和泉式部の和歌集 勅撰和歌集 八代集より。平安中期の貴族文化

スポンサーリンク

八代古今後撰拾遺後拾遺金葉詞花千載新古今百人一首六歌仙三十六歌仙枕詞動詞光る君へ

あらざらむこの世のほかのおもひでに今ひとたびの逢ふこともがな

勅撰和歌集(八代集)に収録された和泉式部の和歌の一部を紹介します。

    スポンサーリンク

    和泉式部について

    • 恋に生きた女流歌人。
    • 和泉式部日記の作者とされる。(第三者の作、藤原俊成の作の説あり)
    978 誕生?
    996 橘道貞と結婚。小式部内侍を出産
    999 道貞が和泉守となる。(大阪府和泉市府中町に国府が所在)
    1003 12月18日に宮廷入り。
    1008 中宮彰子に出任。
    1013 藤原保昌と再婚。丹後へ。
    1025 小式部内侍没。

    和泉式部の勅撰和歌集

    後拾遺和歌集

    912-雑二 ぬれぎぬと人にはいはむ紫のねずりの衣うはぎなりとも

    13-春上 春霞たつやおそきと山川の岩間をくぐる音きこゆなり

    25-春上 ひきつれてけふは子の日の松にまたいま千歳をぞ野べにいでつる

    35-春上 春日野は雪のみつむとみしかどもおひいづるものは若菜なりけり

    48-春上 秋までの命もしらず春の野に萩のふるえをやくときくかな

    57-春上 春はただ我が宿にのみ梅さかばかれにし人もみにときなまし

    100-春上 みやこ人いかにととはば見せもせむかの山ざくら一枝もがな

    101-春上 人も見ぬ宿に桜をうゑたれば花もてやつす身とぞなりぬる

    102-春上 わかやどの桜はかひもなかりけりあるじからこそ人も見にくれ

    148-春下 風だにもふきはらはずば庭桜ちるとも春のうちはみてまし

    150-春下 岩つつじ折りもてぞ見るせこがきし紅染めの色ににたれば

    165-夏 桜色に染めし衣をぬぎかへて山ほととぎすけふよりぞまつ

    293-秋上 晴れずのみ物ぞ悲しき秋霧は心のうちに立つにやあるらん

    299-秋上 かぎりあらん仲ははかなくなりぬとも露けき萩の上をだにとへ

    317-秋上 ありとても頼むべきかは世の中をしらするものはあさがほの花

    334-秋上 なにしかは人もきてみんいとどしく物思ひまさる秋の山里

    390-冬 さびしさに煙をだにもたたじとて柴をりくぶる冬の山里

    414-冬 こりつみてまきのすみやくけをぬるみ大原山の雪のむらぎえ

    509-羈旅 こととはばありのまにまに都鳥みやこのことを我にきかせよ

    539-哀傷 たちのぼるけぶりにつけておもふかないつまたわれを人のかくみむ

    568-哀傷 とどめおきて誰をあはれとおもふらむこはまさるらむこはまさりけり

    573-哀傷 今はただそよその事と思ひいでて忘るばかりの憂き事もがな

    574-哀傷 捨てはてむと思ふさへこそ悲しけれ君になれにし我が身と思へば

    575-哀傷 なき人のくるよときけど君もなし我がすむやどやたまなきの里

    611-恋一 おぼめくなたれともなくて宵々に夢にみえけむ我ぞそのひと

    635-恋一 下きゆる雪間の草のめづらしく我が思ふ人に逢ひ見てしがな

    681-恋二 おきながらあかしつるかなともねせぬ鴨の上毛の霜ならなくに

    691-恋二 津の國のこやとも人をいふべきにひまこそなけれ葦の八重葺き

    703-恋二 見し人に忘れられてふる袖ににこそ身をしる雨はいつもをやまね

    711-恋二 今宵さへあらばかくこそ思ほえめ今日暮れぬまの命ともがな

    745-恋三 なかなかに憂かりしままにやみにせば忘るる程になりもしなまし

    746-恋三 憂き世をもまたたれにかはなぐさめん思ひしらずもとはぬ君かな

    755-恋三 黒髪の乱れてしらずうちふせばまづかきやりし人ぞ恋しき

    757-恋三 なきながす涙にたへでたえぬればはなだの帯の心地こそすれ

    763-恋三 百人一首 詳しくみる あらざらむこの世のほかのおもひでに今ひとたびの逢ふこともがな

    776-恋四 われといかにつれなくなりて試みんつらき人こそ忘れがたけれ

    790-恋四 世の中に恋てふ色はなけれども深く身にしむ物にぞありける

    799-恋四 ひたすらに軒のあやめのつくづくと思へばねのみかかる袖かな

    800-恋四 たぐひなき憂き身なりけり思ひしる人だにあらばとひこそはせめ

    801-恋四 君こふる心はちぢに砕くれど一つもうせぬものにぞありける

    802-恋四 なみだ川おなじ身よりは流るれど恋をば消たぬものにぞありける

    817-恋四 さまざまに思ふ心はあるものをおしひたすらに濡るる袖かな

    820-恋四 人の身も恋ひはかへつ夏蟲のあらはにもゆとみえぬばかりぞ

    821-恋四 かるもかき臥す猪の床のいを安みさこそねざらめかからずもがな

    831-恋四 白露も夢もこの世もまぼろしもたとへていはば久しかりけり

    909-雑二 ふしにけりさしも思はば笛竹のおとをぞせまし夜更けたりとも

    910-雑二 やすらはでたつにたてうき真木の戸をさしも思はぬ人もありけり

    919-雑二 いづくにかきても隠れむ隔てつる心の隈のあらばこそあらめ

    920-雑二 やすらひにまきの戸こそはささざらめいかに明けぬる冬の夜ならむ

    924-雑二 いづかたに行くとばかりはつげてましとふべき人のある身と思はば

    925-雑二 かくばかり忍ぶる雨を人とはばなににぬれたる袖といふらむ

    926-雑二 空になる人の心はささがにのいかにけふ又かくてくらさむ

    927-雑二 三笠山さしはなれぬとききしかど雨もよにとは思ひしものを

    950-雑二 君はまだしらざりけりな秋の夜のこのまの月ははつかにぞみる

    963-雑二 とへとしも思はぬ八重の山吹をゆるすといはばをりにこむとや

    964-雑二 あぢきなく思ひこそやれつれづれとひとりやゐでの山吹の花

    967-雑二 長しとて明けずやはあらむ秋の夜はまてかし真木のとばかりをだに

    999-雑三 ことわりやいかでか鹿のなかざらむこよひばかりの命とおもへば

    1007-雑三 ものをのみ思ひしほどにはかなくて浅茅が末によはなりにけり

    1008-雑三 しのぶべき人もなき身はあるをりにあはれあはれといひやおかまし

    1009-雑三 いかなれば同じ色にておつれども涙はめにもとまらざるらむ

    1095-雑四 かたらへばなぐさむこともあるものを忘れやしなむ恋のまぎれに

    1142-雑五 帰るさをまち心みよかくながらよもただにては山しなの里

    1162-雑六 ものおもへば澤の蛍をわが身よりあくがれいづる玉かとぞみる

    1204-雑六 思ふ事みなつきねとて麻のはをきりにきりても祓へつるかな

    1210-雑六 はかなくも忘られにける扇かなおちたりけりと人もこそみれ

    1211-雑六 さなくてもねられぬものをいとどしくつき驚かす鐘の音かな

    金葉和歌集

    209-秋 有明の月見ずひさに起きて行く人の名残をながめしものを

    285-冬 待つ人の今も来たらばいかがせむ踏ままく惜しき庭の雪かな

    340-別 もろともに立たましものをみちのくの衣の関をよそに聞くかな

    350-別 人知れずものおもふことはならひにき花に別れぬ春しなければ

    546-雑上 鷺のゐる松原いかに騒ぐらむしらげはうたて里とよみけり

    612-雑下 もろともに苔の下には朽ちずして埋まれぬ名を聞くぞ悲しき

    636-雑下 あさましや剣の枝のたわむまでいかなる罪のなれるなるらむ

    650-雑下 ちはやぶるかみをば足に巻くものかこれをぞしものやしろとはいふ

    詞花和歌集

    109-秋 秋ふくはいかなる色の風なれば身にしむばかりあはれなるらむ

    120-秋 なく蟲のひとつ声にも聞こえぬはこころごころにものやかなしき

    158-冬 まつ人の今もきたらばいかがせむ踏ままく惜しき庭の雪かな

    173-別 もろともにたたましものをみちのくの衣の関をよそにきくかな

    240-恋下 我のみや思ひおこせむあぢきなく人はゆくへも知らぬものゆゑ

    249-恋下 夕暮に物思ふことはまさるやと我ならざらむ人にとはばや

    250-恋下 なみださへいでにしかたをながめつつ心にもあらぬ月をみしかな

    254-恋下 竹の葉にあられふるなりさらさらにひとりは寝べき心地こそせね

    269-恋下 いくかへりつらしと人をみくまののうらめしながら恋しかるらむ

    310-雑上 をのが身のをのが心にかなはぬを思はばものは思ひ知りなむ

    311-雑上 あやめ草かりにも来らむものゆゑに閨の妻とや人のみつらむ

    312-雑上 人しれずもの思ふことはならひにき花にわかれぬ春しなければ

    320-雑上 秋はみな思ふことなき荻の葉も末たわむまで露は置くめり

    326-雑上 音せぬは苦しきものを身にちかくなるとていとふ人もありけり

    333-雑上 あしかれとおもはぬ山の峰にだに生ふなるものを人のなげきは

    357-雑下 夕暮はものぞかなしき鐘の音をあすもきくべき身とし知らねば

    千載和歌集

    22-春上 むめかかにおとろかれつつ春のよのやみこそ人はあくからしけれ

    33-春上 つれつれとふれは涙の南なるを春の物とや人はみるらん

    206-夏 みるかなほこの世の物とおほえぬはからなてしこの花にそ有りける

    247-秋上 人もかなみせもきかせも萩の花さく夕かけのひくらしのこゑ

    396-冬 と山ふく貴のかせのおときけはまたきに冬のおくそしらるる

    490-離別 別れてもおなしみやこにありしかはいとこのたひの心ちやはせし

    503-羈旅 水のうへにうきねをしてそおもひしるかかれはをしも鳴くにそ有りける

    548-哀傷 をしきかなかたみにきたるふち衣たた此ころにくちはてぬへし

    840-恋四 いかにしてよるの心をなくさめむひるはなかめにさてもくらしつ

    841-恋四 これもみなさそなむかしの契そとおもふものからあさましきかな

    844-恋四 まつとてもかはかりこそはあらましかおもひもかけぬ秋の夕くれ

    845-恋四 ほとふれは人はわすれてやみぬらん契りしことをなほたのむかな

    905-恋五 ねをなけは袖はくちてもうせぬめりなほうきことそつきせさりける

    906-恋五 ともかくもいははなへてになりぬへしねになきてこそみすへかりけれ

    907-恋五 あり明の月見すひまにおきていにし人のなこりをなかめしものを

    958-恋五 うらむへき心はかりはあるものをなきになしてもとはぬ君かな

    971-雑上 かをるかによそふるよりはほとときすきかはやおなしこゑやしたると

    986-雑上 ひとりのみあはれなるかと我ならぬ人にこよひの月をみせはや

    1060-雑中 花さかぬたにのそこにもすまなくにふかくも物をおもふ春かな

    1095-雑中 いのちあらはいかさまにせんよをしらぬむしたに秋はなきにこそなけ

    新古今和歌集

    370-秋上 秋くれはときはの山の松風もうつるはかりに身にそしみける

    408-秋上 たのめたる人はなけれと秋のよは月見てぬへき心ちこそせね

    583-冬 世中になをもふるかなしくれつつ雲間の月のいてやとおもへと

    624-冬 野辺見れはお花かもとのおもひ草かれゆく冬になりそしにける

    702-冬 かそふれはとしののこりもなかりけりおいぬるはかりかなしきはなし

    775-哀傷 をくと見しつゆもありけりはかなくてきえにし人をなににたとへん

    783-哀傷 ねさめする身をふきとおす風のをとをむかしは袖のよそにききけん

    816-哀傷 こひわふとききにたにきけかねのをとにうちわすらるる時のまそなき

    1012-恋一 けふもまたかくやいふきのさしもくささらはわれのみもえやわたらん

    1023-恋一 あとをたに草のはつかに見てしかなむすふはかりのほとならすとも

    1160-恋三 まくらたにしらねはいはし見しままに君かたるなよ春のよの夢

    1178-恋三 けさはしもなけきもすらんいたつらに春のよひとよ夢をたにみて

    1344-恋五 いまこんといふことの葉もかれゆくによな〳〵つゆのなににをくらん

    1402-恋五 いかにしていかにこのよにありへはかしはしもものをおもはさるへき

    1459-雑上 おる人のそれなるからにあちきなく見しわかやとの花のかそする

    1495-雑上 おもひあらはこよひのそらはとひてまし見えしや月のひかりなりけん

    1529-雑上 すみなれし人かけもせぬわかやとに在曙の月のいくよともなく

    1640-雑中 世をそむくかたはいつくにありぬへしおほはら山はすみよかりきや

    1716-雑下 しほのまによものうらうらたつぬれといまはわか身のいふかひもなし

    1738-雑下 いのちさへあらは見つへき身のはてをしのはん人のなきそかなしき

    1806-雑下 ゆふくれは雲のけしきをみるからになかめしとおもふ心こそつけ

    1811-雑下 かくはかりうきをしのひてなからへはこれよりまさる物もこそおもへ

    1821-雑下 秋風はすこくふけともくすの葉のうらみかほには見えしとそおもふ