枕詞 「ちはやぶる」和歌集 百人一首、万葉集、古今、後撰、拾遺、新古今などから54首!

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ちはやぶるの歌

在原業平ありわらのなりひら
ちはやぶる
神代かみよもきかず
竜田川たつたがわ
唐紅からくれない
みずくくるとは

「ちはやぶる」は神の枕詞です。「千早振る」と書きます。「ち」は神の力。「はや」はその力が強大であることを意味しているとされます。万葉集199においては本来の意味で用いられている。

以下の勅撰和歌集においては「神」のほかに、「賀茂」、「宇治」、「神無月」、「あさまのたけ」、「いつきの宮」、「かしゐの宮」などに用いられている。賀茂は京都の賀茂神社、宇治の橋とは日本三古橋の一つで宇治川にかかる。

ちはやぶるの歌集ごとの数と割合

万葉 古今 後撰 拾遺 後拾 金葉 詞花 千載 新古
16 9 8 10 2 2 0 5 2
0.4 0.5 0.6 0.7 0.2 0.3 0 0.4 0.1
※上は歌の数、下は割合(パーセント)です
※カウントは枕詞、そのままの意味の両方をカウントしています

百人一首

17番 古今 294-秋歌下 在原業平ちはやぶる 神世もきかず 竜田川 唐紅に 水くくるとは

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万葉集

2巻-101 大伴安麻呂玉葛実ならぬ木にはちはやぶる神ぞつくといふならぬ木ごとに

2巻-199 柿本人麻呂かけまくも ゆゆしきかも (ゆゆしけれども) 言はまくも あやに畏き 明日香の 真神の原に ひさかたの 天つ御門を 畏くも 定めたまひて 神さぶと 磐隠ります やすみしし 我が大君の きこしめす 背面の国の 真木立つ 不破山超えて 高麗剣 和射見が原の 仮宮に 天降りいまして 天の下 治めたまひ (掃ひたまひて) 食す国を 定めたまふと 鶏が鳴く 東の国の 御いくさを 召したまひて ちはやぶる 人を和せと 奉ろはぬ 国を治めと (掃へと) 皇子ながら 任したまへば 大御身に 大刀取り佩かし 大御手に 弓取り持たし 御軍士を 率ひたまひ 整ふる 鼓の音は 雷の 声と聞くまで 吹き鳴せる 小角の音も (笛の音は) 敵見たる 虎か吼ゆると 諸人の おびゆるまでに (聞き惑ふまで) ささげたる 幡の靡きは 冬こもり 春さり来れば 野ごとに つきてある火の (冬こもり 春野焼く火の) 風の共 靡くがごとく 取り持てる 弓弭の騒き み雪降る 冬の林に (木綿の林) つむじかも い巻き渡ると 思ふまで 聞きの畏く (諸人の 見惑ふまでに) 引き放つ 矢の繁けく 大雪の 乱れて来れ (霰なす そちより来れば) まつろはず 立ち向ひしも 露霜の 消なば消ぬべく 行く鳥の 争ふはしに (朝霜の 消なば消とふに うつせみと 争ふはしに) 渡会の 斎きの宮ゆ 神風に い吹き惑はし 天雲を 日の目も見せず 常闇に 覆ひ賜ひて 定めてし 瑞穂の国を 神ながら 太敷きまして やすみしし 我が大君の 天の下 申したまへば 万代に しかしもあらむと (かくしもあらむと) 木綿花の 栄ゆる時に 我が大君 皇子の御門を (刺す竹の 皇子の御門を) 神宮に 装ひまつりて 使はしし 御門の人も 白栲の 麻衣着て 埴安の 御門の原に あかねさす 日のことごと 獣じもの い匍ひ伏しつつ ぬばたまの 夕になれば 大殿を 振り放け見つつ 鶉なす い匍ひ廻り 侍へど 侍ひえねば 春鳥の さまよひぬれば 嘆きも いまだ過ぎぬに 思ひも いまだ尽きねば 言さへく 百済の原ゆ 神葬り 葬りいまして あさもよし 城上の宮を 常宮と 高く奉りて 神ながら 鎮まりましぬ しかれども 我が大君の 万代と 思ほしめして 作らしし 香具山の宮 万代に 過ぎむと思へや 天のごと 振り放け見つつ 玉たすき 懸けて偲はむ 畏かれども

※万葉集で最長の長歌。ここでの「ちはやぶる」は枕詞というよりも、本来の「千早ぶ」としての、「狂暴な力」を意味する。つまり「東の国へ軍を率いて、狂暴な者を平定し、治めよ」。人麻呂は枕詞の達人であり、この歌には15以上の枕詞が使用されている(諸説あり)。

3巻-405 娘子ちはやぶる神の社しなかりせば春日の野辺に粟蒔かましを

4巻-559 土師水道ちはやぶる神の社に我が懸けし幣は賜らむ妹に逢はなくに

4巻-620 坂上郎女おしてる 難波の菅の ねもころに 君が聞こして 年深く 長くし言へば まそ鏡 磨ぎし心を ゆるしてし その日の極み 波の共 靡く玉藻の かにかくに 心は持たず 大船の 頼める時に ちはやぶる 神か離くらむ うつせみの 人か障ふらむ 通はしし 君も来まさず 玉梓の 使も見えず なりぬれば いたもすべなみ ぬばたまの 夜はすがらに 赤らひく 日も暮るるまで 嘆けども 験をなみ 思へども たづきを知らに たわや女と 言はくもしるく たわらはの 音のみ泣きつつ た廻り 君が使を 待ちやかねてむ

7巻-1230 古集ちはやぶる鐘の岬を過ぎぬとも我れは忘れじ志賀の皇神

11巻-2416 柿本人麻呂歌集ちはやぶる神の持たせる命をば誰がためにかも長く欲りせむ

11巻-2664 夜並べて君を来ませとちはやぶる神の社を祷まぬ日はなし

11巻-2666 我妹子にまたも逢はむとちはやぶる神の社を祷まぬ日はなし

11巻-2667 ちはやぶる神の斎垣も越えぬべし今は我が名の惜しけくもなし

13巻-3254 そらみつ 大和の国 あをによし 奈良山越えて 山背の 管木の原 ちはやぶる 宇治の渡り 瀧つ屋の 阿後尼の原を 千年に 欠くることなく 万代に あり通はむと 山科の 石田の杜の すめ神に 幣取り向けて 我れは越え行く 逢坂山を

13巻-3258 大君の 命畏み 見れど飽かぬ 奈良山越えて 真木積む 泉の川の 早き瀬を 棹さし渡り ちはやぶる 宇治の渡りの たきつ瀬を 見つつ渡りて 近江道の 逢坂山に 手向けして 我が越え行けば 楽浪の 志賀の唐崎 幸くあらば またかへり見む 道の隈 八十隈ごとに 嘆きつつ 我が過ぎ行けば いや遠に 里離り来ぬ いや高に 山も越え来ぬ 剣太刀 鞘ゆ抜き出でて 伊香胡山 いかにか我がせむ ゆくへ知らずて

16巻-3856 車持娘子さ丹つらふ 君がみ言と 玉梓の 使も来ねば 思ひ病む 我が身ひとつぞ ちはやぶる 神にもな負ほせ 占部据ゑ 亀もな焼きそ 恋ひしくに 痛き我が身ぞ いちしろく 身にしみ通り むらきもの 心砕けて 死なむ命 にはかになりぬ 今さらに 君か我を呼ぶ たらちねの 母のみ言か 百足らず 八十の衢に 夕占にも 占にもぞ問ふ 死ぬべき我がゆゑ

17巻-4056 大伴家持大君の 遠の朝廷ぞ み雪降る 越と名に追へる 天離る 鄙にしあれば 山高み 川とほしろし 野を広み 草こそ茂き 鮎走る 夏の盛りと 島つ鳥 鵜養が伴は 行く川の 清き瀬ごとに 篝さし なづさひ上る 露霜の 秋に至れば 野も多に 鳥すだけりと 大夫の 友誘ひて 鷹はしも あまたあれども 矢形尾の 我が大黒に (大黒者蒼鷹之名也) 白塗の 鈴取り付けて 朝猟に 五百つ鳥立て 夕猟に 千鳥踏み立て 追ふ毎に 許すことなく 手放れも をちもかやすき これをおきて またはありがたし さ慣らへる 鷹はなけむと 心には 思ひほこりて 笑まひつつ 渡る間に 狂れたる 醜つ翁の 言だにも 我れには告げず との曇り 雨の降る日を 鳥猟すと 名のみを告りて 三島野を そがひに見つつ 二上の 山飛び越えて 雲隠り 翔り去にきと 帰り来て しはぶれ告ぐれ 招くよしの そこになければ 言ふすべの たどきを知らに 心には 火さへ燃えつつ 思ひ恋ひ 息づきあまり けだしくも 逢ふことありやと あしひきの をてもこのもに 鳥網張り 守部を据ゑて ちはやぶる 神の社に 照る鏡 倭文に取り添へ 祈ひ祷みて 我が待つ時に 娘子らが 夢に告ぐらく 汝が恋ふる その秀つ鷹は 松田江の 浜行き暮らし つなし捕る 氷見の江過ぎて 多古の島 飛びた廻り 葦鴨の すだく古江に 一昨日も 昨日もありつ 近くあらば いま二日だみ 遠くあらば 七日のをちは 過ぎめやも 来なむ我が背子 ねもころに な恋ひそよとぞ いまに告げつる

20巻-4447 神人部子忍男ちはやぶる神の御坂に幣奉り斎ふ命は母父がため

20巻-4510 大伴家持久方の 天の門開き 高千穂の 岳に天降りし 皇祖の 神の御代より はじ弓を 手握り持たし 真鹿子矢を 手挟み添へて 大久米の ますらたけをを 先に立て 靫取り負ほせ 山川を 岩根さくみて 踏み通り 国求ぎしつつ ちはやぶる 神を言向け まつろはぬ 人をも和し 掃き清め 仕へまつりて 蜻蛉島 大和の国の 橿原の 畝傍の宮に 宮柱 太知り立てて 天の下 知らしめしける 天皇の 天の日継と 継ぎてくる 君の御代御代 隠さはぬ 明き心を すめらへに 極め尽して 仕へくる 祖の官と 言立てて 授けたまへる 子孫の いや継ぎ継ぎに 見る人の 語り継ぎてて 聞く人の 鏡にせむを 惜しき 清きその名ぞ おぼろかに 心思ひて 空言も 祖の名絶つな 大伴の 氏と名に負へる 大夫の伴

古今和歌集

254-秋歌下 読人知らずちはやぶる 神なび山の もみぢ葉に 思ひはかけじ うつろふものを

262-秋歌下 紀貫之ちはやぶる 神のいがきに はふくずも 秋にはあへず うつろひにけり

294-秋歌下 在原業平ちはやぶる 神世もきかず 竜田川 唐紅に 水くくるとは

348-賀歌 僧正遍照ちはやぶる 神や切りけむ つくからに 千歳の坂も 越えぬべらなり

487-恋歌一 読人知らずちはやぶる 賀茂のやしろの ゆふだすき ひと日も君を かけぬ日はなし

904-雑歌上 読人知らずちはやぶる 宇治の橋守 なれをしぞ あはれとは思ふ 年のへぬれば

1002-雑体 紀貫之ちはやぶる 神の御代より 呉竹の 世よにも絶えず 天彦の 音羽の山の 春霞 思ひ乱れて 五月雨の 空もとどろに 小夜ふけて 山郭公 鳴くごとに 誰も寝ざめて 唐錦 竜田の山の もみぢ葉を 見てのみしのぶ 神無月 時雨しぐれて 冬の夜の 庭もはだれに 降る雪の なほ消えかへり 年ごとに 時につけつつ あはれてふ ことを言ひつつ 君をのみ 千代にと祝ふ 世の人の 思ひするがの 富士の嶺の もゆる思ひも あかずして わかるる涙 藤衣 おれる心も 八千草の 言の葉ごとに すべらぎの おほせかしこみ まきまきの 中につくすと 伊勢の海の 浦のしほ貝 拾ひ集め 取れりとすれど 玉の緒の 短き心 思ひあへず なほあらたまの 年をへて 大宮にのみ 久方の 昼夜わかず つかふとて かへりみもせぬ 我が宿の しのぶ草おふる 板間あらみ ふる春雨の もりやしぬらむ

1005-雑体 凡河内躬恒ちはやぶる 神無月とや 今朝よりは 雲りもあへず 初時雨 紅葉と共に ふるさとの 吉野の山の 山嵐も 寒く日ごとに なりゆけば 玉の緒とけて こき散らし あられ乱れて 霜こほり いや固まれる 庭の面に むらむら見ゆる 冬草の 上に降りしく 白雪の つもりつもりて あらたまの 年をあまたも すぐしつるかな

1100-東歌 藤原敏行ちはやぶる 賀茂のやしろの 姫小松 よろづ世ふとも 色はかはらじ

後撰和歌集

457-冬 読人知らず ちはやふる神かき山のさか木はは時雨に色もかはらさりけり

469-冬 読人知らず ちはやふる神な月こそかなしけれわか身時雨にふりぬと思へは

658-恋二 平定文 何事を今はたのまんちはやふる神もたすけぬわか身なりけり

659-恋二 おほつふね ちはやふる神もみみこそなれぬらしさまさまいのる年もへぬれは

781-恋三 藤原滋幹 ちはやふる神ひきかけてちかひてしこともゆゆしくあらかふなゆめ

1025-恋六 読人知らず ちはやふる神にもあらぬわかなかの雲井遥に成りもゆくかな

1026-恋六 読人知らず 千早振神にも何にたとふらんおのれくもゐに人をなしつつ

1131-雑二 三条右大臣(定方) かくてのみやむへきものかちはやふるかもの社のよろつ世を見む

拾遺和歌集

264-賀 大中臣能宣 ちはやふるひらのの松の枝しけみ千世もやちよも色はかはらし

※平野神社

569-雑下 柿本人麻呂(人麿) ちはやふるわかおほきみのきこしめすあめのしたなる草の葉もうるひにたりと山河のすめるかうちとみこころをよしののくにの花さかり秋つののへに宮はしらふとしきましてももしきの大宮人は舟ならへあさ河わたりふなくらへゆふかはわたりこの河のたゆる事なくこの山のいやたかからしたま水のたきつの宮こ見れとあかぬかも

596-神楽歌 柿本人麻呂(人麿) ちはやふる神のたもてるいのちをはたれかためにか長くと思はん

597-神楽歌 柿本人麻呂(人麿) 千早振かみも思ひのあれはこそ年へてふしの山ももゆらめ

601-神楽歌 大中臣能宣 ちはやふるみ神の山のさか木ははさかえそまさるすゑの世まてに

656-恋一 読人知らず いつとてかわかこひやまむちはやふるあさまのたけのけふりたゆとも

868-恋四 読人知らず 我やうき人やつらきとちはやふる神てふ神にとひ見てしかな

924-恋四 柿本人麻呂(人麿) ちはやふる神のいかきもこえぬへし今はわか身のをしけくもなし

1150-雑秋 読人知らず ちはやふる神のいかきに事ふりてそらよりかかるゆふにそありける

1235-雑恋 兵衛 ちはやふるかもの河辺のふちなみはかけてわするる時のなきかな

後拾遺和歌集

1168-雑六 源兼澄 ちはやふる松のをやまの影みればけふぞちとせのはじめなりける

1170-雑六 藤原経衡 ちはやふる神のそのなる姫小松よろづよふべきはじめなりけり

金葉和歌集

522-雑上 神主大膳武忠 ちはやふる香椎の宮の杉の葉をふたたびかざす君ぞわが君

650-雑下 和泉式部 ちはやぶるかみをば足に巻くものかこれをぞしものやしろとはいふ

詞花和歌集

なし

千載和歌集

616-賀 京極前太政大臣 ちはやふるいつきの宮のありす川松とともにそかけはすむへき

621-賀 八条前太政大臣 ちはやふる神代のことも人ならは問はましものをしらきくのはな

635-賀 前中納言匡房 ちはやふる神田のさとのいねなれは月日とともにひさしかるへし

909-恋五 馬内侍 ちはやふるかものやしろの神もきけ君わすれすはわれもわすれし

970-雑上 藤原実方朝臣 ちはやふるいつきの宮のたひねにはあふひそ草の枕なりけり

新古今和歌集

1858-神祇 読人知らず 人しれすいまやいまやとちはやふる神さふるまて君をこそまて

1886-神祇 読人知らず ちはやふるかしゐの宮のあやすきは神のみそきにたてるなりけり