけれ 思ひ入る 山の奥にも 鹿ぞ鳴くなる #千載集雑中 #二句切れ #係り結び | やまのおくにもしかそなくなる | 皇太后宮大夫俊成 |
84 解説 | ながらへば またこのごろや しのばれむ うしとみしよぞ いまはこひしき ながらへば また此の頃や しのばれむ 憂しと見し世ぞ 今は恋しき #新古今集雑下 #三句切れ #係り結び | うしとみしよそいまはこひしき | 藤原清輔朝臣 |
85 解説 | よもすがら ものおもふころは あけやらで ねやのひまさへ つれなかりけり 夜もすがら もの思ふ頃は 明けやらで ねやのひまさへ つれなかりけり #千載集恋二 | ねやのひまさへつれなかりけり | 俊恵法師 |
86 解説 | なげけとて つきやはものを おもはする かこちがほなる わがなみだかな 嘆けとて 月やはものを 思はする かこち顔なる わが涙かな #千載集恋五 #三句切れ #擬人法 #係り結び | かこちかほなるわかなみたかな | 西行法師 |
87 解説 | むらさめの つゆもまだひぬ まきのはに きりたちのぼる あきのゆふぐれ 村雨の 露もまだひぬ 槙の葉に 霧立ちのぼる 秋の夕暮れ #新古今集秋下 #体言止め | きりたちのほるあきのゆふくれ | 寂蓮法師 |
88 解説 | なにはえの あしのかりねの ひとよゆゑ みをつくしてや こひわたるべき 難波江の あしのかりねの 一夜ゆゑ みをつくしてや 恋ひわたるべき #千載集恋三 #序詞 #掛詞 #縁語 #係り結び #女流歌人 #大阪府大阪市 | みをつくしてやこひわたるへき | 皇嘉門院別当 |
89 解説 | たまのをよ たえなばたえね ながらへば しのぶることの よはりもぞする 玉の緒よ たえなば絶えね ながらへば 忍ぶることの 弱りもぞする #新古今集恋一 #二句切れ #縁語 #係り結び #女流歌人 | しのふることのよはりもそする | 式子内親王 |
90 解説 | みせばやな をじまのあまの そでだにも ぬれにぞぬれし いろはかはらず 見せばやな 雄島のあまの 袖だにも 濡れにぞ濡れし 色はかはらず #宮城県松島町 #千載集恋四 #初句切れ #四句切れ #本歌取り #係り結び #女流歌人 | ぬれにそぬれしいろはかはらす | 殷富門院大輔 |
91 解説 | きりぎりす なくやしもよの さむしろに ころもかたしき ひとりかもねむ きりぎりす なくや霜夜の さむしろに 衣かたしき ひとりかも寝む #新古今集秋 #掛詞 #本歌取り #係り結び | ころもかたしきひとりかもねむ | 後京極摂政前太政大臣 藤原(九条)良経 |
92 解説 | わがそでは しほひにみえぬ おきのいしの ひとこそしらね かわくまもなし わが袖は 汐干に見えぬ 沖の石の 人こそ知らね 乾く間もなし #千載集恋二 #序詞 #本歌取り #係り結び #女流歌人 | ひとこそしらねかわくまもなし | 二条院讃岐 |
93 解説 | よのなかは つねにもがもな なぎさこぐ あまのをぶねの つなでかなしも 世の中は 常にもがもな 渚こぐ 海人の小舟の 綱手かなしも #新勅撰集羇旅 #二句切れ #本歌取り | あまのをふねのつなてかなしも | 鎌倉右大臣 源実朝 |
94 解説 | みよしのの やまのあきかぜ さよふけて ふるさとさむく ころもうつなり み吉野の 山の秋風 小夜更けて ふるさと寒く 衣うつなり #新古今集秋 #奈良県吉野町 #本歌取り | ふるさとさむくころもうつなり | 参議雅経 藤原雅経 |
95 解説 | おほけなく うきよのたみに おほふかな わがたつそまに すみぞめのそで おほけなく うき世の民に おほふかな 我が立つ杣に 墨染の袖 #千載集雑中 #三句切れ #掛詞 #縁語 #本歌取り #倒置法 #体言止め #滋賀県大津市 | わかたつそまにすみそめのそて | 前大僧正慈圓 |
96 解説 | はなさそふ あらしのにはの ゆきならで ふりゆくものは わがみなりけり 花さそふ あらしの庭の 雪ならで ふりゆくものは 我が身なりけり #新勅撰集雑一 #掛詞 #擬人法 #見立て | ふりゆくものはわかみなりけり | 入道前太政大臣 藤原公経 |
97 解説 | こぬひとを まつほのうらの ゆふなぎに やくやもしほの みもこがれつつ 来ぬ人を 松帆の浦の 夕なぎに 焼くや藻塩の 身もこがれつつ #新勅撰集恋 #序詞 #掛詞 #縁語 #本歌取り #兵庫県淡路市 | やくやもしほのみもこかれつつ | 権中納言定家 藤原定家 |
98 解説 | かぜそよぐ ならのをがはの ゆふぐれは みそぎぞなつの しるしなりける 風そよぐ 楢の小川の 夕暮れは みそぎぞ夏の しるしなりける #新勅撰集夏 #掛詞 #本歌取り #係り結び #京都府京都市北区 | みそきそなつのしるしなりける | 従二位家隆 藤原家隆 |
99 解説 | ひともをし ひともうらめし あぢきなく よをおもふゆゑに ものおもふみは 人もをし 人もうらめし あぢきなく 世を思ふ故に もの思ふ身は #続後撰集雑中 #二句切れ #倒置法 #天皇 | よをおもふゆゑにものおもふみは | 後鳥羽院 |
100 解説 | ももしきや ふるきのきばの しのぶにも なほあまりある むかしなりけり 百敷や 古き軒端の しのぶにも なほあまりある 昔なりけり #続後撰集雑下 #掛詞 #天皇 | なほあまりあるむかしなりけり | 順徳院 |