枕詞 「はるがすみ/春霞」の和歌集 万葉集、古今、後撰、拾遺、新古今和歌集などから72首!

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「はるがすみ」の歌

「はるがすみ(はるかすみ)」は春日、立つ、おぼ、よそに、井の上などにかかる枕詞

「春霞」と書く。音から「春日」、霞が立つから「立つ」。

霞でみえないから「よそに」などから枕詞となる。

「はるがすみ」の歌集ごとの数と割合

万葉 古今 後撰 拾遺 後拾 金葉 詞花 千載 新古
18 21 6 10 4 5 1 2 5
0.4 1.9 0.4 0.7 0.3 0.8 0.2 0.2 0.3
※上は歌の数、下は割合(パーセント)です
※カウントは枕詞、そのままの意味の両方をカウントしています

百人一首

なし

万葉集

3巻-407 大伴駿河麻呂春霞春日の里の植ゑ子水葱苗なりと言ひし枝はさしにけむ

4巻-789 大伴家持心ぐく思ほゆるかも春霞たなびく時に言の通へば

7巻-1256 古歌集春霞井の上ゆ直に道はあれど君に逢はむとた廻り来も

8巻-1450 坂上郎女心ぐきものにぞありける春霞たなびく時に恋の繁きは

8巻-1464 大伴家持春霞たなびく山のへなれれば妹に逢はずて月ぞ経にける

9巻-1771 後れ居て我れはや恋ひむ春霞たなびく山を君が越え去なば

10巻-1813 柿本人麻呂歌集巻向の桧原に立てる春霞おほにし思はばなづみ来めやも

10巻-1821 春霞流るるなへに青柳の枝くひ持ちて鴬鳴くも

10巻-1843 昨日こそ年は果てしか春霞春日の山に早立ちにけり

10巻-1862 雪見ればいまだ冬なりしかすがに春霞立ち梅は散りつつ

10巻-1874 春霞たなびく今日の夕月夜清く照るらむ高松の野に

10巻-1881 春霞立つ春日野を行き返り我れは相見むいや年のはに

10巻-1888 白雪の常敷く冬は過ぎにけらしも春霞たなびく野辺の鴬鳴くも

10巻-1909 春霞山にたなびきおほほしく妹を相見て後恋ひむかも

10巻-1910 春霞立ちにし日より今日までに我が恋やまず本の繁けば (片思にして)

10巻-2250 春霞たなびく田居に廬つきて秋田刈るまで思はしむらく

13巻-3227 葦原の 瑞穂の国に 手向けすと 天降りましけむ 五百万 千万神の 神代より 言ひ継ぎ来る 神なびの みもろの山は 春されば 春霞立つ 秋行けば 紅にほふ 神なびの みもろの神の 帯ばせる 明日香の川の 水脈早み 生しためかたき 石枕 苔生すまでに 新夜の 幸く通はむ 事計り 夢に見せこそ 剣太刀 斎ひ祭れる 神にしませば

20巻-4398 大伴家持大君の 命畏み 妻別れ 悲しくはあれど 大夫の 心振り起し 取り装ひ 門出をすれば たらちねの 母掻き撫で 若草の 妻は取り付き 平らけく 我れは斎はむ ま幸くて 早帰り来と 真袖もち 涙を拭ひ むせひつつ 言問ひすれば 群鳥の 出で立ちかてに とどこほり かへり見しつつ いや遠に 国を来離れ いや高に 山を越え過ぎ 葦が散る 難波に来居て 夕潮に 船を浮けすゑ 朝なぎに 舳向け漕がむと さもらふと 我が居る時に 春霞 島廻に立ちて 鶴が音の 悲しく鳴けば はろはろに 家を思ひ出 負ひ征矢の そよと鳴るまで 嘆きつるかも

古今和歌集

3-春上 読人知らず 春霞 立てるやいづこ み吉野の 吉野の山に 雪は降りつつ

31-春上 伊勢 春霞 立つを見捨てて ゆく雁は 花なき里に 住みやならへる

51-春上 読人知らず 山桜 我が見にくれば 春霞 峰にもをにも 立ち隠しつつ

58-春上 紀貫之 誰しかも とめて折りつる 春霞 立ち隠すらむ 山の桜を

69-春下 読人知らず 春霞 たなびく山の 桜花 うつろはむとや 色かはりゆく

79-春下 紀貫之 春霞 何隠すらむ 桜花 散る間をだにも 見るべきものを

94-春下 紀貫之 三輪山を しかも隠すか 春霞 人に知られぬ 花や咲くらむ

102-春下 藤原興風 春霞 色のちぐさに 見えつるは たなびく山の 花のかげかも

108-春下 藤原後蔭 花の散る ことやわびしき 春霞 たつたの山の うぐひすの声

130-春下 在原元方 惜しめども とどまらなくに 春霞 かへる道にし たちぬと思へば

210-秋上 読人知らず 春霞 かすみていにし 雁がねは 今ぞ鳴くなる 秋霧の上に

333-冬 読人知らず 消ぬがうへに またも降りしけ 春霞 立ちなばみ雪 まれにこそ見め

370-離別 紀利貞 かへる山 ありとは聞けど 春霞 立ち別れなば 恋しかるべし

465-物名 在原滋春 春霞 なかしかよひぢ なかりせば 秋くる雁は かへらざらまし

675-恋三 読人知らず 君により 我が名は花に 春霞 野にも山にも 立ち満ちにけり

684-恋四 紀友則 春霞 たなびく山の 桜花 見れどもあかぬ 君にもあるかな

999-雑下 藤原勝臣 人知れず 思ふ心は 春霞 たちいでて君が 目にも見えなむ

1001-雑体 読人知らず あふことの まれなる色に 思ひそめ 我が身は常に 天雲の 晴るる時なく 富士の嶺の もえつつとはに 思へども あふことかたし 何しかも 人をうらみむ わたつみの 沖を深めて 思ひてし 思ひは今は いたづらに なりぬべらなり ゆく水の 絶ゆる時なく かくなわに 思ひ乱れて 降る雪の けなばけぬべく 思へども えぶの身なれば なほやまず 思ひは深し あしひきの 山下水の 木隠れて たぎつ心を 誰にかも あひかたらはむ 色にいでば 人知りぬべみ 墨染めの 夕べになれば ひとりゐて あはれあはれと なげきあまり せむすべなみに 庭にいでて 立ちやすらへば 白妙の 衣の袖に 置く露の けなばけぬべく 思へども なほなげかれぬ 春霞 よそにも人に あはむと思へば

1002-雑体 紀貫之 ちはやぶる 神の御代より 呉竹の 世よにも絶えず 天彦の 音羽の山の 春霞 思ひ乱れて 五月雨の 空もとどろに 小夜ふけて 山郭公 鳴くごとに 誰も寝ざめて 唐錦 竜田の山の もみぢ葉を 見てのみしのぶ 神無月 時雨しぐれて 冬の夜の 庭もはだれに 降る雪の なほ消えかへり 年ごとに 時につけつつ あはれてふ ことを言ひつつ 君をのみ 千代にと祝ふ 世の人の 思ひするがの 富士の嶺の もゆる思ひも あかずして わかるる涙 藤衣 おれる心も 八千草の 言の葉ごとに すべらぎの おほせかしこみ まきまきの 中につくすと 伊勢の海の 浦のしほ貝 拾ひ集め 取れりとすれど 玉の緒の 短き心 思ひあへず なほあらたまの 年をへて 大宮にのみ 久方の 昼夜わかず つかふとて かへりみもせぬ 我が宿の しのぶ草おふる 板間あらみ ふる春雨の もりやしぬらむ

1031-雑体 藤原興風 春霞 たなびく野辺の 若菜にも なりみてしかな 人もつむやと

1032-雑体 読人知らず 思へども なほうとまれぬ 春霞 かからぬ山も あらじと思へば

後撰和歌集

18-春上 紀貫之 春霞たなひきにけり久方の月の桂も花やさくらむ

75-春中 読人知らず はる霞たちてくもゐになりゆくはかりの心のかはるなるへし

99-春下 読人知らず 春霞たちなから見し花ゆゑにふみとめてけるあとのくやしさ

113-春下 読人知らず 我をこそとふにうからめ春霞花につけてもたちよらぬかな

929-恋五 読人知らず 春霞はかなくたちてわかるとも風より外に誰かとふへき

1342-離別羈旅 読人知らず 春霞はかなくたちてわかるとも風より外にたれかとふへき

拾遺和歌集

2-春 紀文幹 春霞たてるを見れは荒玉の年は山よりこゆるなりけり

3-春 山部赤人 昨日こそ年はくれしか春霞かすかの山にはやたちにけり

42-春 清原元輔 春霞立ちなへたてそ花さかりみてたにあかぬ山のさくらを

74-春 読人知らず 春霞たちわかれゆく山みちは花こそぬさとちりまかひけれ

301-別 読人知らず 春霞たつあか月を見るからに心そそらになりぬへらなる

398-物名 藤原輔相 山たかみ花の色をも見るへきににくくたちぬる春かすみかな

1017-雑春 紀貫之 思ふ事ありてこそゆけはるかすみ道さまたけにたちなかくしそ

1019-雑春 読人知らず 思ふ事いはてやみなん春霞山ちもちかしたちもこそきけ

1046-雑春 藤原忠房 春霞かすかののへに立ちわたりみちても見ゆるみやこ人かな

1181-雑賀 藤原忠君娘 思ひたちぬるけふにもあるかな かからてもありにしものをはるかすみ

後拾遺和歌集

13-春上 和泉式部 春霞たつやおそきと山川の岩間をくぐる音きこゆなり

77-春上 藤原孝善 春霞へだつる山の麓までおもひもしらずゆく心かな

604-恋一 後朱雀院 ほのかにもしらせてしがな春霞かすみのうちにおもふ心を

907-雑二 新左衛門 春霞たちいでむこともおもほえず浅みどりなる空のけしきに

金葉和歌集

3-春 藤原朝忠 倉橋の山のかひより春がすみ年つみてや立ちわたるらむ

6-春 藤原顕輔 年ごとにかはらぬものは春霞たつたの山のけしきなりけり

26-春 大江匡房 春霞立ちかくせども姫小松ひくまの野邊に我は来にけり

35-春 藤原成通 声せずはいかで知らまし春霞へだつる空に帰る雁がね

41-春 白河院 春霞たち帰るべき空ぞなき花の匂ひに心とまりて

詞花和歌集

272-雑上 源頼家 春霞かすめるかたや津の国のほのみしま江のわたりなるらむ

千載和歌集

48-春上 中納言女王 山さくらにほふあたりの春かすみ風をはよそにたちへたてなん

1050-雑上 藤原重綱 春かすみゑしまかさきをこめつれは浪のかくともみえぬけさかな

新古今和歌集

85-春上 大伴家持 ゆかむ人こん人しのへ春かすみたつたの山のはつさくら花

115-春下 祝部成仲 ちりちらすおほつかなきは春かすみたなひく山の桜なりけり

766-哀傷 九条良経 春霞かすみしそらのなこりさへけふをかきりのわかれなりけり

1447-雑上 藤原兼家 はるかすみたなひきわたるおりにこそかかる山辺のかひもありけれ

1448-雑上 円融院 むらさきの雲にもあらて春かすみたなひく山のかひはなにそも