八代古今後撰拾遺後拾遺金葉詞花千載新古今百人一首六歌仙三十六歌仙枕詞動詞光る君へ

詞花和歌集のデータベース
詞花和歌集とは
- 六番目の勅撰和歌集であり、崇徳院(崇徳天皇)によって下命され、撰者は藤原顕輔。
- 1151年頃に完成となった。
詞花和歌集の構成
| 春 | 夏 | 秋 | 冬 | 賀 | 別 | 恋上 | 恋下 | 雑上 | 雑下 | |
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 数 | 50 | 31 | 59 | 20 | 11 | 15 | 46 | 39 | 76 | 68 |
| % | 12 | 7.4 | 14.2 | 4.8 | 2.6 | 3.6 | 11 | 9.3 | 18.3 | 16.3 |
- 巻十から成り、全415首
詞花和歌集 言の葉データベース
「かな」は原文と同様に濁点を付けておりませんので、例えば「郭公(ほととぎす)」を検索したいときは、「ほとときす」と入力してください。
| 歌番号 | 歌 | よみ人 | 巻 | 種 |
|---|---|---|---|---|
| 1 | こほりゐし志賀の唐崎うちとけてさざ波よする春風ぞふく こほりゐししかのからさきうちとけてささなみよするはるかせそふく | 大江匡房 | 一 | 春 |
| 2 | きのふかも霰ふりしは信楽の外山のかすみ春めきにけり きのふかもあられふりしはしからきのとやまのかすみはるめきにけり | 藤原惟成 | 一 | 春 |
| 3 | ふるさとは春めきにけりみ吉野の御垣が原をかすみこめたり ふるさとははるめきにけりみよしののみかきかはらをかすみこめたり | 平兼盛 | 一 | 春 |
| 4 | たまさかにわが待ちえたるうぐひすの初音をあやな人やきくらむ たまさかにわかまちえたるうくひすのはつねをあやなひとやきくらむ | 道命法師 | 一 | 春 |
| 5 | 雪きえばゑぐの若菜もつむべきに春さへはれぬ深山辺の里 ゆききえはゑくのわかなもつむへきにはるさへはれぬみやまへのさと | 曾禰好忠 | 一 | 春 |
| 6 | 春日野に朝なく雉のはねおとは雪のきえまに若菜つめとや かすかのにあさなくきしのはねおとはゆきのきえまにわかなつめとや | 源重之 | 一 | 春 |
| 7 | よろづよのためしに君が引かるれば子の日の松もうらやみやせむ よろつよのためしにきみかひかるれはねのひのまつもうらやみやせむ | 赤染衛門 | 一 | 春 |
| 8 | 子の日すと春の野ごとにたづぬれば松にひかるるここちこそすれ ねのひすとはるののことにたつぬれはまつにひかるるここちこそすれ | 崇徳院 | 一 | 春 |
| 9 | 吹きくれば香をなつかしみ梅の花ちらさぬほどの春風もがな ふきくれはかをなつかしみうめのはなちらさぬほとのはるかせもかな | 源時綱 | 一 | 春 |
| 10 | 梅の花にほひを道のしるべにてあるじもしらぬ宿にきにけり うめのはなにほひをみちのしるへにてあるしもしらぬやとにきにけり | 三条公行 | 一 | 春 |
| 11 | とりつなぐ人もなき野の春駒はかすみにのみやたなびかるらむ とりつなくひともなきののはるこまはかすみにのみやたなひかるらむ | 藤原盛経 | 一 | 春 |
| 12 | 真菰草つのぐみわたる澤邊にはつながぬ駒もはなれざりけり まこもくさつのくみわたるさはへにはつなかぬこまもはなれさりけり | 俊恵法師 | 一 | 春 |
| 13 | 萌えいづる草葉のみかは小笠原駒のけしきも春めきにけり もえいつるくさはのみかはをかさはらこまのけしきもはるめきにけり | 僧都覚雅 | 一 | 春 |
| 14 | 佐保姫の糸そめかくる青柳をふきなみだりそ春のやまかぜ さほひめのいとそめかくるあをやきをふきなみたりそはるのやまかせ | 平兼盛 | 一 | 春 |
| 15 | いかなればこほりはとくる春風に結ぼほるらむ青柳の糸 いかなれはこほりはとくるはるかせにむすほほるらむあをやきのいと | 源季遠 | 一 | 春 |
| 16 | ふるさとの御垣の柳はるばるとたが染めかけし浅緑ぞも ふるさとのみかきのやなきはるはるとたかそめかけしあさみとりそも | 源道済 | 一 | 春 |
| 17 | 深山木のそのこずゑとも見えざりし櫻は花にあらはれにけり みやまきのそのこすゑともみえさりしさくらははなにあらはれにけり | 源頼政 | 一 | 春 |
| 18 | くれなゐの薄花櫻にほはずはみな白雲とみてや過ぎまし くれなゐのうすはなさくらにほはすはみなしらくもとみてやすきまし | 康資王母 | 一 | 春 |
| 19 | 白雲はたちへだつれどくれなゐの薄花櫻こころにぞ染む しらくもはたちへたつれとくれなゐのうすはなさくらこころにそそむ | 藤原師実 | 一 | 春 |
| 20 | 白雲はさも立たばたてくれなゐのいまひとしほを君し染むれば しらくもはさもたたはたてくれなゐのいまひとしほをきみしそむれは | 康資王母 | 一 | 春 |
| 21 | 朝まだき霞なこめそ山櫻たづねゆくまのよそめにもみむ あさまたきかすみなこめそやまさくらたつねゆくまのよそめにもみむ | 祐子内親王家紀伊 | 一 | 春 |
| 22 | 白雲とみゆるにしるしみ吉野の吉野の山の花ざかりかも しらくもとみゆるにしるしみよしののよしののやまのはなさかりかも | 大江匡房 | 一 | 春 |
| 23 | 山櫻をしむにとまるものならは花は春ともかぎらざらまし やまさくらをしむにとまるものならははなははるともかきらさらまし | 藤原公実 | 一 | 春 |
| 24 | 九重に立つ白雲と見えつるは大内山の櫻なりけり ここのへにたつしらくもとみえつるはおほうちやまのさくらなりけり | 前斎院出雲 | 一 | 春 |
| 25 | 春ごとに心をそらになすものは雲ゐにみゆるさくらなりけり はることにこころをそらになすものはくもゐにみゆるさくらなりけり | 戒秀法師 | 一 | 春 |
| 26 | 白河の春のこずゑをみわたせば松こそ花の絶え間なりけれ しらかはのはるのこすゑをみわたせはまつこそはなのたえまなりけれ | 源俊頼 | 一 | 春 |
| 27 | 春くれば花のこずゑに誘はれていたらぬ里のなかりつるかな はるくれははなのこすゑにさそはれていたらぬさとのなかりつるかな | 白河院 | 一 | 春 |
| 28 | 池水のみぎはならずはさくらばな影をも波にをられましやは いけみつのみきはならすはさくらはなかけをもなみにをられましやは | 源師賢 | 一 | 春 |
| 29 | いにしへの奈良のみやこの八重ざくらけふ九重ににほひぬるかな いにしへのならのみやこのやへさくらけふここのへににほひぬるかな | 伊勢大輔 | 一 | 春 |
| 30 | ふるさとにとふ人あらば山ざくら散りなむのちを待てとこたへよ ふるさとにとふひとあらはやまさくらちりなむのちをまてとこたへよ | 藤原教長 | 一 | 春 |
| 31 | さくら花てごとにをりて帰るをば春のゆくとや人はみるらむ さくらはなてことにをりてかへるをははるのゆくとやひとはみるらむ | 源登平 | 一 | 春 |
| 32 | 春ごとに見る花なれど今年より咲きはじめたる心地こそすれ はることにみるはななれとことしよりさきはしめたるここちこそすれ | 道命法師 | 一 | 春 |
| 33 | ふるさとの花のにほひやまさるらむしづ心なく帰る雁かな ふるさとのはなのにほひやまさるらむしつこころなくかへるかりかな | 藤原長実 | 一 | 春 |
| 34 | なかなかに散るをみじとや思ふらむ花のさかりに帰る雁がね なかなかにちるをみしとやおもふらむはなのさかりにかへるかりかね | 源忠季 | 一 | 春 |
| 35 | さくら花ちらさでちよも見てしがなあかぬこころはさてもありやと さくらはなちらさてちよもみてしかなあかぬこころはさてもありやと | 藤原元真 | 一 | 春 |
| 36 | さくら花かぜにし散らぬものならば思ふことなき春にぞあらまし さくらはなかせにしちらぬものならはおもふことなきはるにそあらまし | 大中臣能宣 | 一 | 春 |
| 37 | さくら花ちりしく庭をはらはねば消えせぬ雪となりにけるかな さくらはなちりしくにはをはらはねはきえせぬゆきとなりにけるかな | 摂津 | 一 | 春 |
| 38 | 掃く人もなきふるさとの庭の面は花ちりてこそみるべかりけれ はくひともなきふるさとのにはのおもははなちりてこそみるへかりけれ | 源俊頼 | 一 | 春 |
| 39 | さくらさく木の下水は浅けれど散りしく花の淵とこそなれ さくらさくこのしたみつはあさけれとちりしくはなのふちとこそなれ | 源師賢 | 一 | 春 |
| 40 | 散る花もあはれとみずや石の上ふりはつるまで惜しむこころを ちるはなもあはれとみすやいそのかみふりはつるまてをしむこころを | 藤原範永 | 一 | 春 |
| 41 | 我が宿の櫻なれども散るときは心にえこそまかせざりけれ わかやとのさくらなれともちるときはこころにえこそまかせさりけれ | 花山院 | 一 | 春 |
| 42 | 身にかへて惜しむにとまる花ならば今日や我が世の限りならまし みにかへてをしむにとまるはなならはけふやわかよのかきりならまし | 源俊頼 | 一 | 春 |
| 43 | 庭もせに積もれる雪と見えながら香るぞ花のしるしなりける にはもせにつもれるゆきとみえなからかをるそはなのしるしなりける | 源有仁 | 一 | 春 |
| 44 | 散る花にせきとめらるる山川の深くも春のなりにけるかな ちるはなにせきとめらるるやまかはのふかくもはるのなりにけるかな | 大中臣能宣 | 一 | 春 |
| 45 | 一重だにあかぬ匂ひをいとどしく八重かさなれる山吹のはな ひとへたにあかぬにほひをいととしくやへかさなれるやまふきのはな | 藤原長能 | 一 | 春 |
| 46 | 八重さけるかひこそなけれ山吹の散らば一重もあらじとおもへは やへさけるかひこそなけれやまふきのちらはひとへもあらしとおもへは | 読人知らず | 一 | 春 |
| 47 | こぬ人をまちかね山の呼子鳥おなじこころにあはれとぞきく こぬひとをまちかねやまのよふことりおなしこころにあはれとそきく | 太皇太后宮家肥後 | 一 | 春 |
| 48 | 咲きしより散りはつるまで見しほどに花のもとにて二十日へにけり さきしよりちりはつるまてみしほとにはなのもとにてはつかへにけり | 藤原忠通 | 一 | 春 |
| 49 | 老いてこそ春の惜しさはまさりけれ今いくたびも逢はじと思へば おいてこそはるのをしさはまさりけれいまいくたひもあはしとおもへは | 橘俊成 | 一 | 春 |
| 50 | 惜しむとてこよひかきおく言の葉やあやなく春のかたみなるべき をしむとてこよひかきおくことのはやあやなくはるのかたみなるへき | 崇徳院 | 一 | 春 |
| 51 | けふよりはたつ夏衣うすくともあつしとのみやおもひわたらむ けふよりはたつなつころもうすくともあつしとのみやおもひわたらむ | 増基法師 | 二 | 夏 |
| 52 | 雪の色をぬすみて咲ける卯の花はさえでや人にうたがはるらむ ゆきのいろをぬすみてさけるうのはなはさえてやひとにうたかはるらむ | 源俊頼 | 二 | 夏 |
| 53 | 年をへてかけし葵はかはらねど今日のかざしはめづらしきかな としをへてかけしあふひはかはらねとけふのかさしはめつらしきかな | 藤原長房 | 二 | 夏 |
| 54 | 榊とる夏の山路やとほからむゆふかけてのみまつる神かな さかきとるなつのやまちやとほからむゆふかけてのみまつるかみかな | 源兼昌 | 二 | 夏 |
| 55 | むかしにもあらぬわが身にほととぎす待つこころこそ変らざりけれ むかしにもあらぬわかみにほとときすまつこころこそかはらさりけれ | 周防内侍 | 二 | 夏 |
| 56 | ほととぎす鳴く音ならでは世の中に待つこともなきわが身なりけり ほとときすなくねならてはよのなかにまつこともなきわかみなりけり | 藤原忠兼 | 二 | 夏 |
| 57 | 今年だにまつ初こゑをほととぎす世にはふるさで我にきかせよ ことしたにまつはつこゑをほとときすよにはふるさてわれにきかせよ | 花山院 | 二 | 夏 |
| 58 | 山里のかひこそなけれほととぎす都の人もかくや待つらむ やまさとのかひこそなけれほとときすみやこのひともかくやまつらむ | 道命法師 | 二 | 夏 |
| 59 | 山彦のこたふる山のほととぎす一こゑなけは二こゑぞきく やまひこのこたふるやまのほとときすひとこゑなけはふたこゑそきく | 能因法師 | 二 | 夏 |
| 60 | ほととぎすあかつきかけて鳴くこゑを待たぬ寝覚の人やきくらむ ほとときすあかつきかけてなくこゑをまたぬねさめのひとやきくらむ | 藤原伊家 | 二 | 夏 |
| 61 | 待つ人は寝る夜もなきをほととぎす鳴く音は夢のここちこそすれ まつひとはぬるよもなきをほとときすなくねはゆめのここちこそすれ | 藤原実綱 | 二 | 夏 |
| 62 | 鳴きつとも誰にかいはむほととぎす影よりほかに人しなければ なきつともたれにかいはむほとときすかけよりほかにひとしなけれは | 源俊頼 | 二 | 夏 |
| 63 | 昆陽の池におふるあやめのながき根はひく白糸の心地こそすれ こやのいけにおふるあやめのなかきねはひくしらいとのここちこそすれ | 待賢門院堀河 | 二 | 夏 |
| 64 | よもすがらたたく水鶏は天の戸をあけてのちこそ音せざりけれ よもすからたたくくひなはあまのとをあけてのちこそおとせさりけれ | 源頼家 | 二 | 夏 |
| 65 | さみだれの日をふるままに鈴鹿川八十瀬の波ぞこゑまさるなる さみたれのひをふるままにすすかかはやそせのなみそこゑまさるなる | 皇嘉門院治部卿源盛子 | 二 | 夏 |
| 66 | わぎもこが昆陽の篠屋のさみだれにいかでほすらむ夏引の糸 わきもこかこやのしのやのさみたれにいかてほすらむなつひきのいと | 大江匡房 | 二 | 夏 |
| 67 | さみだれに難波堀江のみをつくしみえぬや水のまさるなるらむ さみたれになにはほりえのみをつくしみえぬやみつのまさるなるらむ | 源忠季 | 二 | 夏 |
| 68 | 藻鹽やく須磨の浦人うちたえていとひやすらむさみだれの空 もしほやくすまのうらひとうちたえていとひやすらむさみたれのそら | 藤原通俊 | 二 | 夏 |
| 69 | さつきやみ花たちばなに吹く風はたが里までかにほひゆくらむ さつきやみはなたちはなにふくかせはたかさとまてかにほひゆくらむ | 良暹法師 | 二 | 夏 |
| 70 | 宿ちかく花たちばなはほりうゑじむかしをしのぶつまとなりけり やとちかくはなたちはなはほりうゑしむかしをしのふつまとなりけり | 花山院 | 二 | 夏 |
| 71 | うすくこく垣ほににほふ撫子の花のいろにぞ露も置きける うすくこくかきほににほふなてしこのはなのいろにそつゆもおきける | 藤原経衡 | 二 | 夏 |
| 72 | 種まきし我が撫子の花ざかりいく朝露の置きてみつらむ たねまきしわかなてしこのはなさかりいくあさつゆのおきてみつらむ | 藤原顕季 | 二 | 夏 |
| 73 | なくこゑもきこえぬもののかなしきは忍びに燃ゆる蛍なりけり なくこゑもきこえぬもののかなしきはしのひにもゆるほたるなりけり | 大弐高遠 | 二 | 夏 |
| 74 | さつきやみ鵜川にともす篝火の數ますものは蛍なりけり さつきやみうかはにともすかかりひのかすますものはほたるなりけり | 読人知らず | 二 | 夏 |
| 75 | 風ふけば川邊すずしく寄る波のたちかへるべき心地こそせね かせふけはかはへすすしくよるなみのたちかへるへきここちこそせね | 藤原家経 | 二 | 夏 |
| 76 | 杣川の筏の床のうきまくら夏は涼しきふしどなりけり そまかはのいかたのとこのうきまくらなつはすすしきふしとなりけり | 曾禰好忠 | 二 | 夏 |
| 77 | 待つほどに夏の夜いたく更けぬれば惜しみもあへぬ山の端の月 まつほとになつのよいたくふけぬれはをしみもあへぬやまのはのつき | 源道済 | 二 | 夏 |
| 78 | 川上に夕立すらし水屑せく梁瀬のさ波たちさはぐなり かはかみにゆふたちすらしみくつせくやなせのさなみたちさわくなり | 曾禰好忠 | 二 | 夏 |
| 79 | つねよりも嘆きやすらむたなばたは逢はまし暮をよそにながめて つねよりもなけきやすらむたなはたはあはましくれをよそになかめて | 太皇大后宮大弐 | 二 | 夏 |
| 80 | したもみぢひと葉づつ散る木のしたに秋とおぼゆる蝉のこゑかな したもみちひとはつつちるこのしたにあきとおほゆるせみのこゑかな | 相模 | 二 | 夏 |
| 81 | 蟲の音もまだうちとけぬ草むらに秋をかねても結ぶ露かな むしのねもまたうちとけぬくさむらにあきをかねてもむすふつゆかな | 曾禰好忠 | 二 | 夏 |
| 82 | 山城の鳥羽田の面をみわたせばほのかに今朝ぞ秋風はふく やましろのとはたのおもをみわたせはほのかにけさそあきかせはふく | 曾禰好忠 | 三 | 秋 |
| 83 | 君すまばとはましものを津の國の生田の森の秋のはつかぜ きみすまはとはましものをつのくにのいくたのもりのあきのはつかせ | 僧都清胤 | 三 | 秋 |
| 84 | おぎの葉にすがく糸をもささがにはたなばたにとやけさは引くらむ はきのはにすかくいとをもささかにはたなはたにとやけさはひくらむ | 橘元任 | 三 | 秋 |
| 85 | たなばたに衣もぬぎてかすべきにゆゆしとやみむ墨染の袖 たなはたにころももぬきてかすへきにゆゆしとやみむすみそめのそて | 花山院 | 三 | 秋 |
| 86 | たなはたに心は貸すと思はねど暮れゆく空はうれしかりけり たなはたにこころはかすとおもはねとくれゆくそらはうれしかりけり | 藤原顕綱 | 三 | 秋 |
| 87 | いかなればとだえめけむ天の川あふ瀬にわたすかささぎの橋 いかなれはとたえそめけむあまのかはあふせにわたすかささきのはし | 加賀左衛門 | 三 | 秋 |
| 88 | 天の川よこぎる雲やたなはたのそらだきもののけぶりなるらむ あまのかはよこきるくもやたなはたのそらたきもののけふりなるらむ | 藤原顕輔 | 三 | 秋 |
| 89 | おぼつかなかはりやしにし天の川年にひとたびわたる瀬なれば おほつかなかはりやしにしあまのかはとしにひとたひわたるせなれは | 大中臣能宣 | 三 | 秋 |
| 90 | 天の川玉橋いそぎわたさなむ浅瀬たどるも夜のふけゆくに あまのかはたまはしいそきわたさなむあさせたとるもよのふけゆくに | 藤原顕季 | 三 | 秋 |
| 91 | 逢ふ夜とは誰かはしらぬたなばたのあくる空をもつつまざらなむ あふよとはたれかはしらぬたなはたのあくるそらをもつつまさらなむ | 良暹法師 | 三 | 秋 |
| 92 | たなばたの待ちつるほどの苦しさもあかぬ別れといづれまされり たなはたのまちつるほとのくるしさもあかぬわかれといつれまされり | 藤原顕綱 | 三 | 秋 |
| 93 | 天の川かへらぬ水をたなばたはうらやましとや今朝は見るらむ あまのかはかへらぬみつをたなはたはうらやましとやけさはみるらむ | 祝部成仲 | 三 | 秋 |
| 94 | 水きよみやどれる秋の月さへや千代まで君とすまむとすらむ みつきよみやとれるあきのつきさへやちよまてきみとすまむとすらむ | 源順 | 三 | 秋 |
| 95 | いかなればおなじ空なる月影の秋しもことに照りまさるらむ いかなれはおなしそらなるつきかけのあきしもことにてりまさるらむ | 源雅定 | 三 | 秋 |
| 96 | 春夏は空やはかはる秋の夜の月しもいかで照りまさるらむ はるなつはそらやはかはるあきのよのつきしもいかててりまさるらむ | 藤原家成 | 三 | 秋 |
| 97 | 秋にまたあはむあはじも知らぬ身はこよひばかりの月をだにみむ あきにまたあはむあはしもしらぬみはこよひはかりのつきをたにみむ | 三条院 | 三 | 秋 |
| 98 | ありしにもあらずなりゆく世の中にかはらぬものは秋の夜の月 ありしにもあらすなりゆくよのなかにかはらぬものはあきのよのつき | 天台座主明快 | 三 | 秋 |
| 99 | 秋の夜の月のひかりのもる山は木の下かげもさやけかりけり あきのよのつきのひかりのもるやまはこのしたかけもさやけかりけり | 藤原重基 | 三 | 秋 |
| 100 | 天つ風雲ふきはらふ高嶺にて入るまでみつる秋の夜の月 あまつかせくもふきはらふたかねにているまてみつるあきのよのつき | 良暹法師 | 三 | 秋 |
| 101 | 秋の夜は月に心のひまぞなき出づるを待つと入るを惜しむと あきのよはつきにこころのひまそなきいつるをまつといるををしむと | 源頼綱 | 三 | 秋 |
| 102 | 引く駒にかげをならべて逢坂の関路よりこそ月はいでけれ ひくこまにかけをならへてあふさかのせきちよりこそつきはいてけれ | 藤原朝隆 | 三 | 秋 |
| 103 | 秋の夜の露もくもらぬ月をみて置きどころなきわがこころかな あきのよのつゆもくもらぬつきをみておきところなきわかこころかな | 隆縁法師 | 三 | 秋 |
| 104 | 秋の夜の月まちかねておもひやる心いくたび山をこゆらむ あきのよのつきまちかねておもひやるこころいくたひやまをこゆらむ | 大江嘉言 | 三 | 秋 |
| 105 | 秋山の清水はくまじにごりなばやどれる月のくもりもぞする あきやまのしみつはくましにこりなはやとれるつきのくもりもそする | 藤原忠兼 | 三 | 秋 |
| 106 | 秋の夜の月にこころのあくがれて雲ゐにものを思ふころかな あきのよのつきにこころのあくかれてくもゐにものをおもふころかな | 花山院 | 三 | 秋 |
| 107 | ひとりゐてながむるやどの荻の葉に風こそわたれ秋のゆふぐれ ひとりゐてなかむるやとのをきのはにかせこそわたれあきのゆふくれ | 源道済 | 三 | 秋 |
| 108 | 荻の葉にそそや秋風ふきぬなりこぼれやしぬる露のしらたま をきのはにそそやあきかせふきぬなりこほれやしぬるつゆのしらたま | 大江嘉言 | 三 | 秋 |
| 109 | 秋ふくはいかなる色の風なれば身にしむばかりあはれなるらむ あきふくはいかなるいろのかせなれはみにしむはかりあはれなるらむ | 和泉式部 | 三 | 秋 |
| 110 | み吉野の象山かげにたてる松いく秋風にそなれきぬらむ みよしののきさやまかけにたてるまついくあきかせにそなれきぬらむ | 曾禰好忠 | 三 | 秋 |
| 111 | 荻の葉に露ふきむすぶこがらしの音ぞ夜寒になりまさるなる をきのはにつゆふきむすふこからしのおとそよさむになりまさるなる | 藤原顕綱 | 三 | 秋 |
| 112 | 夕霧にこずゑもみえずはつせ山いりあひの鐘の音ばかりして ゆふきりにこすゑもみえすはつせやまいりあひのかねのおとはかりして | 源兼昌 | 三 | 秋 |
| 113 | 秋の野の花みるほどの心をばゆくとやいはむとまるとやいはむ あきのののはなみるほとのこころをはゆくとやいはむとまるとやいはむ | 赤染衛門 | 三 | 秋 |
| 114 | 神垣にかかるとならば朝顔もゆふかくるまでにほはざらめや かみかきにかかるとならはあさかほもゆふかくるまてにほはさらめや | 六條齋院 | 三 | 秋 |
| 115 | ぬしやたれ知る人なしに藤袴みれば野ごとに綻びにけり ぬしやたれきるひとなしにふちはかまみれはのことにほころひにけり | 隆源法師 | 三 | 秋 |
| 116 | 朝な朝な露おもげなる萩が枝に心をさへもかけてみるかな あさなあさなつゆおもけなるはきかえにこころをさへもかけてみるかな | 周防内侍 | 三 | 秋 |
| 117 | 荻の葉に言とふ人もなきものを来る秋ごとにそよとこたふる をきのはにこととふひともなきものをくるあきことにそよとこたふる | 敦輔王 | 三 | 秋 |
| 118 | 秋の野のくさむらごとに置く露は夜なく蟲のなみだなるべし あきのののくさむらことにおくつゆはよるなくむしのなみたなるへし | 曾禰好忠 | 三 | 秋 |
| 119 | 八重葎しげれる宿は夜もすがら蟲の音きくぞとりどころなる やへむくらしけれるやとはよもすからむしのねきくそとりところなる | 永源法師 | 三 | 秋 |
| 120 | なく蟲のひとつ聲にも聞こえぬはこころごころにものやかなしき なくむしのひとつこゑにもきこえぬはこころこころにものやかなしき | 和泉式部 | 三 | 秋 |
| 121 | ふるさとにかはらざりけり鈴虫の鳴海の野邊のゆふぐれのこゑ ふるさとにかはらさりけりすすむしのなるみののへのゆふくれのこゑ | 橘為仲 | 三 | 秋 |
| 122 | 秋風に露をなみだとなく蟲のおもふこころをたれにとはまし あきかせにつゆをなみたとなくむしのおもふこころをたれにとはまし | 橘正通 | 三 | 秋 |
| 123 | 逢坂の杉間の月のなかりせばいくきの駒といかでしらまし あふさかのすきまのつきのなかりせはいくきのこまといかてしらまし | 大江匡房 | 三 | 秋 |
| 124 | きく人のなどやすからぬ鹿の音はわがつまをこそ恋ひてなくらめ きくひとのなとやすからぬしかのねはわかつまをこそこひてなくらめ | 出羽辨 | 三 | 秋 |
| 125 | 秋萩を草の枕に結ぶ夜は近くも鹿のこゑをきくかな あきはきをくさのまくらにむすふよはちかくもしかのこゑをきくかな | 藤原伊家 | 三 | 秋 |
| 126 | 秋ふかみ花には菊の関なれば下葉に月ももりあかしけり あきふかみはなにはきくのせきなれはしたはにつきももりあかしけり | 崇徳院 | 三 | 秋 |
| 127 | 霜枯るるはじめとみずは白菊のうつろふ色をなげかざらまし しもかるるはしめとみすはしらきくのうつろふいろをなけかさらまし | 源雅光 | 三 | 秋 |
| 128 | 今年また咲くべき花のあらばこそうつろふ菊にめかれをもせめ ことしまたさくへきはなのあらはこそうつろふきくにめかれをもせめ | 道命法師 | 三 | 秋 |
| 129 | 草枯れの冬までみよと露霜の置きて残せる白菊の花 くさかれのふゆまてみよとつゆしものおきてのこせるしらきくのはな | 曾禰好忠 | 三 | 秋 |
| 130 | 関こゆる人にとはばやみちのくの安達のまゆみもみぢしにきや せきこゆるひとにとははやみちのくのあたちのまゆみもみちしにきや | 藤原頼宗 | 三 | 秋 |
| 131 | いくらとも見えぬ紅葉の錦かな誰ふたむらの山といひけむ いくらともみえぬもみちのにしきかなたれふたむらのやまといひけむ | 橘能元 | 三 | 秋 |
| 132 | 夕されば何か急がむもみぢ葉のしたてる山は夜もこえなむ ゆふされはなにかいそかむもみちはのしたてるやまはよるもこえなむ | 大江匡房 | 三 | 秋 |
| 133 | 山里はゆききの道の見えぬまで秋の木の葉に埋もれにけり やまさとはゆききのみちのみえぬまてあきのこのはにうつもれにけり | 曾禰好忠 | 三 | 秋 |
| 134 | 春雨の綾おりかけし水の面に秋は紅葉の錦をぞ敷く はるさめのあやおりかけしみつのおもにあきはもみちのにしきをそしく | 道命法師 | 三 | 秋 |
| 135 | なごりなく時雨の空ははれぬれどまだ降るものは木の葉なりけり なこりなくしくれのそらははれぬれとまたふるものはこのはなりけり | 源俊頼 | 三 | 秋 |
| 136 | 荒れはてて月もとまらぬ我が宿に秋の木の葉を風ぞふきける あれはててつきもとまらぬわかやとにあきのこのはをかせそふきける | 平兼盛 | 三 | 秋 |
| 137 | 秋ふかみ紅葉おちしく網代木は氷魚のよるさへあかくみえけり あきふかみもみちおちしくあしろきはひをのよるさへあかくみえけり | 藤原惟成 | 三 | 秋 |
| 138 | 初霜も置きにけらしな今朝みれば野邊の浅茅も色づきにけり はつしももおきにけらしなけさみれはのへのあさちもいろつきにけり | 大中臣能宣 | 三 | 秋 |
| 139 | いづかたに秋のゆくらむ我が宿に今宵ばかりは雨宿りせで いつかたにあきのゆくらむわかやとにこよひはかりはあまやとりせて | 藤原公任 | 三 | 秋 |
| 140 | なにごともゆきて祈らむと思ひしに神無月にもなりにけるかな なにこともゆきていのらむとおもひしにかみなつきにもなりにけるかな | 曾禰好忠 | 三 | 秋 |
| 141 | ひさぎおふる澤邊の茅原冬くればひばりの床ぞあらはれにける ひさきおふるさはへのちはらふゆくれはひはりのとこそあらはれにける | 曾禰好忠 | 四 | 冬 |
| 142 | こずゑにてあかざりしかばもみぢ葉のちりしく庭をはらはでぞみる こすゑにてあかさりしかはもみちはのちりしくにはをはらはてそみる | 大弐資通 | 四 | 冬 |
| 143 | いろいろにそむる時雨にもみぢ葉はあらそひかねて散りはてにけり いろいろにそむるしくれにもみちははあらそひかねてちりはてにけり | 藤原家成 | 四 | 冬 |
| 144 | 山ふかみ落ちてつもれるもみぢ葉のかはけるうへに時雨ふるなり やまふかみおちてつもれるもみちはのかわけるうへにしくれふるなり | 大江嘉言 | 四 | 冬 |
| 145 | いまさらにをのがすみかを立たじとて木の葉の下にをしぞなくなる いまさらにおのかすみかをたたしとてこのはのしたにをしそなくなる | 惟宗隆頼 | 四 | 冬 |
| 146 | 風ふけは楢のうら葉のそよそよといひあはせつついづち散るらむ かせふけはならのうらはのそよそよといひあはせつついつちちるらむ | 惟宗隆頼 | 四 | 冬 |
| 147 | 外山なる柴の立枝に吹く風の音きくをりぞ冬はものうき とやまなるしはのたちえにふくかせのおときくをりそふゆはものうき | 曾禰好忠 | 四 | 冬 |
| 148 | 秋はなほ木の下かげも暗かりき月は冬こそみるべかりけれ あきはなほこのしたかけもくらかりきつきはふゆこそみるへかりけれ | 読人知らず | 四 | 冬 |
| 149 | もろともに山めぐりする時雨かなふるにかひなき身とはしらずや もろともにやまめくりするしくれかなふるにかひなきみとはしらすや | 藤原道雅 | 四 | 冬 |
| 150 | いほりさす楢の木かげにもる月のくもるとみれば時雨ふるなり いほりさすならのこかけにもるつきのくもるとみれはしくれふるなり | 瞻西法師 | 四 | 冬 |
| 151 | 深山にはあらしやいたく吹きぬらむ網代もたわに紅葉つもれり みやまにはあらしやいたくふきぬらむあしろもたわにもみちつもれり | 平兼盛 | 四 | 冬 |
| 152 | あられふる交野の御野の狩ころも濡れぬ宿かす人しなければ あられふるかたののみののかりころもぬれぬやとかすひとしなけれは | 藤原長能 | 四 | 冬 |
| 153 | 山ふかみ焼く炭竃の煙こそやがて雪げの雲となりけれ やまふかみやくすみかまのけふりこそやかてゆきけのくもとなりけれ | 大江匡房 | 四 | 冬 |
| 154 | 年をへて吉野の山にみなれたる目にめづらしき今朝の初雪 としをへてよしののやまにみなれたるめにめつらしきけさのはつゆき | 藤原義忠 | 四 | 冬 |
| 155 | ひぐらしに山路のきのふしぐれしは富士の高嶺の雪にぞありける ひくらしにやまちのきのふしくれしはふしのたかねのゆきにそありける | 大江嘉言 | 四 | 冬 |
| 156 | 奥山の岩垣もみぢ散りはてて朽ち葉がうへに雪ぞつもれる おくやまのいはかきもみちちりはててくちはかうへにゆきそつもれる | 大江匡房 | 四 | 冬 |
| 157 | くれなゐに見えしこずゑも雪ふれば白木綿かくる神無備の森 くれなゐにみえしこすゑもゆきふれはしらゆふかくるかみなひのもり | 藤原忠通 | 四 | 冬 |
| 158 | まつ人の今もきたらばいかがせむ踏ままく惜しき庭の雪かな まつひとのいまもきたらはいかかせむふままくをしきにはのゆきかな | 和泉式部 | 四 | 冬 |
| 159 | かずならぬ身にさへ年のつもるかな老は人をもきらはざりけり かすならぬみにさへとしのつもるかなおいはひとをもきらはさりけり | 成尋法師 | 四 | 冬 |
| 160 | 魂まつる年のをはりになりにけり今日にやまたもあはむとすらむ たままつるとしのをはりになりにけりけふにやまたもあはむとすらむ | 曾禰好忠 | 四 | 冬 |
| 161 | 君が世にあふくま川のそこきよみ千歳をへつつすまむとぞおもふ きみかよにあふくまかはのそこきよみちとせをへつつすまむとそおもふ | 藤原道長 | 五 | 賀 |
| 162 | めづらしくけふたちそむる鶴の子は千代のむつきをかさぬべきかな めつらしくけふたちそむるつるのこはちよのむつきをかさぬへきかな | 伊勢大輔 | 五 | 賀 |
| 163 | すぎきにしほどをばすてつ今年より千代のかずつむ住吉の松 すききにしほとをはすてつことしよりちよのかすつむすみよしのまつ | 大中臣能宣 | 五 | 賀 |
| 164 | 君が世は白雲かかる筑波嶺のみねのつづきの海となるまで きみかよはしらくもかかるつくはねのみねのつつきのうみとなるまて | 能因法師 | 五 | 賀 |
| 165 | さかき葉を手にとりもちて祈りつる神の代よりも久しからなむ さかきはをてにとりもちていのりつるかみのよよりもひさしからなむ | 赤染衛門 | 五 | 賀 |
| 166 | あかでのみ帰るとおもへば櫻花をるべき春ぞ尽きせざりける あかてのみかへるとおもへはさくらはなをるへきはるそつきせさりける | 中務 | 五 | 賀 |
| 167 | 松嶋の磯にむれゐる葦鶴のをのがさまざま見えし千代かな まつしまのいそにむれゐるあしたつのおのかさまさまみえしちよかな | 清原元輔 | 五 | 賀 |
| 168 | ひととせを暮れぬとなにか惜しむべき尽きせぬ千代の春をまつには ひととせをくれぬとなにかをしむへきつきせぬちよのはるをまつには | 藤原公任 | 五 | 賀 |
| 169 | たれにとか池のこころも思ふらむ底にやどれる松の千歳は たれにとかいけのこころもおもふらむそこにやとれるまつのちとせは | 恵慶法師 | 五 | 賀 |
| 170 | 君が代の久しかるべきためしにや神もうゑけむ住吉の松 きみかよのひさしかるへきためしにやかみもうゑけむすみよしのまつ | 読人知らず | 五 | 賀 |
| 171 | 住吉のあらひと神の久しさに松もいくたび生ひかはるらむ すみよしのあらひとかみのひさしさにまつもいくたひおひかはるらむ | 源経信 | 五 | 賀 |
| 172 | みやこにておぼつかなさをならはずは旅寝をいかにおもひやらまし みやこにておほつかなさをならはすはたひねをいかにおもひやらまし | 民部内侍 | 六 | 別 |
| 173 | もろともにたたましものをみちのくの衣の関をよそにきくかな もろともにたたましものをみちのくのころものせきをよそにきくかな | 和泉式部 | 六 | 別 |
| 174 | よろこびをくはへにいそぐ旅なれば思へどえこそとどめざりけれ よろこひをくはへにいそくたひなれはおもへとえこそととめさりけれ | 源俊頼 | 六 | 別 |
| 175 | とまりゐて待つべき身こそ老いにけれ哀れわかれは人のためかは とまりゐてまつへきみこそおいにけれあはれわかれはひとのためかは | 藤原輔尹 | 六 | 別 |
| 176 | かへりこむほどをば知らず悲しきはよを長月の別れなりけり かへりこむほとをもしらすかなしきはよをなかつきのわかれなりけり | 藤原道経 | 六 | 別 |
| 177 | 六年にぞ君はきまさむ住吉のまつべき身こそいたく老いぬれ むとせにそきみはきまさむすみよしのまつへきみこそいたくおいぬれ | 津守国基 | 六 | 別 |
| 178 | あかねさす日に向ひても思ひいでよ都は晴れぬながめすらむと あかねさすひにむかひてもおもひいてよみやこははれぬなかめすらむと | 一條院皇后宮 | 六 | 別 |
| 179 | 別れ路の草葉をわけむ旅衣たつよりかねて濡るる袖かな わかれちのくさはをわけむたひころもたつよりかねてぬるるそてかな | 法橋有禅 | 六 | 別 |
| 180 | またこむと誰にもえこそ言ひ置かね心にかなふ命ならねば またこむとたれにもえこそいひおかねこころにかなふいのちならねは | 玄範法師 | 六 | 別 |
| 181 | 留まらむ留まらじともおもほえずいづくもつゐのすみかならねば ととまらむととまらしともおもほえすいつくもつひのすみかならねは | 寂昭法師 | 六 | 別 |
| 182 | ふたつなき心を君にとどめ置きて我さへわれに別れぬるかな ふたつなきこころをきみにととめおきてわれさへわれにわかれぬるかな | 僧都清因 | 六 | 別 |
| 183 | 暮れはまづそなたをのみぞ眺むべき出でむ日ごとに思ひをこせよ くれはまつそなたをのみそなかむへきいてむひことにおもひおこせよ | 太皇太后宮甲斐 | 六 | 別 |
| 184 | 東路のはるけき道を行きかへりいつかとくべきしたひもの関 あつまちのはるけきみちをゆきめくりいつかとくへきしたひものせき | 読人知らず | 六 | 別 |
| 185 | たち別れ遙かにいきの松なれば恋しかるべき千代のかげかな たちわかれはるかにいきのまつなれはこひしかるへきちよのかけかな | 權僧正永縁 | 六 | 別 |
| 186 | はかなくも今朝の別れの惜しきかないつかは人をながらへてみし はかなくもけさのわかれのをしきかないつかはひとをなからへてみし | 名曳 | 六 | 別 |
| 187 | あやしくもわがみやま木のもゆるかな思ひは人につけてしものを あやしくもわかみやまきのもゆるかなおもひはひとにつけてしものを | 藤原忠通 | 七 | 恋上 |
| 188 | いかでかは思ひありとも知らすべき室の八島のけぶりならでは いかてかはおもひありともしらすへきむろのやしまのけふりならては | 藤原実方 | 七 | 恋上 |
| 189 | かくとだに言はではかなく恋ひ死なばやがてしられぬ身とやなりなむ かくとたにいはてはかなくこひしなはやかてしられぬみとやなりなむ | 隆惠法師 | 七 | 恋上 |
| 190 | 思ひかね今日たてそむる錦木の千束もまたで逢ふよしもがな おもひかねけふたてそむるにしききのちつかもまたてあふよしもかな | 大江匡房 | 七 | 恋上 |
| 191 | 谷川の岩間をわけて行く水の音にのみやは聞かむと思ひし たにかはのいはまをわけてゆくみつのおとにのみやはきかむとおもひし | 平兼盛 | 七 | 恋上 |
| 192 | よとともに恋ひつつすぐる年月は変れど変るここちこそせね よとともにこひつつすくるとしつきはかはれとかはるここちこそせね | 一條院 | 七 | 恋上 |
| 193 | わか恋は夢路にのみぞ慰むるつれなき人も逢ふとみゆれば わかこひはゆめちにのみそなくさむるつれなきひともあふとみゆれは | 藤原伊家 | 七 | 恋上 |
| 194 | 慰むる方もなくてややみなまし夢にも人のつれなかりせば なくさむるかたもなくてややみなましゆめにもひとのつれなかりせは | 徳大寺公能 | 七 | 恋上 |
| 195 | 命あらばあふ世もあらむ世の中になど死ぬばかり思ふこころぞ いのちあらはあふよもあらむよのなかになとしぬはかりおもふこころそ | 藤原惟成 | 七 | 恋上 |
| 196 | よそながらあはれと言はむことよりも人づてならでいとへとぞ思ふ よそなからあはれといはむことよりもひとつてならていとへとそおもふ | 藤原成通 | 七 | 恋上 |
| 197 | 恋ひ死なば君はあはれといはずともなかなかよその人やしのばむ こひしなはきみはあはれといはすともなかなかよそのひとやしのはむ | 覚念法師 | 七 | 恋上 |
| 198 | いかばかり人のつらさを恨みまし憂き身の咎と思ひなさずは いかはかりひとのつらさをうらみましうきみのとかとおもひなさすは | 賀茂成助 | 七 | 恋上 |
| 199 | いかならむ言の葉にてか靡くべき恋しといふはかひなかりけり いかならむことのはにてかなひくへきこひしといふはかひなかりけり | 藤原頼保 | 七 | 恋上 |
| 200 | わがためにつらき人をばをきながら何の罪なき世をやうらみむ わかためにつらきひとをはおきなからなにのつみなきよをやうらみむ | 浄蔵法師 | 七 | 恋上 |
| 201 | 忘るやとながらへゆけど身にそひて恋しきことは遅れざりけり わするやとなからへゆけとみにそひてこひしきことはおくれさりけり | 平兼盛 | 七 | 恋上 |
| 202 | 年をへて燃ゆてふ富士の山よりも逢はぬ思ひは我ぞまされる としをへてもゆてふふしのやまよりもあはぬおもひはわれそまされる | 読人知らず | 七 | 恋上 |
| 203 | わびぬればしゐて忘れむと思へども心弱くも落つるなみだか わひぬれはしひてわすれむとおもへともこころよわくもおつるなみたか | 読人知らず | 七 | 恋上 |
| 204 | 思はじと思へばいとど恋しきはいづちか我が心なるらむ おもはしとおもへはいととこひしきはいつちかわれかこころなるらむ | 読人知らず | 七 | 恋上 |
| 205 | こころさへむすぶの神やつくりけむ解くるけしきも見えぬ君かな こころさへむすふのかみやつくりけむとくるけしきもみえぬきみかな | 能因法師 | 七 | 恋上 |
| 206 | ひとかたに思ひ絶えにし世の中をいかがはすべきしづのをだまき ひとかたにおもひたえにしよのなかをいかかはすへきしつのをたまき | 藤原公任 | 七 | 恋上 |
| 207 | かげみえぬ君は雨夜の月なれや出でても人に知られざりけり かけみえぬきみはあまよのつきなれやいててもひとにしられさりけり | 僧都覚雅 | 七 | 恋上 |
| 208 | たなばたに今朝引く糸の露をおもみ撓むけしきを見でややみなむ たなはたにけさひくいとのつゆをおもみたわむけしきをみてややみなむ | 藤原成通 | 七 | 恋上 |
| 209 | 身のほどを思ひ知りぬることのみやつれなき人のなさけなるらむ みのほとをおもひしりぬることのみやつれなきひとのなさけなるらむ | 隆縁法師 | 七 | 恋上 |
| 210 | わびつつもおなじ都はなぐさめき旅寝ぞ恋のかぎりなりける わひつつもおなしみやこはなくさめきたひねそこひのかきりなりける | 藤原家成 | 七 | 恋上 |
| 211 | 風をいたみ岩うつ波のおのれのみ砕けてものを思ふころかな かせをいたみいはうつなみのおのれのみくたけてものをおもふころかな | 源重之 | 七 | 恋上 |
| 212 | わが恋は吉野の山の奥なれや思ひいれども逢ふ人もなし わかこひはよしののやまのおくなれやおもひいれともあふひともなし | 藤原顕季 | 七 | 恋上 |
| 213 | 胸は富士袖は清見が関なれや煙も波も立たぬ日ぞなき むねはふしそてはきよみかせきなれやけふりもなみもたたぬひそなき | 平祐挙 | 七 | 恋上 |
| 214 | いたづらに千束朽ちにし錦木を猶こりづまにおもひたつかな いたつらにちつかくちにしにしききをなほこりつまにおもひたつかな | 藤原永実 | 七 | 恋上 |
| 215 | 山櫻つひに咲くべきものならば人の心をつくさざらなむ やまさくらつひにさくへきものならはひとのこころをつくささらなむ | 道命法師 | 七 | 恋上 |
| 216 | 霜置かぬ人の心はうつろひて面がはりせぬ白菊の花 しもおかぬひとのこころはうつろひておもかはりせぬしらきくのはな | 源家時 | 七 | 恋上 |
| 217 | 白菊のかはらぬいろも頼まれずうつろはでやむ秋しなければ しらきくのかはらぬいろもたのまれすうつろはてやむあきしなけれは | 藤原公実 | 七 | 恋上 |
| 218 | くれなゐの濃染の衣うへにきむ恋の涙の色隠るやと くれなゐのこそめのころもうへにきむこひのなみたのいろかくるやと | 藤原顕綱 | 七 | 恋上 |
| 219 | しのぶれど涙ぞしるきくれなゐに物思ふ袖は染むべかりけり しのふれとなみたそしるきくれなゐにものおもふそてはそむへかりけり | 源道済 | 七 | 恋上 |
| 220 | くれなゐに涙の色もなりにけり変るは人の心のみかは くれなゐになみたのいろもなりにけりかはるはひとのこころのみかは | 源雅光 | 七 | 恋上 |
| 221 | 恋ひ死なむ身こそおもへば惜しからね憂きも辛きも人の咎かは こひしなむみこそおもへはをしからねうきもつらきもひとのとかかは | 平実重 | 七 | 恋上 |
| 222 | 辛さをば君にならひて知りぬるを嬉しきことを誰にとはまし つらさをはきみにならひてしりぬるをうれしきことをたれにとはまし | 道命法師 | 七 | 恋上 |
| 223 | 嬉しきはいかばかりかは思ふらむ憂きは身にしむものにぞありける うれしきはいかはかりかはおもふらむうきはみにしむものにそありける | 藤原道信 | 七 | 恋上 |
| 224 | 恋すれば憂き身さへこそ惜しまるれおなじ世にだに住まむとおもへば こひすれはうきみさへこそをしまるれおなしよにたにすまむとおもへは | 心覚法師 | 七 | 恋上 |
| 225 | みかきもり衛士の焚く火の夜は燃え昼は消えつつものをこそおもへ みかきもりゑしのたくひのよるはもえひるはきえつつものをこそおもへ | 大中臣能宣 | 七 | 恋上 |
| 226 | わが恋やふたみかはれる玉くしげいかにすれども逢ふかたもなき わかこひやふたみかはれるたまくしけいかにすれともあふかたもなき | 読人知らず | 七 | 恋上 |
| 227 | こほりして音はせねども山川の下は流るるものと知らずや こほりしておとはせねともやまかはのしたになかるるものとしらすや | 藤原範永 | 七 | 恋上 |
| 228 | 風ふけば藻鹽の煙かたよりに靡くを人の心ともがな かせふけはもしほのけふりかたよりになひくをひとのこころともかな | 藤原親隆 | 七 | 恋上 |
| 229 | 瀬をはやみ岩にせかるる滝川のわれてもすゑにあはむとぞ思ふ せをはやみいはにせかるるたきかはのわれてもすゑにあはむとそおもふ | 崇徳院 | 七 | 恋上 |
| 230 | 播磨なる飾磨に染むるあながちに人を恋ひしと思ふころかな はりまなるしかまにそむるあなかちにひとをこひしとおもふころかな | 曾禰好忠 | 七 | 恋上 |
| 231 | ほどもなく暮るると思ひし冬の日のこころもとなき折もありけり ほともなくくるるとおもひしふゆのひのこころもとなきをりもありけり | 道命法師 | 七 | 恋上 |
| 232 | 恋ひわびてひとり伏せ屋に夜もすがら落つる涙や音無の瀧 こひわひてひとりふせやによもすからおつるなみたやおとなしのたき | 藤原俊忠 | 七 | 恋上 |
| 233 | 君をわが思ふこころは大原やいつしかとのみすみやかれつつ きみをわかおもふこころはおほはらやいつしかとのみすみやかれつつ | 藤原相如 | 八 | 恋下 |
| 234 | わか恋はあひそめてこそまさりけれ飾磨の褐の色ならねども わかこひはあひそめてこそまさりけれしかまのかちのいろならねとも | 藤原道経 | 八 | 恋下 |
| 235 | 夜をふかみ帰りし空もなかりしをいづくより置く露にぬれけむ よをふかみかへりしそらもなかりしをいつくよりおくつゆにぬれけむ | 清原元輔 | 八 | 恋下 |
| 236 | こころをば留めてこそは帰りつれあやしや何の暮をまつらむ こころをはととめてこそはかへりつれあやしやなにのくれをまつらむ | 藤原顕広 | 八 | 恋下 |
| 237 | 竹の葉に玉ぬく露にあらねどもまだ夜をこめて置きにけるかな たけのはにたまぬくつゆにあらねともまたよをこめておきにけるかな | 藤原実方 | 八 | 恋下 |
| 238 | みな人の惜しむ日なれど我はただ遅く暮れゆく嘆きをぞする みなひとのをしむひなれとわれはたたおそくくれゆくなけきをそする | 読人知らず | 八 | 恋下 |
| 239 | 住吉の浅澤小野の忘れ水たえだえならであふよしもがな すみよしのあささはをののわすれみつたえたえならてあふよしもかな | 藤原範綱 | 八 | 恋下 |
| 240 | 我のみや思ひおこせむあぢきなく人はゆくへも知らぬものゆゑ われのみやおもひおこせむあちきなくひとはゆくへもしらぬものゆゑ | 和泉式部 | 八 | 恋下 |
| 241 | 思ふことなくて過ぎつる世の中につひにこころをとどめつるかな おもふことなくてすきつるよのなかにつひにこころをととめつるかな | 大江為基 | 八 | 恋下 |
| 242 | つねよりも露けかりける今宵かなこれや秋立つはじめなるらむ つねよりもつゆけかりけるこよひかなこれやあきたつはしめなるらむ | 祐子内親王家紀伊 | 八 | 恋下 |
| 243 | せきとむる岩間の水もおのづから下には通ふものとこそきけ せきとむるいはまのみつもおのつからしたにはかよふものとこそきけ | 坂上明兼 | 八 | 恋下 |
| 244 | あふことはまばらにあめる伊予すだれいよいよ我をわびさするかな あふことはまはらにあめるいよすたれいよいよわれをわひさするかな | 恵慶法師 | 八 | 恋下 |
| 245 | いづくをも夜がるることのわりなきに二つに分くる我が身ともがな いつくをもよかるることのわりなきにふたつにわくるわかみともかな | 源雅定 | 八 | 恋下 |
| 246 | もろともにおきゐる露のなかりせば誰とか秋の夜をあかさまし もろともにおきゐるつゆのなかりせはたれとかあきのよをあかさまし | 赤染衛門 | 八 | 恋下 |
| 247 | 来たりとも寝るまもあらじ夏の夜の有明月もかたぶきにけり きたりともぬるまもあらしなつのよのありあけつきもかたふきにけり | 曾禰好忠 | 八 | 恋下 |
| 248 | こぬ人をうらみもはてじ契り置きしその言の葉もなさけならずや こぬひとをうらみもはてしちきりおきしそのことのはもなさけならすや | 藤原忠通 | 八 | 恋下 |
| 249 | 夕暮に物思ふことはまさるやと我ならざらむ人にとはばや ゆふくれにものおもふことはまさるやとわれならさらむひとにとははや | 和泉式部 | 八 | 恋下 |
| 250 | なみださへいでにしかたをながめつつ心にもあらぬ月をみしかな なみたさへいてにしかたをなかめつつこころにもあらぬつきをみしかな | 和泉式部 | 八 | 恋下 |
| 251 | つらしとて我さへ人を忘れなばさりとて仲の絶えやはつべき つらしとてわれさへひとをわすれなはさりとてなかのたえやはつへき | 読人知らず | 八 | 恋下 |
| 252 | あふことや涙の玉の緒なるらむしばし絶ゆれば落ちてみだるる あふことやなみたのたまのをなるらむしはしたゆれはおちてみたるる | 平公誠 | 八 | 恋下 |
| 253 | 御狩野のしばしのこひはさもあらばあれ背りはてぬるか矢形尾の鷹 みかりののしはしのこひはさもあらはあれそりはてぬるかやかたをのたか | 最厳法師 | 八 | 恋下 |
| 254 | 竹の葉にあられふるなりさらさらにひとりは寝べき心地こそせね たけのはにあられふるなりさらさらにひとりはぬへきここちこそせね | 和泉式部 | 八 | 恋下 |
| 255 | ありふるも苦しかりけりながらへぬ人の心を命ともがな ありふるもくるしかりけりなからへぬひとのこころをいのちともかな | 相模 | 八 | 恋下 |
| 256 | うきながらさすがにものの悲しきは今は限りと思ふなりけり うきなからさすかにもののかなしきはいまはかきりとおもふなりけり | 清原元輔 | 八 | 恋下 |
| 257 | とはぬまをうらむらさきにさく藤の何とてまつにかかりそめけむ とはぬまをうらむらさきにさくふちのなにとてまつにかかりそめけむ | 俊子内親王大進 | 八 | 恋下 |
| 258 | 思ひやれかけひの水の絶え絶えになりゆくほどの心細さを おもひやれかけひのみつのたえたえになりゆくほとのこころほそさを | 高階章行女 | 八 | 恋下 |
| 259 | うぐひすは木つたふ花の枝にても谷の古巣をおもひわするな うくひすはこつたふはなのえたにてもたにのふるすをおもひわするな | 律師仁祐 | 八 | 恋下 |
| 260 | うぐひすは花のみやこも旅なれば谷の古巣を忘れやはする うくひすははなのみやこもたひなれはたにのふるすをわすれやはする | 行尊 | 八 | 恋下 |
| 261 | 夜をかさね霜とともにしおきゐればありしばかりの夢だにもみず よをかさねしもとともにしおきゐれはありしはかりのゆめたにもみす | 皇嘉門院出雲 | 八 | 恋下 |
| 262 | 逢ふことも我が心よりありしかば恋は死ぬとも人は恨みじ あふこともわかこころよりありしかはこひはしぬともひとはうらみし | 源国信 | 八 | 恋下 |
| 263 | 汲みみてし心ひとつをしるべにて野中の清水わすれやはする くみみてしこころひとつをしるへにてのなかのしみつわすれやはする | 藤原仲実 | 八 | 恋下 |
| 264 | 浅茅生にけさ置く露の寒けくにかれにし人のなぞやこひしき あさちふにけさおくつゆのさむけくにかれにしひとのなそやこひしき | 藤原基俊 | 八 | 恋下 |
| 265 | 忘らるる身はことわりと知りながら思ひあへぬは涙なりけり わすらるるみはことわりとしりなからおもひあへぬはなみたなりけり | 清少納言 | 八 | 恋下 |
| 266 | いまよりは訪へともいはじ我ぞただ仁を忘るることをしるべき いまよりはとへともいはしわれそたたひとをわするることをしるへき | 読人知らず | 八 | 恋下 |
| 267 | さりとては誰にかいはむ今はただ人を忘るるこころ教へよ さりとてはたれにかいはむいまはたたひとをわするるこころをしへよ | 読人知らず | 八 | 恋下 |
| 268 | まだ知らぬことをばいかが教ふべき人を忘るる身にしあらねば またしらぬことをはいかかをしふへきひとをわするるみにしあらねは | 藤原通俊 | 八 | 恋下 |
| 269 | いくかへりつらしと人をみくまののうらめしながら恋しかるらむ いくかへりつらしとひとをみくまののうらめしなからこひしかるらむ | 和泉式部 | 八 | 恋下 |
| 270 | 夕暮は待たれしものを今はただ行くらむかたを思ひこそやれ ゆふくれはまたれしものをいまはたたゆくらむかたをおもひこそやれ | 相模 | 八 | 恋下 |
| 271 | わすらるる人目ばかりを嘆きにて恋しきことのなからましかば わすらるるひとめはかりをなけきにてこひしきことのなからましかは | 読人知らず | 八 | 恋下 |
| 272 | 春霞かすめるかたや津の国のほのみしま江のわたりなるらむ はるかすみかすめるかたやつのくにのほのみしまえのわたりなるらむ | 源頼家 | 九 | 雑上 |
| 273 | 須磨の浦に焼く塩釜のけぶりこそ春にしられぬ霞なりけれ すまのうらにやくしほかまのけふりこそはるにしられぬかすみなりけれ | 源俊頼 | 九 | 雑上 |
| 274 | なみたてる松のしづ枝をくもでにて霞わたれる天の橋立 なみたてるまつのしつえをくもてにてかすみわたれるあまのはしたて | 源俊頼 | 九 | 雑上 |
| 275 | ながゐすな都の花も咲きぬらむ我もなにゆゑ急ぐ綱手ぞ なかゐすなみやこのはなもさきぬらむわれもなにゆゑいそくつなてそ | 平忠盛 | 九 | 雑上 |
| 276 | 木のもとをすみかとすればをのづから花見る人となりぬべきかな このもとをすみかとすれはおのつからはなみるひととなりぬへきかな | 花山院 | 九 | 雑上 |
| 277 | 散らぬまに今ひとたびも見てしがな花にさきだつ身ともこそなれ ちらぬまにいまひとたひもみてしかなはなにさきたつみともこそなれ | 天台座主源心 | 九 | 雑上 |
| 278 | 春くればあぢか潟のみひとかたに浮くてふ魚の名こそ惜しけれ はるくれはあちかたたのみひとかたにうくてふうをのなこそをしけれ | 大江匡房 | 九 | 雑上 |
| 279 | 身をしらで人をうらむる心こそ散る花よりもはかなかりけれ みをしらてひとをうらむるこころこそちるはなよりもはかなかりけれ | 藤原頼宗 | 九 | 雑上 |
| 280 | 春の来ぬところはなきを白河のわたりにのみや花はさくらむ はるのこぬところはなきをしらかはのわたりにのみやはなはさくらむ | 小式部内侍 | 九 | 雑上 |
| 281 | たれかこの數はさだめし我はただとへとぞおもふ山吹のはな たれかこのかすはさためしわれはたたとへとそおもふやまふきのはな | 藤原道綱母 | 九 | 雑上 |
| 282 | 春日山北の藤波咲きしよりさかゆべしとはかねてしりにき かすかやまきたのふちなみさきしよりさかゆへしとはかねてしりにき | 源師頼 | 九 | 雑上 |
| 283 | 美作や久米のさら山とおもへどもわかの浦とぞいふべかりける みまさかやくめのさらやまとおもへともわかのうらとそいふへかりける | 読人知らず | 九 | 雑上 |
| 284 | 和歌の浦といふにてしりぬ風ふかば波のたちことおもふなるべし わかのうらといふにてしりぬかせふかはなみのたちことおもふなるへし | 藤原長実 | 九 | 雑上 |
| 285 | くもゐよりつらぬきかくる白玉をたれぬのひきの瀧といひけむ くもゐよりつらぬきかくるしらたまをたれぬのひきのたきといひけむ | 藤原隆季 | 九 | 雑上 |
| 286 | 難波江のしげき蘆間をこぐ舟はさをのおとにぞ行くかたをしる なにはえのしけきあしまをこくふねはさをのおとにそゆくかたをしる | 源行宗 | 九 | 雑上 |
| 287 | 思ひいでもなくてやわが身やみなましをばすて山の月みざりせは おもひいてもなくてやわかみやみなましをはすてやまのつきみさりせは | 律師済慶 | 九 | 雑上 |
| 288 | 名にたかきをばすて山も見しかどもこよひばかりの月はなかりき なにたかきをはすてやまもみしかともこよひはかりのつきはなかりき | 藤原為実 | 九 | 雑上 |
| 289 | 月は入り人はいでなばとまりゐてひとりや我が空をながめむ つきはいりひとはいてなはとまりゐてひとりやわれかそらをなかめむ | 大中臣能宣 | 九 | 雑上 |
| 290 | 池水にやどれる月はそれながらながむる人のかげぞ変れる いけみつにやとれるつきはそれなからなかむるひとのかけそかはれる | 小一條院 | 九 | 雑上 |
| 291 | 世の中をおもひないりそ三笠山さしいづる月のすまむかぎりは よのなかをおもひないりそみかさやまさしいつるつきのすまむかきりは | 読人知らず | 九 | 雑上 |
| 292 | 月きよみ田中にたてる仮庵のかげばかりこそくもりなりけれ つききよみたなかにたてるかりいほのかけはかりこそくもりなりけれ | 崇徳院 | 九 | 雑上 |
| 293 | 澄みのぼる月のひかりにさそはれて雲の上までゆくこころかな すみのほるつきのひかりにさそはれてくものうへまてゆくこころかな | 三条実行 | 九 | 雑上 |
| 294 | 板間より月のもるをも見つるかな宿は荒して住むべかりけり いたまよりつきのもるをもみつるかなやとはあらしてすむへかりけり | 良暹法師 | 九 | 雑上 |
| 295 | くまもなく信太の森の下晴れて千枝のかずさへ見ゆる月かな くまもなくしのたのもりのしたはれてちえのかすさへみゆるつきかけ | 徳大寺実能 | 九 | 雑上 |
| 296 | さびしさに家出しぬべき山里を今宵の月におもひとまりぬ さひしさにいへてしぬへきやまさとをこよひのつきにおもひとまりぬ | 源道済 | 九 | 雑上 |
| 297 | ゆく人も天のとわたる心地して雲の波路に月を見るかな ゆくひともあまのとわたるここちしてくものなみちにつきをみるかな | 平忠盛 | 九 | 雑上 |
| 298 | 君まつと山の端いでて山の端に入るまで月を眺めつるかな きみまつとやまのはいててやまのはにいるまてつきをなかめつるかな | 橘為義 | 九 | 雑上 |
| 299 | いかなれば待つにはいづる月なれど入るを心にまかせざるらむ いかなれはまつにはいつるつきなれといるをこころにまかせさるらむ | 藤原公実 | 九 | 雑上 |
| 300 | こころみにほかの月をも見てしがな我が宿からのあはれなるかと こころみにほかのつきをもみてしかなわかやとからのあはれなるかと | 花山院 | 九 | 雑上 |
| 301 | うらめしく帰りけるかな月夜には来ぬ人をだに待つとこそきけ うらめしくかへりけるかなつきよにはこぬひとをたにまつとこそきけ | 具平親王 | 九 | 雑上 |
| 302 | かご山の白雲かかる峰にてもおなじたかさぞ月はみえける かこやまのしらくもかかるみねにてもおなしたかさそつきはみえける | 大江嘉言 | 九 | 雑上 |
| 303 | よもすがら富士の高嶺に雲きえて清見が関にすめる月かな よもすからふしのたかねにくもきえてきよみかせきにすめるつきかな | 藤原顕輔 | 九 | 雑上 |
| 304 | 山城の石田の森のいはずともこころのうちを照らせ月影 やましろのいはたのもりのいはすともこころのうちをてらせつきかけ | 藤原輔尹 | 九 | 雑上 |
| 305 | 月にこそむかしのことはおぼえけれ我を忘るる人にみせばや つきにこそむかしのことはおほえけれわれをわするるひとにみせはや | 中原長国 | 九 | 雑上 |
| 306 | ながらへば思ひいでにせむ思ひいでよ君とみかさの山の端の月 なからへはおもひいてにせむおもひいてよきみとみかさのやまのはのつき | 琳賢法師 | 九 | 雑上 |
| 307 | 逢坂の関の杉原下晴れて月のもるにぞまかせたりける あふさかのせきのすきはらしたはれてつきのもるにそまかせたりける | 大江匡房 | 九 | 雑上 |
| 308 | つれづれと荒れたる宿を眺むれば月ばかりこそ昔なりけれ つれつれとあれたるやとをなかむれはつきはかりこそむかしなりけれ | 藤原伊周 | 九 | 雑上 |
| 309 | 深くいりて住まばやと思ふ山の端をいかなる月のいづるなるらむ ふかくいりてすまはやとおもふやまのはをいかなるつきのいつるなるらむ | 高松上 | 九 | 雑上 |
| 310 | をのが身のをのが心にかなはぬを思はばものは思ひ知りなむ おのかみのおのかこころにかなはぬをおもははものはおもひしりなむ | 和泉式部 | 九 | 雑上 |
| 311 | あやめ草かりにも来らむものゆゑに閨の妻とや人のみつらむ あやめくさかりにもくらむものゆゑにねやのつまとやひとのみるらむ | 和泉式部 | 九 | 雑上 |
| 312 | 人しれずもの思ふことはならひにき花にわかれぬ春しなければ ひとしれすものおもふことはならひにきはなにわかれぬはるしなけれは | 和泉式部 | 九 | 雑上 |
| 313 | おもはれぬ空のけしきを見るからに我もしぐるる神無月かな おもはれぬそらのけしきをみるからにわれもしくるるかみなつきかな | 読人知らず | 九 | 雑上 |
| 314 | あだ人はしぐるる夜半の月なれやすむとてえこそ頼むまじけれ あたひとはしくるるよはのつきなれやすむとてえこそたのむましけれ | 待賢門院堀河 | 九 | 雑上 |
| 315 | 誰が里にかたらひかねてほととぎす帰る山路のたよりなるらむ たかさとにかたらひかねてほとときすかへるやまちのたよりなるらむ | 読人知らず | 九 | 雑上 |
| 316 | よしさらばつらさは我にならひけり頼めてこぬは誰かをしへし よしさらはつらさはわれにならひけりたのめてこぬはたれかをしへし | 清少納言 | 九 | 雑上 |
| 317 | かづきけむ袂は雨にいかがせし濡るるはさてもおもひしれかし かつきけむたもとはあめにいかかせしぬるるはさてもおもひしれかし | 江侍従 | 九 | 雑上 |
| 318 | 深くしも頼まざらなむ君ゆゑに雪ふみわけて夜な夜なぞゆく ふかくしもたのまさらなむきみゆゑにゆきふみわけてよなよなそゆく | 曾禰好忠 | 九 | 雑上 |
| 319 | よの人のまだしらぬまの薄ごほり見わかぬほどに消えねとぞ思ふ よのひとのまたしらぬまのうすこほりみわかぬほとにきえねとそおもふ | 赤染衛門 | 九 | 雑上 |
| 320 | 秋はみな思ふことなき荻の葉も末たわむまで露は置くめり あきはみなおもふことなきをきのはもすゑたわむまてつゆはおくめり | 和泉式部 | 九 | 雑上 |
| 321 | いかなればおなじ流れの水にしもさのみは月のうつるなるらむ いかなれはおなしなかれのみつにしもさのみはつきのうつるなるらむ | 藤原忠清 | 九 | 雑上 |
| 322 | 住吉の細江にさせるみをつくし深きにまけぬ人はあらじな すみよしのほそえにさせるみをつくしふかきにまけぬひとはあらしな | 相模 | 九 | 雑上 |
| 323 | ふる雨のあしともおつる涙かなこまかにものを思ひくだけば ふるあめのあしともおつるなみたかなこまかにものをおもひくたけは | 藤原道綱母 | 九 | 雑上 |
| 324 | 神無月ありあけの空のしぐるるをまた我ならぬ人やみるらむ かみなつきありあけのそらのしくるるをまたわれならぬひとやみるらむ | 赤染衛門 | 九 | 雑上 |
| 325 | 忍ぶるも苦しかりけり數ならぬ身には涙のなからましかば しのふるもくるしかりけりかすならぬみにはなみたのなからましかは | 出羽辨 | 九 | 雑上 |
| 326 | 音せぬは苦しきものを身にちかくなるとていとふ人もありけり おとせぬはくるしきものをみにちかくなるとていとふひともありけり | 和泉式部 | 九 | 雑上 |
| 327 | ひとの世にふたたび死ぬるものならばしのびけりやと心みてまし ひとのよにふたたひしぬるものならはしのひけりやとこころみてまし | 大弐三位 | 九 | 雑上 |
| 328 | 夕霧に佐野の舟橋おとすなり手馴れの駒の帰りくるかも ゆふきりにさののふなはしおとすなりてなれのこまのかへりくるかも | 源俊雅母 | 九 | 雑上 |
| 329 | 住吉の波にひたれる松よりも神のしるしぞあらはれにける すみよしのなみにひたれるまつよりもかみのしるしそあらはれにける | 藤原資業 | 九 | 雑上 |
| 330 | いかでかくねををしむらむあやめ草うきには聲もたてつべき世を いかてかくねををしむらむあやめくさうきにはこゑもたてつへきよを | 周防内侍 | 九 | 雑上 |
| 331 | 世の中にふるかひもなき竹のこはわがつむ年をたてまつるなり よのなかにふるかひもなきたけのこはわかつむとしをたてまつるなり | 花山院 | 九 | 雑上 |
| 332 | 年へぬる竹のよはひを返しても子のよをながくなさむとぞ思ふ としへぬるたけのよはひをかへしてもこのよをなかくなさむとそおもふ | 冷泉院 | 九 | 雑上 |
| 333 | あしかれとおもはぬ山の峰にだに生ふなるものを人のなげきは あしかれとおもはぬやまのみねにたにおふなるものをひとのなけきは | 和泉式部 | 九 | 雑上 |
| 334 | ひたぶるに山田もる身となりぬれば我のみ人をおどろかすかな ひたふるにやまたもるみとなりぬれはわれのみひとをおとろかすかな | 能因法師 | 九 | 雑上 |
| 335 | 三笠山さすがに蔭にかくろへてふるかひもなきあめのしたかな みかさやまさすかにかけにかくろへてふるかひもなきあめのしたかな | 源仲正 | 九 | 雑上 |
| 336 | 君引かずなりなましかばあやめ草いかなるねをか今日はかけまし きみひかすなりなましかはあやめくさいかなるねをかけふはかけまし | 平致経 | 九 | 雑上 |
| 337 | おもひかね別れし野邊を来てみれば浅茅が原に秋風ぞふく おもひかねわかれしのへをきてみれはあさちかはらにあきかせそふく | 源道済 | 九 | 雑上 |
| 338 | ふるさとへ我はかへりぬ武隈のまつとは誰につげよとかおもふ ふるさとへわれはかへりぬたけくまのまつとはたれにつけよとかおもふ | 橘為仲 | 九 | 雑上 |
| 339 | 枯れはつる藤の末葉の悲しきはただ春の日をたのむばかりぞ かれはつるふちのすゑはのかなしきはたたはるのひをたのむはかりそ | 藤原顕輔 | 九 | 雑上 |
| 340 | 夜の鶴みやこのうちにはなたれて子を恋ひつつもなきあかすかな よるのつるみやこのうちにはなたれてこをこひつつもなきあかすかな | 高内侍 | 九 | 雑上 |
| 341 | 身のうさは過ぎぬるかたを思ふにもいまゆくすゑのことぞかなしき みのうさはすきぬるかたをおもふにもいまゆくすゑのことそかなしき | 源師頼 | 九 | 雑上 |
| 342 | 埋れ木の下は朽つれぞいにしへの花の心は忘れざりけり うもれきのしたはくつれといにしへのはなのこころはわすれさりけり | 大江匡房 | 九 | 雑上 |
| 343 | 今はただ昔ぞつねに恋ひらるる残りありしを思ひ出にして いまはたたむかしそつねにこひらるるのこりありしをおもひてにして | 藤原伊通 | 九 | 雑上 |
| 344 | 老いてのち昔をしのぶ涙こそここら人目をしのばざりけれ おいてのちむかしをしのふなみたこそここらひとめをしのはさりけれ | 清原元輔 | 九 | 雑上 |
| 345 | ゆくすゑのいにしへばかり恋しくは過ぐる月日も歎かざらまし ゆくすゑのいにしへはかりこひしくはすくるつきひもなけかさらまし | 賀茂政平 | 九 | 雑上 |
| 346 | 厭ひてもなほ惜しまるる我が身かなふたたび来べきこの世ならねば いとひてもなほをしまるるわかみかなふたたひくへきこのよならねは | 藤原季通 | 九 | 雑上 |
| 347 | 難波江の蘆間にやどる月みれば我が身ひとつはしづまざりけり なにはえのあしまにやとるつきみれはわかみひとつもしつまさりけり | 藤原顕輔 | 九 | 雑上 |
| 348 | 蘆火たくやまのすみかは世の中をあくがれいづる門出なりけり あしひたくまやのすみかはよのなかをあくかれいつるかとてなりけり | 源俊頼 | 十 | 雑下 |
| 349 | 賤の女がゑぐつむ澤の薄氷いつまでふべき我が身なるらむ しつのめかゑくつむさはのうすこほりいつまてふへきわかみなるらむ | 源俊頼 | 十 | 雑下 |
| 350 | むかしみし雲ゐをこひて蘆鶴の澤邊に鳴くや我が身なるらむ むかしみしくもゐをこひてあしたつのさはへになくやわかみなるらむ | 藤原公重 | 十 | 雑下 |
| 351 | 三日月のまた有明になりぬるや憂き世をめぐるためしなるらむ みかつきのまたありあけになりぬるやうきよをめくるためしなるらむ | 藤原教長 | 十 | 雑下 |
| 352 | ちる花にまたもや逢はむおぼつかなその春までと知らぬ身なれば ちるはなにまたもやあはむおほつかなそのはるまてとしらぬみなれは | 藤原実方 | 十 | 雑下 |
| 353 | 朝な朝な鹿のしがらむ萩の枝の末葉の露のありがたの世や あさなあさなしかのしからむはきかえのすゑはのつゆのありかたのよや | 増基法師 | 十 | 雑下 |
| 354 | 花薄まねかばここにとまりなむいづれの野邊もつひのすみかぞ はなすすきまねかはここにとまりなむいつれののへもつひのすみかそ | 源親元 | 十 | 雑下 |
| 355 | よそにみし尾花がすゑの白露はあるかなきかの我が身なりけり よそにみしをはなかすゑのしらつゆはあるかなきかのわかみなりけり | 四條中宮 | 十 | 雑下 |
| 356 | かくしつつ今はとならむ時にこそ悔しきことのかひもなからめ かくしつついまはとならむときにこそくやしきことのかひもなからめ | 花山院 | 十 | 雑下 |
| 357 | 夕暮はものぞかなしき鐘の音をあすもきくべき身とし知らねば ゆふくれはものそかなしきかねのおとをあすもきくへきみとししらねは | 和泉式部 | 十 | 雑下 |
| 358 | うぐひすの鳴くになみだの落つるかなまたもや春にあはむとすらむ うくひすのなくになみたのおつるかなまたもやはるにあはむとすらむ | 藤原教良母 | 十 | 雑下 |
| 359 | みな人のむかしがたりになりゆくをいつまでよそに聞かむとすらむ みなひとのむかしかたりになりゆくをいつまてよそにきかむとすらむ | 法橋清昭 | 十 | 雑下 |
| 360 | この世だに月まつほどはくるしきにあはれいかなる闇にまどはむ このよたにつきまつほとはくるしきにあはれいかなるやみにまとはむ | 源顕仲女 | 十 | 雑下 |
| 361 | おぼつかなまだみぬ道を死出の山雪ふみわけて越えむとすらむ おほつかなまたみぬみちをしてのやまゆきふみわけてこえむとすらむ | 良暹法師 | 十 | 雑下 |
| 362 | 代らむと祈るいのちは惜しからでさても別れむことぞ悲しき かはらむといのるいのちはをしからてさてもわかれむことそかなしき | 赤染衛門 | 十 | 雑下 |
| 363 | この世にはまたもあふまじ梅の花ちりぢりならむことぞかなしき このよにはまたもあふましうめのはなちりちりならむことそかなしき | 行尊 | 十 | 雑下 |
| 364 | この身をばむなしきものと知りぬれば罪えむこともあらじとぞ思ふ このみをはむなしきものとしりぬれはつみえむこともあらしとそおもふ | 読人知らず | 十 | 雑下 |
| 365 | わが思ふことのしげさにくらぶれば信太の森の千枝はかずかは わかおもふことのしけさにくらふれはしのたのもりのちえはかすかは | 増基法師 | 十 | 雑下 |
| 366 | 網代にはしづむ水屑もなかりけり宇治のわたりに我やすままし あしろにはしつむみくつもなかりけりうちのわたりにわれやすままし | 大江以言 | 十 | 雑下 |
| 367 | 大原やまだすみがまもならはねばわが宿のみぞけぶりたえたる おほはらやまたすみかまもならはねはわかやとのみそけふりたえたる | 良暹法師 | 十 | 雑下 |
| 368 | なみだ河その水上をたづぬれば世のうきめよりいづるなりけり なみたかはそのみなかみをたつぬれはよのうきめよりいつるなりけり | 賢智法師 | 十 | 雑下 |
| 369 | 思ひやれこころの水のあさければかき流すべき言の葉もなし おもひやれこころのみつのあさけれはかきなかすへきことのはもなし | 三条実行 | 十 | 雑下 |
| 370 | かりそめのうきよのやみをかきわけてうらやましくもいづる月かな かりそめのうきよのやみをかきわけてうらやましくもいつるつきかな | 大江匡房 | 十 | 雑下 |
| 371 | 帰る雁西へゆきせばたまづさにおもふことをばかきつけてまし かへるかりにしへゆきせはたまつさにおもふことをはかきつけてまし | 沙弥蓮寂 | 十 | 雑下 |
| 372 | 身をすつる人はまことにすつるかはすてぬ人こそすつるなりけれ みをすつるひとはまことにすつるかはすてぬひとこそすつるなりけれ | 読人知らず | 十 | 雑下 |
| 373 | 筑波山ふかくうれしと思ふかな濱名の橋にわたす心を つくはやまふかくうれしとおもふかなはまなのはしにわたすこころを | 太皇大后宮肥後 | 十 | 雑下 |
| 374 | 年を経て星をいただく黒髪のひとよりしもになりにけるかな としをへてほしをいたたくくろかみのひとよりしもになりにけるかな | 大中臣能宣 | 十 | 雑下 |
| 375 | 雲の上は月こそさやにさえわたれまだとどこほるものや何なり くものうへはつきこそさやにさえわたれまたととこほるものやなになり | 津守国基 | 十 | 雑下 |
| 376 | とどこほることはなけれど住吉のまつ心にやひさしかるらむ ととこほることはなけれとすみよしのまつこころにやひさしかるらむ | 藤原顕季 | 十 | 雑下 |
| 377 | 白河の流れをたのむこころをば誰かはそらにくみてしるべき しらかはのなかれをたのむこころをはたれかはそらにくみてしるへき | 藤原成通 | 十 | 雑下 |
| 378 | ももとせは花にやどりてすぐしてきこの世は蝶の夢にざりける ももとせのはなにやとりてすくしてきこのよはてふのゆめにさりける | 大江匡房 | 十 | 雑下 |
| 379 | ひさかたの天の香具山いづる日もわが方にこそひかりさすらめ ひさかたのあまのかくやまいつるひもわかかたにこそひかりさすらめ | 崇徳院 | 十 | 雑下 |
| 380 | このもとにかきあつめつる言の葉をははその森のかたみとはみよ このもとにかきあつめつることのはをははそのもりのかたみとはみよ | 源義国妻 | 十 | 雑下 |
| 381 | 思ひかねそなたの空をながむればただ山の端にかかる白雲 おもひかねそなたのそらをなかむれはたたやまのはにかかるしらくも | 藤原忠通 | 十 | 雑下 |
| 382 | わたのはら漕ぎいでてみればひさかたの雲ゐにまがふ沖つ白波 わたのはらこきいててみれはひさかたのくもゐにまかふおきつしらなみ | 藤原忠通 | 十 | 雑下 |
| 383 | うちむれて高倉山につむ花はあらたなき代の富草のはな うちむれてたかくらやまにつむものはあらたなきよのとみくさのはな | 藤原家経 | 十 | 雑下 |
| 384 | 板倉の山田につめる稲をみてをさまれる代のほどをしるかな いたくらのやまたにつめるいねをみてをさまれるよのほとをしるかな | 藤原顕輔 | 十 | 雑下 |
| 385 | 水上をさだめてければ君が代にふたたびすめる堀河の水 みなかみをさためてけれはきみかよにふたたひすめるほりかはのみつ | 曾禰好忠 | 十 | 雑下 |
| 386 | いさやまだつづきもしらぬ高嶺にてまづくる人にみやこをぞとふ いさやまたつつきもしらぬたかねにてまつくるひとにみやこをそとふ | 藤原頼通 | 十 | 雑下 |
| 387 | みやこにてながめし月のもろともに旅の空にもいでにけるかな みやこにてなかめしつきのもろともにたひのそらにもいてにけるかな | 道命法師 | 十 | 雑下 |
| 388 | みやこにてながめし月をみるときは旅の空ともおぼえざりけり みやこにてなかめしつきをみるときはたひのそらともおほえさりけり | 藤原伊周 | 十 | 雑下 |
| 389 | 風越の峰のうへにてみる時は雲はふもとのものにぞありける かさこしのみねのうへにてみるときはくもはふもとのものにそありける | 藤原家経 | 十 | 雑下 |
| 390 | むかしみし垂井の水はかはらねどうつれる影ぞ年をへにける むかしみしたるゐのみつはかはらねとうつれるかけそとしをへにける | 藤原隆経 | 十 | 雑下 |
| 391 | 思ひいでもなきふるさとの山なれど隠れゆくはたあはれなりけり おもひいてもなきふるさとのやまなれとかくれゆくはたあはれなりけり | 大江正言 | 十 | 雑下 |
| 392 | いにしへを恋ふるなみだにくらされておぼろにみゆる秋の夜の月 いにしへをこふるなみたにくらされておほろにみゆるあきのよのつき | 藤原公任 | 十 | 雑下 |
| 393 | そのことと思はぬだにもあるものをなに心地して月をみるらむ そのこととおもはぬたにもあるものをなにここちしてつきをみるらむ | 藤原頼宗 | 十 | 雑下 |
| 394 | 夢ならでまたもあふべき君ならばねられぬいをもなげかざらまし ゆめならてまたもあふへききみならはねられぬいをもなけかさらまし | 藤原相如 | 十 | 雑下 |
| 395 | 思ひかねながめしかども鳥辺山はてはけぶりもみえずなりにき おもひかねなかめしかともとりへやまはてはけふりもみえすなりにき | 円融院 | 十 | 雑下 |
| 396 | ゆふまぐれ木繁き庭をながめつつ木の葉とともにおつるなみだか ゆふまくれこしけきにはをなかめつつこのはとともにおつるなみたか | 少将義孝 | 十 | 雑下 |
| 397 | 人しれずもの思ふこともありしかど子のことばかりかなしきはなし ひとしれすものおもふこともありしかとこのことはかりかなしきはなし | 待賢門院安芸 | 十 | 雑下 |
| 398 | 生ひたたで枯れぬとききしこのもとのいかでなげきの森となるらむ おひたたてかれぬとききしこのもとのいかてなけきのもりとなるらむ | 清原元輔 | 十 | 雑下 |
| 399 | けふよりは天の河霧たちわかれいかなる空にあはむとすらむ けふよりはあまのかはきりたちわかれいかなるそらにあはむとすらむ | 清原元輔 | 十 | 雑下 |
| 400 | たなはたは後のけふをも頼むらむこころぼそきは我が身なりけり たなはたはのちのけふをもたのむらむこころほそきはわかみなりけり | 読人知らず | 十 | 雑下 |
| 401 | あさましや君に着すべき墨染のころもの袖をわが濡らすかな あさましやきみにきすへきすみそめのころものそてをわかぬらすかな | 神祇伯源顕仲 | 十 | 雑下 |
| 402 | こぞの春ちりにし花もさきにけりあはれ別れのかからましかは こそのはるちりにしはなもさきにけりあはれわかれのかからましかは | 赤染衛門 | 十 | 雑下 |
| 403 | いづる息のいるを待つまもかたき世を思ひしるらむ袖はいかにそ いつるいきのいるをまつまもかたきよをおもひしるらむそてはいかにそ | 崇徳院 | 十 | 雑下 |
| 404 | 涙のみ袂にかかる世の中に身さへ朽ちぬることぞかなしき なみたのみたもとにかかるよのなかにみさへくちぬることそかなしき | 藤原有信 | 十 | 雑下 |
| 405 | をりをりのつらさを何になげきけむやがてなき世もあはれありけり をりをりのつらさをなにになけきけむやかてなきよもあはれありけり | 読人知らず | 十 | 雑下 |
| 406 | 人をとふ鐘のこゑこそあはれなれいつか我が身にならむとすらむ ひとをとふかねのこゑこそあはれなれいつかわかみにならむとすらむ | 読人知らず | 十 | 雑下 |
| 407 | 悔しくも見そめけるかななべて世のあはれとばかり聞かましものを くやしくもみそめけるかななへてよのあはれとはかりきかましものを | 四條中宮 | 十 | 雑下 |
| 408 | かくてのみ世にありあけの月ならば雲かくしてよ天くだる神 かくてのみよにありあけのつきならはくもかくしてよあまくたるかみ | 読人知らず | 十 | 雑下 |
| 409 | 長き夜のくるしきことを思へかしなになげくらむ仮のやどりに なかきよのくるしきことをおもへかしなになけくらむかりのやとりに | 読人知らず | 十 | 雑下 |
| 410 | 思へども忌むとていはぬことなればそなたにむきて音をのみぞ泣く おもへともいむとていはぬことなれはそなたにむきてねをのみそなく | 選子内親王 | 十 | 雑下 |
| 411 | あくがるる身のはかなさはももとせのなかばすぎてぞ思ひしらるる あくかるるみのはかなさはももとせのなかはすきてそおもひしらるる | 源顕仲 | 十 | 雑下 |
| 412 | 露の身のきえてほとけになることはつとめてのちぞ知るべかりける つゆのみのきえてほとけになることはつとめてのちそしるへかりける | 読人知らず | 十 | 雑下 |
| 413 | よそになど佛の道をたづぬらむわが心こそしるべなりけれ よそになとほとけのみちをたつぬらむわかこころこそしるへなりけれ | 藤原忠通 | 十 | 雑下 |
| 414 | いかで我こころの月をあらはして闇にまどへる人を照らさむ いかてわれこころのつきをあらはしてやみにまとへるひとをてらさむ | 藤原顕輔 | 十 | 雑下 |
| 415 | 世の中の人のこころのうき雲にそらがくれする有明の月 よのなかのひとのこころのうきくもにそらかくれするありあけのつき | 登蓮法師 | 十 | 雑下 |
※読人(作者)についてはできる限り正確に整えておりますが、誤りもある可能性があります。ご了承ください。官位ではなく本名で掲載しています。
※作者検索をしたいときは、藤原、源といったいわゆる氏を除いた名のみで検索することをおすすめいたします。
※濁点につきましては原文通り加えておりません。時間的余裕があれば書き加えてまいります。
※検索機能のために歌の句切れについては間隔を開けずに掲載しております。一部の歌で言葉が2つの句にまたがることがあるためです。(逢坂の関など)