八代古今後撰拾遺後拾遺金葉詞花千載新古今百人一首六歌仙三十六歌仙枕詞動詞光る君へ
「いはばしる」の歌
簡単な説明
- 「いはばしる」は近江、垂水(たるみ)、滝、にかかる枕詞。
- 「石走る」、又は、「岩走る」と書く。
- 枕詞として用いないときは、「水がいわの上を激しく流れる」ことを意味し、千載と新古今ではそのように用いられている。
解説
「いはばしる」(いははしる)は、「垂水(たるみ)」「滝」「近江」などにかかる枕詞です。「いはばしる」は、「岩を走る」という意味で、水が岩の上を勢いよく流れる様子を表します。滝や川の激しい流れや水の勢いを象徴し、自然の力強さや美しさを詠む際に使われます。ダイナミックな情景や力強い生命力が加わり、言葉の響きが鮮やかに感じられます。また、流れる水に人生の流れや時の移ろいを重ねることで、深い情感を込める表現としても使用されます。
「いはばしる」の歌集ごとの数と割合
万葉 | 古今 | 後撰 | 拾遺 | 後拾 | 金葉 | 詞花 | 千載 | 新古 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|
8 | 1 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 1 | 1 |
0.2 | 0.1 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0.1 | 0.1 |
百人一首
なし
万葉集
1巻-29 柿本人麻呂玉たすき 畝傍の山の 橿原の ひじりの御代ゆ (或云 宮ゆ) 生れましし 神のことごと 栂の木の いや継ぎ継ぎに 天の下 知らしめししを (或云 めしける) そらにみつ 大和を置きて あをによし 奈良山を越え (或云 そらみつ 大和を置き あをによし 奈良山越えて) いかさまに 思ほしめせか (或云 思ほしけめか) 天離る 鄙にはあれど 石走る 近江の国の 楽浪の 大津の宮に 天の下 知らしめしけむ 天皇の 神の命の 大宮は ここと聞けども 大殿は ここと言へども 春草の 茂く生ひたる 霞立つ 春日の霧れる (或云 霞立つ 春日か霧れる 夏草か 茂くなりぬる) ももしきの 大宮ところ 見れば悲しも (或云 見れば寂しも)
1巻-50 役民やすみしし 我が大君 高照らす 日の皇子 荒栲の 藤原が上に 食す国を 見したまはむと みあらかは 高知らさむと 神ながら 思ほすなへに 天地も 寄りてあれこそ 石走る 近江の国の 衣手の 田上山の 真木さく 桧のつまでを もののふの 八十宇治川に 玉藻なす 浮かべ流せれ 其を取ると 騒く御民も 家忘れ 身もたな知らず 鴨じもの 水に浮き居て 我が作る 日の御門に 知らぬ国 寄し巨勢道より 我が国は 常世にならむ 図負へる くすしき亀も 新代と 泉の川に 持ち越せる 真木のつまでを 百足らず 筏に作り 泝すらむ いそはく見れば 神ながらにあらし
7巻-1142 命をし幸くよけむと石走る垂水の水をむすびて飲みつ
7巻-1287 柿本人麻呂歌集青みづら依網の原に人も逢はぬかも石走る近江県の物語りせむ
8巻-1418 志貴皇子石走る垂水の上のさわらびの萌え出づる春になりにけるかも
12巻-3025 石走る垂水の水のはしきやし君に恋ふらく我が心から
13巻-3230 みてぐらを 奈良より出でて 水蓼 穂積に至り 鳥網張る 坂手を過ぎ 石走る 神なび山に 朝宮に 仕へ奉りて 吉野へと 入ります見れば いにしへ思ほゆ
15巻-3617 大石蓑麻呂石走る瀧もとどろに鳴く蝉の声をし聞けば都し思ほゆ
古今和歌集
54-春上 読人知らず 石ばしる 滝なくもがな 桜花 手折りてもこむ 見ぬ人のため
後撰和歌集
なし
拾遺和歌集
なし
後拾遺和歌集
なし
金葉和歌集
なし
詞花和歌集
なし
千載和歌集
284-秋上 藤原俊成 石はしるみつのしら玉かすみえてきよたき川にすめる月影
新古今和歌集
703-冬 徳大寺実定 いしはしるはつせのかはのなみまくらはやくもとしのくれにけるかな