枕詞 「うつせみの」の和歌集 万葉集、古今、後撰、後拾遺、新古今から43首!

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「うつせみの」の歌

簡単な説明

  • 「うつせみの」は「世、人、身、むなし、わびし」などの枕詞。「空蝉の」と書く。蝉の抜け殻のこと。
  • 名詞としての「うつせみ」は「この世の人」、「この世」などの意味も持ち、古くは「うつそみ」とされた。

解説

「うつせみの」(空蝉の)は、「世」「命」「人」などにかかる枕詞です。「空蝉」はセミの抜け殻を意味し、儚いものや短い命を象徴します。セミの生命の短さや抜け殻の空虚さから、人の世の無常や人生の儚さに重ね合わせて使われることが多いです。命のはかなさや世の中の移り変わりを表現し、歌に深い情感を与えます。また、愛や別れの切なさを強調する際にも効果的です。

「うつせみの」の歌集ごとの数と割合

万葉 古今 後撰 拾遺 後拾 金葉 詞花 千載 新古
29 5 6 0 1 0 0 0 2
0.6 0.5 0.4 0 0.1 0 0 0 0.1
※上は歌の数、下は割合(パーセント)です
※カウントは枕詞、そのままの意味の両方をカウントしています

百人一首

なし

万葉集

1巻-24 麻続王うつせみの命を惜しみ波に濡れ伊良虞の島の玉藻刈り食す

3巻-443 大伴三中天雲の 向伏す国の ますらをと 言はれし人は 天皇の 神の御門に 外の重に 立ち侍ひ 内の重に 仕へ奉りて 玉葛 いや遠長く 祖の名も 継ぎ行くものと 母父に 妻に子どもに 語らひて 立ちにし日より たらちねの 母の命は 斎瓮を 前に据ゑ置きて 片手には 木綿取り持ち 片手には 和栲奉り 平けく ま幸くいませと 天地の 神を祈ひ祷み いかにあらむ 年月日にか つつじ花 にほへる君が にほ鳥の なづさひ来むと 立ちて居て 待ちけむ人は 大君の 命畏み おしてる 難波の国に あらたまの 年経るまでに 白栲の 衣も干さず 朝夕に ありつる君は いかさまに 思ひませか うつせみの 惜しきこの世を 露霜の 置きて去にけむ 時にあらずして

3巻-465 大伴家持うつせみの世は常なしと知るものを秋風寒み偲ひつるかも

3巻-466 大伴家持我がやどに 花ぞ咲きたる そを見れど 心もゆかず はしきやし 妹がありせば 水鴨なす ふたり並び居 手折りても 見せましものを うつせみの 借れる身なれば 露霜の 消ぬるがごとく あしひきの 山道をさして 入日なす 隠りにしかば そこ思ふに 胸こそ痛き 言ひもえず 名づけも知らず 跡もなき 世間にあれば 為むすべもなし

3巻-482 高橋うつせみの世のことにあれば外に見し山をや今はよすかと思はむ

4巻-597 笠女郎うつせみの人目を繁み石橋の間近き君に恋ひわたるかも

4巻-619 坂上郎女おしてる 難波の菅の ねもころに 君が聞こして 年深く 長くし言へば まそ鏡 磨ぎし心を ゆるしてし その日の極み 波の共 靡く玉藻の かにかくに 心は持たず 大船の 頼める時に ちはやぶる 神か離くらむ うつせみの 人か障ふらむ 通はしし 君も来まさず 玉梓の 使も見えず なりぬれば いたもすべなみ ぬばたまの 夜はすがらに 赤らひく 日も暮るるまで 嘆けども 験をなみ 思へども たづきを知らに たわや女と 言はくもしるく たわらはの 音のみ泣きつつ た廻り 君が使を 待ちやかねてむ

4巻-729 坂上大嬢玉ならば手にも巻かむをうつせみの世の人なれば手に巻きかたし

4巻-733 大伴家持うつせみの世やも二行く何すとか妹に逢はずて我がひとり寝む

8巻-1453 笠金村玉たすき 懸けぬ時なく 息の緒に 我が思ふ君は うつせみの 世の人なれば 大君の 命畏み 夕されば 鶴が妻呼ぶ 難波潟 御津の崎より 大船に 真楫しじ貫き 白波の 高き荒海を 島伝ひ い別れ行かば 留まれる 我れは幣引き 斎ひつつ 君をば待たむ 早帰りませ

8巻-1629 大伴家持ねもころに 物を思へば 言はむすべ 為むすべもなし 妹と我れと 手携さはりて 朝には 庭に出で立ち 夕には 床うち掃ひ 白栲の 袖さし交へて さ寝し夜や 常にありける あしひきの 山鳥こそば 峰向ひに 妻問ひすといへ うつせみの 人なる我れや 何すとか 一日一夜も 離り居て 嘆き恋ふらむ ここ思へば 胸こそ痛き そこ故に 心なぐやと 高円の 山にも野にも うち行きて 遊び歩けど 花のみ にほひてあれば 見るごとに まして偲はゆ いかにして 忘れむものぞ 恋といふものを

9巻-1785 笠金村歌集人となる ことはかたきを わくらばに なれる我が身は 死にも生きも 君がまにまと 思ひつつ ありし間に うつせみの 世の人なれば 大君の 命畏み 天離る 鄙治めにと 朝鳥の 朝立ちしつつ 群鳥の 群立ち行かば 留まり居て 我れは恋ひむな 見ず久ならば

9巻-1787 笠金村歌集うつせみの 世の人なれば 大君の 命畏み 敷島の 大和の国の 石上 布留の里に 紐解かず 丸寝をすれば 我が着たる 衣はなれぬ 見るごとに 恋はまされど 色に出でば 人知りぬべみ 冬の夜の 明かしもえぬを 寐も寝ずに 我れはぞ恋ふる 妹が直香に

10巻-1857 年のはに梅は咲けどもうつせみの世の人我れし春なかりけり

11巻-2642 燈火の影にかがよふうつせみの妹が笑まひし面影に見ゆ

12巻-2932 心には燃えて思へどうつせみの人目を繁み妹に逢はぬかも

12巻-2960 うつせみの現し心も我れはなし妹を相見ずて年の経ぬれば

12巻-2961 うつせみの常のことばと思へども継ぎてし聞けば心惑ひぬ

12巻-3107 うつせみの人目を繁み逢はずして年の経ぬれば生けりともなし

12巻-3108 うつせみの人目繁くはぬばたまの夜の夢にを継ぎて見えこそ

13巻-3292 うつせみの命を長くありこそと留まれる我れは斎ひて待たむ

14巻-3456 うつせみの八十言のへは繁くとも争ひかねて我を言なすな

17巻-3962 大伴家持大君の 任けのまにまに 大夫の 心振り起し あしひきの 山坂越えて 天離る 鄙に下り来 息だにも いまだ休めず 年月も いくらもあらぬに うつせみの 世の人なれば うち靡き 床に臥い伏し 痛けくし 日に異に増さる たらちねの 母の命の 大船の ゆくらゆくらに 下恋に いつかも来むと 待たすらむ 心寂しく はしきよし 妻の命も 明けくれば 門に寄り立ち 衣手を 折り返しつつ 夕されば 床打ち払ひ ぬばたまの 黒髪敷きて いつしかと 嘆かすらむぞ 妹も兄も 若き子どもは をちこちに 騒き泣くらむ 玉桙の 道をた遠み 間使も 遺るよしもなし 思ほしき 言伝て遣らず 恋ふるにし 心は燃えぬ たまきはる 命惜しけど 為むすべの たどきを知らに かくしてや 荒し男すらに 嘆き伏せらむ

18巻-4106 大伴家持大汝 少彦名の 神代より 言ひ継ぎけらく 父母を 見れば貴く 妻子見れば かなしくめぐし うつせみの 世のことわりと かくさまに 言ひけるものを 世の人の 立つる言立て ちさの花 咲ける盛りに はしきよし その妻の子と 朝夕に 笑みみ笑まずも うち嘆き 語りけまくは とこしへに かくしもあらめや 天地の 神言寄せて 春花の 盛りもあらむと 待たしけむ 時の盛りぞ 離れ居て 嘆かす妹が いつしかも 使の来むと 待たすらむ 心寂しく 南風吹き 雪消溢りて 射水川 流る水沫の 寄る辺なみ 左夫流その子に 紐の緒の いつがり合ひて にほ鳥の ふたり並び居 奈呉の海の 奥を深めて さどはせる 君が心の すべもすべなさ (言佐夫流者遊行女婦之字也)

18巻-4125 大伴家持天照らす 神の御代より 安の川 中に隔てて 向ひ立ち 袖振り交し 息の緒に 嘆かす子ら 渡り守 舟も設けず 橋だにも 渡してあらば その上ゆも い行き渡らし 携はり うながけり居て 思ほしき 言も語らひ 慰むる 心はあらむを 何しかも 秋にしあらねば 言どひの 乏しき子ら うつせみの 世の人我れも ここをしも あやにくすしみ 行きかはる 年のはごとに 天の原 振り放け見つつ 言ひ継ぎにすれ

19巻-4162 大伴家持うつせみの常なき見れば世の中に心つけずて思ふ日ぞ多き (嘆く日ぞ多き)

19巻-4211 大伴家持古に ありけるわざの くすばしき 事と言ひ継ぐ 智渟壮士 菟原壮士の うつせみの 名を争ふと たまきはる 命も捨てて 争ひに 妻問ひしける 処女らが 聞けば悲しさ 春花の にほえ栄えて 秋の葉の にほひに照れる 惜しき 身の盛りすら 大夫の 言いたはしみ 父母に 申し別れて 家離り 海辺に出で立ち 朝夕に 満ち来る潮の 八重波に 靡く玉藻の 節の間も 惜しき命を 露霜の 過ぎましにけれ 奥城を ここと定めて 後の世の 聞き継ぐ人も いや遠に 偲ひにせよと 黄楊小櫛 しか刺しけらし 生ひて靡けり

19巻-4220 坂上郎女海神の 神の命の み櫛笥に 貯ひ置きて 斎くとふ 玉にまさりて 思へりし 我が子にはあれど うつせみの 世の理と 大夫の 引きのまにまに しなざかる 越道をさして 延ふ蔦の 別れにしより 沖つ波 とをむ眉引き 大船の ゆくらゆくらに 面影に もとな見えつつ かく恋ひば 老いづく我が身 けだし堪へむかも

20巻-4408 大伴家持大君の 任けのまにまに 島守に 我が立ち来れば ははそ葉の 母の命は み裳の裾 摘み上げ掻き撫で ちちの実の 父の命は 栲づのの 白髭の上ゆ 涙垂り 嘆きのたばく 鹿子じもの ただ独りして 朝戸出の 愛しき我が子 あらたまの 年の緒長く 相見ずは 恋しくあるべし 今日だにも 言問ひせむと 惜しみつつ 悲しびませば 若草の 妻も子どもも をちこちに さはに囲み居 春鳥の 声のさまよひ 白栲の 袖泣き濡らし たづさはり 別れかてにと 引き留め 慕ひしものを 大君の 命畏み 玉桙の 道に出で立ち 岡の崎 い廻むるごとに 万たび かへり見しつつ はろはろに 別れし来れば 思ふそら 安くもあらず 恋ふるそら 苦しきものを うつせみの 世の人なれば たまきはる 命も知らず 海原の 畏き道を 島伝ひ い漕ぎ渡りて あり廻り 我が来るまでに 平けく 親はいまさね つつみなく 妻は待たせと 住吉の 我が統め神に 幣奉り 祈り申して 難波津に 船を浮け据ゑ 八十楫貫き 水手ととのへて 朝開き 我は漕ぎ出ぬと 家に告げこそ

古今和歌集

73-春下 読人知らず 空蝉の 世にも似たるか 花桜 咲くと見しまに かつ散りにけり

443-物名 読人知らず ありと見て たのむぞかたき 空蝉の 世をばなしとや 思ひなしてむ

448-物名 読人知らず 空蝉の 殻は木ごとに とどむれど 魂のゆくへを 見ぬぞかなしき

716-恋四 読人知らず 空蝉の 世の人ごとの しげければ 忘れぬものの かれぬべらなり

833-哀傷 紀友則 寝ても見ゆ 寝でも見えけり おほかたは 空蝉の世ぞ 夢にはありける

後撰和歌集

192-夏 読人知らず うちはへてねをなきくらす空蝉のむなしきこひも我はするかな

195-夏 読人知らず うつせみのこゑきくからに物そ思ふ我も空しき世にしすまへは

803-恋四 平なかきかむすめ 今はとてこすゑにかかる空蝉のからを見むとは思はさりしを

804-恋四 源巨城 わすらるる身をうつせみの唐衣返すはつらき心なりけり

896-恋五 深養父 空蝉のむなしくからになるまてもわすれんと思ふ我ならなくに

971-恋五 読人知らず 荒玉の年の三とせはうつせみのむなしきねをやなきてくらさむ

拾遺和歌集

なし

後拾遺和歌集

809-恋四 大和宣旨 恋しさを忍びもあへずうつせみのうつし心も無くなりにけり

金葉和歌集

なし

詞花和歌集

なし

千載和歌集

なし

新古今和歌集

1031-恋一 九条良経 うつせみのなくねやよそにもりのつゆほしあへぬ袖を人のとふまて

1146-恋二 八条院高倉 つれもなき人の心はうつせみのむなしきこひに身をやかへてん

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古文
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