枕詞 「くさまくら」の和歌集 万葉集、古今、後撰、拾遺、後拾遺、金葉、千載、新古今から77首!

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「くさまくら」の歌

「くさまくら」は旅、度、結ふ、夕、結ぶ、露などにかかる枕詞。「草枕」と書く。

草で枕を結び作って、野宿することを草枕という。旅そのものを草枕ともいう。

「くさまくら」の歌集ごとの数と割合

万葉 古今 後撰 拾遺 後拾 金葉 詞花 千載 新古
49 1 4 3 2 2 0 8 8
1.1 0.1 0.3 0.2 0.2 0.3 0 0.6 0.4
※上は歌の数、下は割合(パーセント)です
※カウントは枕詞、そのままの意味の両方をカウントしています

百人一首

なし

万葉集

1巻-5 軍王霞立つ 長き春日の 暮れにける わづきも知らず むらきもの 心を痛み ぬえこ鳥 うら泣け居れば 玉たすき 懸けのよろしく 遠つ神 我が大君の 行幸の 山越す風の ひとり居る 我が衣手に 朝夕に 返らひぬれば 大夫と 思へる我れも 草枕 旅にしあれば 思ひ遣る たづきを知らに 網の浦の 海人娘子らが 焼く塩の 思ひぞ焼くる 我が下心

1巻-45 柿本人麻呂やすみしし 我が大君 高照らす 日の皇子 神ながら 神さびせすと 太敷かす 都を置きて 隠口の 初瀬の山は 真木立つ 荒き山道を 岩が根 禁樹押しなべ 坂鳥の 朝越えまして 玉限る 夕去り来れば み雪降る 安騎の大野に 旗すすき 小竹を押しなべ 草枕 旅宿りせす いにしへ思ひて

1巻-69 清江娘子草枕旅行く君と知らませば岸の埴生ににほはさましを

2巻-142 有間皇子家にあれば笥に盛る飯を草枕旅にしあれば椎の葉に盛る

2巻-194 柿本人麻呂飛ぶ鳥の 明日香の川の 上つ瀬に 生ふる玉藻は 下つ瀬に 流れ触らばふ 玉藻なす か寄りかく寄り 靡かひし 嬬の命の たたなづく 柔肌すらを 剣太刀 身に添へ寝ねば ぬばたまの 夜床も荒るらむ (荒れなむ) そこ故に 慰めかねて けだしくも 逢ふやと思ひて (君も逢ふやと) 玉垂の 越智の大野の 朝露に 玉藻はひづち 夕霧に 衣は濡れて 草枕 旅寝かもする 逢はぬ君故

3巻-366 笠金村越の海の 角鹿の浜ゆ 大船に 真楫貫き下ろし 鯨魚取り 海道に出でて 喘きつつ 我が漕ぎ行けば ますらをの 手結が浦に 海女娘子 塩焼く煙 草枕 旅にしあれば ひとりして 見る験なみ 海神の 手に巻かしたる 玉たすき 懸けて偲ひつ 大和島根を

3巻-415 聖徳太子家にあらば妹が手まかむ草枕旅に臥やせるこの旅人あはれ

3巻-426 柿本人麻呂草枕旅の宿りに誰が嬬か国忘れたる家待たまくに

3巻-451 大伴旅人人もなき空しき家は草枕旅にまさりて苦しかりけり

3巻-460 坂上郎女栲づのの 新羅の国ゆ 人言を よしと聞かして 問ひ放くる 親族兄弟 なき国に 渡り来まして 大君の 敷きます国に うち日さす 都しみみに 里家は さはにあれども いかさまに 思ひけめかも つれもなき 佐保の山辺に 泣く子なす 慕ひ来まして 敷栲の 家をも作り あらたまの 年の緒長く 住まひつつ いまししものを 生ける者 死ぬといふことに 免れぬ ものにしあれば 頼めりし 人のことごと 草枕 旅なる間に 佐保川を 朝川渡り 春日野を そがひに見つつ あしひきの 山辺をさして 夕闇と 隠りましぬれ 言はむすべ 為むすべ知らに たもとほり ただひとりして 白栲の 衣袖干さず 嘆きつつ 我が泣く涙 有間山 雲居たなびき 雨に降りきや

4巻-543 笠金村大君の 行幸のまにま もののふの 八十伴の男と 出で行きし 愛し夫は 天飛ぶや 軽の路より 玉たすき 畝傍を見つつ あさもよし 紀路に入り立ち 真土山 越ゆらむ君は 黄葉の 散り飛ぶ見つつ にきびにし 我れは思はず 草枕 旅をよろしと 思ひつつ 君はあらむと あそそには かつは知れども しかすがに 黙もえあらねば 我が背子が 行きのまにまに 追はむとは 千たび思へど 手弱女の 我が身にしあれば 道守の 問はむ答へを 言ひやらむ すべを知らにと 立ちてつまづく

4巻-549 天地の神も助けよ草枕旅行く君が家にいたるまで

4巻-566 大伴百代草枕旅行く君を愛しみたぐひてぞ来し志賀の浜辺を

4巻-621 佐伯東人妻間なく恋ふれにかあらむ草枕旅なる君が夢にし見ゆる

4巻-622 佐伯東人草枕旅に久しくなりぬれば汝をこそ思へな恋ひそ我妹

4巻-634 娘子家にして見れど飽かぬを草枕旅にも妻とあるが羨しさ

4巻-635 湯原王草枕旅には妻は率たれども櫛笥のうちの玉をこそ思へ

8巻-1532 笠金村草枕旅行く人も行き触ればにほひぬべくも咲ける萩かも

9巻-1727 あさりする人とを見ませ草枕旅行く人に我が名は告らじ

9巻-1747 高橋虫麻呂歌集白雲の 龍田の山の 瀧の上の 小椋の嶺に 咲きををる 桜の花は 山高み 風しやまねば 春雨の 継ぎてし降れば ほつ枝は 散り過ぎにけり 下枝に 残れる花は しましくは 散りな乱ひそ 草枕 旅行く君が 帰り来るまで

9巻-1757 高橋虫麻呂歌集草枕 旅の憂へを 慰もる こともありやと 筑波嶺に 登りて見れば 尾花散る 師付の田居に 雁がねも 寒く来鳴きぬ 新治の 鳥羽の淡海も 秋風に 白波立ちぬ 筑波嶺の よけくを見れば 長き日に 思ひ積み来し 憂へはやみぬ

9巻-1790 遣唐使母秋萩を 妻どふ鹿こそ 独り子に 子持てりといへ 鹿子じもの 我が独り子の 草枕 旅にし行けば 竹玉を 繁に貫き垂れ 斎瓮に 木綿取り垂でて 斎ひつつ 我が思ふ我子 ま幸くありこそ

10巻-2163 草枕旅に物思ひ我が聞けば夕かたまけて鳴くかはづかも

12巻-3134 里離り遠くあらなくに草枕旅とし思へばなほ恋ひにけり

12巻-3141 草枕旅の悲しくあるなへに妹を相見て後恋ひむかも

12巻-3145 我妹子し我を偲ふらし草枕旅のまろ寝に下紐解けぬ

12巻-3146 草枕旅の衣の紐解けて思ほゆるかもこの年ころは

12巻-3147 草枕旅の紐解く家の妹し我を待ちかねて嘆かふらしも

12巻-3176 草枕旅にし居れば刈り薦の乱れて妹に恋ひぬ日はなし

12巻-3184 草枕旅行く君を人目多み袖振らずしてあまた悔しも

12巻-3216 草枕旅行く君を荒津まで送りぞ来ぬる飽き足らねこそ

13巻-3252 ひさかたの都を置きて草枕旅行く君をいつとか待たむ

13巻-3272 うちはへて 思ひし小野は 遠からぬ その里人の 標結ふと 聞きてし日より 立てらくの たづきも知らず 居らくの 奥処も知らず にきびにし 我が家すらを 草枕 旅寝のごとく 思ふそら 苦しきものを 嘆くそら 過ぐしえぬものを 天雲の ゆくらゆくらに 葦垣の 思ひ乱れて 乱れ麻の をけをなみと 我が恋ふる 千重の一重も 人知れず もとなや恋ひむ 息の緒にして

13巻-3346 見欲しきは 雲居に見ゆる うるはしき 鳥羽の松原 童ども いざわ出で見む こと放けば 国に放けなむ こと放けば 家に放けなむ 天地の 神し恨めし 草枕 この旅の日に 妻放くべしや

13巻-3347 草枕この旅の日に妻離り家道思ふに生けるすべなし

14巻-3403 我が恋はまさかも愛し草枕多胡の入野の奥も愛しも

15巻-3612 壬生宇太麻呂あをによし奈良の都に行く人もがも草枕旅行く船の泊り告げむに (旋頭歌也)

15巻-3637 草枕旅行く人を伊波比島幾代経るまで斎ひ来にけむ

15巻-3674 壬生宇太麻呂草枕旅を苦しみ恋ひ居れば可也の山辺にさを鹿鳴くも

15巻-3719 草枕旅に久しくあらめやと妹に言ひしを年の経ぬらく

17巻-3927 坂上郎女草枕旅行く君を幸くあれと斎瓮据ゑつ我が床の辺に

17巻-3936 平群女郎草枕旅にしばしばかくのみや君を遣りつつ我が恋ひ居らむ

17巻-3937 平群女郎草枕旅去にし君が帰り来む月日を知らむすべの知らなく

18巻-4128 大伴池主草枕旅の翁と思ほして針ぞ賜へる縫はむ物もが

19巻-4263 櫛も見じ屋内も掃かじ草枕旅行く君を斎ふと思ひて

20巻-4325 丈部黒當父母も花にもがもや草枕旅は行くとも捧ごて行かむ

20巻-4406 大伴部節麻呂我が家ろに行かも人もが草枕旅は苦しと告げ遣らまくも

20巻-4416 妻椋椅部刀自賣草枕旅行く背なが丸寝せば家なる我れは紐解かず寝む

20巻-4420 椋椅部弟女草枕旅の丸寝の紐絶えば我が手と付けろこれの針持し

古今和歌集

376-離別 寵 朝なげに 見べき君とし たのまねば 思ひたちぬる 草枕なり

後撰和歌集

692-恋二 読人知らず 草枕このたひへつる年月のうきは帰りてうれしからなん

1358-離別羈旅 伊勢 草枕たひとなりなは山のへにしらくもならぬ我ややとらむ

1364-離別羈旅 亭子院 草枕紅葉むしろにかへたらは心をくたく物ならましや

1366-離別羈旅 読人知らず 草枕ゆふてはかりはなになれやつゆもなみたもおきかへりつつ

拾遺和歌集

345-別 大中臣能宣 草枕我のみならすかりかねもたひのそらにそなき渡るなる

346-別 読人知らず 君をのみこひつつたひの草枕つゆしけからぬあか月そなき

1326-哀傷 源順 草枕人はたれとかいひおきしつひのすみかはの山とそ見る

後拾遺和歌集

530-羈旅 藤原隆家 さもこそは都のほかにやどりせめうたて露けき草枕かな

1213-雑六 小大君 道芝やおどろの髪にならされて移れる香こそ草枕なれ

金葉和歌集

369-恋上 藤原公実 これにしく思ひはなきを草まくら旅にかへすはいな莚とや

554-雑上 藤原宗通 草枕さこそは仮のとこならめ今朝しも置きて帰るべしやは

詞花和歌集

なし

千載和歌集

342-秋下 俊盛法師 衣うつおとをきくにそしられぬる里とほからぬ草枕とは

514-羈旅 同院安芸 ささのはをゆふ暮なからをりしけは玉ちるたひのくさ枕かな

528-羈旅 太皇太后宮小侍従 草枕おなしたひねの袖にまた夜はのしくれもやとはかりけり

533-羈旅 慈円 たひのよに又たひねして草まくらゆめのうちにも夢をみるかな

534-羈旅 左兵衛督隆房 草まくらかりねの夢にいくたひかなれし都にゆきかへるらん

537-羈旅 円玄法師 かくしつつつひにとまらむよもきふのおもひしらるる草枕かな

710-恋二 藤原顕仲 むすひおくふしみのさとの草枕とけてやみぬるたひにも有るかな

823-恋三 よみ人しらす おきてゆく涙のかかる草まくら露しけしとや人のあやめん

新古今和歌集

905-羈旅 紀貫之 草まくらゆふ風さむくなりにけり衣うつなるやとやからまし

923-羈旅 赤染衛門 ありしよのたひはたひともあらさりきひとりつゆけき草枕かな

925-羈旅 源師頼 草枕たひねの人は心せよありあけの月もかたふきにけり

931-羈旅 大江嘉言 草枕ほとそへにける宮こいてていくよかたひの月にねぬらん

960-羈旅 藤原秀能 くさまくらゆふへのそらを人とははなきてもつけよはつかりのこゑ

1150-恋三 謙徳公 かきりなくむすひをきつる草枕いつこのたひをおもひわすれん

1165-恋三 読人知らず かりそめにふしみののへの草枕つゆかかりきと人にかたるな

1315-恋四 飛鳥井雅経 草枕むすひさためんかたしらすならはぬ野への夢のかよひち