古文 百人一首で学ぶ古典文法 動詞活用編

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古文の文法は英文法の学習と変わらないと考えて割り切れば意外と簡単です。

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動詞と形容詞、形容動詞の区別

言い切り型(終止形)にしたときに、ウ段で終わる

動詞

※ラ変(り、り、はべり、いますがり)のみイ段

言い切り型(終止形)にしたときに、「し」、「じ」で終わる

形容詞

言い切り型(終止形)にしたときに、「なり」「たり」で終わる

形容動詞

活用形と使用母音

蹴る
A 四段活用 ラ行変格 ナ行変格 - - - - - -
I - - 上一段 上二段 カ行変格 サ行変格
U 下二段
E 下一段 - - -
O - - - - - - - カ行変格 -

係り結び

  • 「か・や・なむ・ぞ体、こそ已然」
反語・疑問 疑問 強意(強調) 意味

なむ

弱い強意

こそ

強い強意

 

連体形 已然形

も寝

3番

折ら

29番

なむまさり

伊勢物語二段

ぞ思ふ

20番

こそ悲しけれ

23番

係り結びの百人一首事例解説
※反語とは、○○だろうか、いや、ない。という意
反語 不安 意味
やは かは もぞ
連体形

やはする

58番

かは知る

53番

もぞする

89番

係り結びの百人一首事例解説
※不安とは、○○だろうか、それは困る。という意

動詞の活用

未然
まだそうなっていない状態のこと。
連用
文中で文を区切る、用言に連なる。
終止
文を終止する。基本形であり辞書はこの形。
連体
名詞などの体言に連なる。
已然
すでにそうなっている状態のこと、「ば」などを伴い確定(している)条件などを表す。
命令
命令

四段活用(あ・い・う・えの四段)

  • 「咲く、言ふ、逢ふ、にほふ、」など
  • A-I-U-U-E-E の活用
未然形 活用形
連用形
終止形
連体形
已然形
命令形
解説 解説 解説 解説

例(20番)

侘びバ上二(連用)ぬれ完了(已然)ば 今はた同じシク(終止) 難波なる存在(連体) 身をつくしサ四(連用)ても 逢はハ四(未然)むとぞ思ふハ四(連体)

ラ行変格活用

  • り、り、はべり、いますがり」の4語のみ
  • 活用形を覚える事よりも、この4語のみであることを覚える方が重要である。
  • 四段活用との違いは終止形が「り」であることのみ。
あ・を・はべ・いますが
未然形 活用形
連用形
終止形
連体形
已然形
命令形
解説

例(38番)

忘らラ四(未然)るる受身(連体) 身をば思はハ四(未然)打消(終止) 誓ひハ四(連用)完了(連用)過去(連体) 人の命の 惜しくシク(連用)あるラ変(連体)かな

ナ行変格活用

  • 「死ぬ、ぬ(ぬ)」の2語のみ
  • ラ変と同様、2語のみであることを覚えることが重要。
  • 四段活用とは連体、已然が異なる。連体と已然は下二段活用の形をとる。
し・い
未然形 活用形
連用形
終止形
ぬる 連体形
ぬれ 已然形
命令形
解説

例(75番)

契りおきカ四(連用)過去(連体) させもが露を 命断定(連用)て あはれ今年の 秋も去ぬナ変(終止)めり推量(終止)

下一段活用(けの下一段のみ)

  • 「蹴る」の一語のみであることを必ず覚えること。
  • 「け、け、ける、ける、けれ、けよ」の活用
未然形 活用形
連用形
ける 終止形
ける 連体形
けれ 已然形
けよ 命令形
解説

下二段活用(う・えの下二段)

  • 「受く、出づ、寝(ぬ)」など
  • E-E-U-Uる-Uれ-Eよ の活用
未然形 活用形
連用形
終止形
るる ふる ぬる ずる する ぐる くる うる 連体形
るれ ふれ ぬれ ずれ すれ ぐれ くれ うれ 已然形
れよ へよ ねよ ぜよ せよ げよ けよ えよ 命令形
解説 解説
※他に、バ、タ、ダ、マ、ヤ、ラ、ワがある。

例(52番)

明けカ下二(連用)ぬれ完了助動(已然)くるるラ下二(連体)ものとは知りラ四(連用)ながらなほ恨めしき形容シク(連体)朝ぼらけかな

上一段活用(いの上一段のみ)

  • 「着る、似る、る、見る、射る、居る」がある
  • 百人一首では13首あるが、そのうち、12は「見る」、1つが「る」である
  • 「見る」のマ行上一段活用が重要である。
  • I-I-Iる-Iる-Iれ-Iよ の活用
未然形 活用形

連用形
ゐる いる みる ひる にる きる 終止形
ゐる いる みる ひる にる きる 連体形
ゐれ いれ みれ ひれ にれ きれ 已然形
ゐよ いよ みよ ひよ によ きよ 命令形
解説 解説

上二段活用(い、うの上二段)

  • 「起く、恥づ、恨む」など
  • I-I-U-Uる-Uれ-Iよ の活用
未然形 活用形
連用形
終止形
ゆる むる ぶる ふる づる つる ぐる くる 連体形
ゆれ むれ ぶれ ふれ づれ つれ ぐれ くれ 已然形
いよ みよ びよ ひよ ぢよ ちよ ぎよ きよ 命令形
解説 解説
※他に、がある。(下るなど)

カ行変格活用

  • 」の一語のみであることを必ず覚えること。
  • 「こ・き・く・くる・くれ・こ」の活用
  • 「こ」、母音オを用いる唯一の活用形
未然形 活用形
連用形
終止形
くる 連体形
くれ 已然形
こ(こよ) 命令形
解説

サ行変格活用

  • 」の一語のみであることを必ず覚えること。
  • 「おはす」の他にも、「愛す、命ず」などとあわせた複合語も含む
  • 「せ・し・す・する・すれ・せよ」の活用
未然形 活用形
連用形
終止形
する 連体形
すれ 已然形
せよ 命令形
解説