“After all, tomorrow is another day.”
「結局のところ、明日は明日の風が吹くのよ。」
風と共に去りぬの作者と作品について
マーガレット・ミッチェル(Margaret Mitchell, 1900年~1949年)は、アメリカの作家で、彼女の代表作である『風と共に去りぬ』(Gone with the Wind, 1936年)は、アメリカ南部を舞台にした壮大な歴史小説です。ミッチェルは、アメリカ南北戦争とその後の復興期を背景に、スカーレット・オハラという強い女性の生き方を描き出し、この作品で一躍有名になりました。『風と共に去りぬ』は、発表と同時に大きな成功を収め、ピューリッツァー賞を受賞し、映画化もされています。ミッチェルの人生そのものは比較的短命でしたが、この作品はアメリカ文学において不朽の名作とされています。
『風と共に去りぬ』(Gone with the Wind)は、アメリカ南北戦争とその後の復興期を背景に、南部のプランテーションで育ったスカーレット・オハラの波乱に満ちた人生を描いた物語です。スカーレットは、南部の誇り高い女性であり、戦争によって生活が一変した中で、家族を守り、愛する土地を取り戻すために強い意志で戦います。物語は、彼女が様々な困難を乗り越えながらも、愛、裏切り、失敗と成功を経験し、最終的には自己発見の旅を進む姿を描いています。また、彼女とレッド・バトラーとの複雑な関係や、彼女の未練がちな愛の対象であるアシュリー・ウィルクスとの三角関係が物語の中心的な要素です。
発表当時のアメリカの状況
『風と共に去りぬ』が発表された1936年は、アメリカは大恐慌から立ち直りつつある時期でした。物語が描く南北戦争とその後の復興期は、アメリカの歴史において非常に重要な時代であり、作品はこの歴史的背景を緻密に描いています。ミッチェルは、アメリカ南部の伝統や文化、社会の変化に対して深い洞察を持っており、当時の読者にとっても非常に共感を呼ぶ作品となりました。また、1930年代のアメリカは、女性の社会進出が進み始めた時代でもあり、強い女性像としてのスカーレット・オハラは、多くの女性読者にとってインスピレーションとなりました。
おすすめする読者層
『風と共に去りぬ』は、歴史小説や南北戦争に興味がある読者に特におすすめです。また、スカーレット・オハラのような強い女性主人公に共感できる読者、家族や土地に対する深い愛情を描いた物語を好む方にも楽しんでもらえるでしょう。さらに、恋愛や人間関係に関する複雑なテーマに興味がある読者にも魅力的な作品です。映画を観たことがある方は、原作小説を読むことで、より深い背景やキャラクターの心理描写を楽しむことができます。
なぜ名作と言われるか
『風と共に去りぬ』が名作とされる理由は、その壮大なスケールと深い人間ドラマにあります。マーガレット・ミッチェルは、アメリカ南部の歴史や文化、社会的な変革を背景に、スカーレット・オハラという複雑で力強いキャラクターを描き出し、多くの読者を魅了しました。スカーレットの成長物語、彼女の意志の強さ、愛や野心、失望と再生といったテーマが巧みに織り交ぜられ、物語全体にリアリティを与えています。さらに、ミッチェルの筆致は、登場人物の内面や社会の変化を緻密に描き、歴史的背景と人間関係の両方に重厚感を持たせています。『風と共に去りぬ』は、アメリカ文学だけでなく、世界文学においても時代を超えた名作として評価されています。
登場人物の紹介
- スカーレット・オハラ: 主人公。強い意志と美貌を持つ南部の農園主の娘。
- レット・バトラー: 魅力的で反抗的な性格の男性。スカーレットに惹かれる。
- アシュレー・ウィルクス: スカーレットが恋する紳士的な男性。メラニーと婚約。
- メラニー・ハミルトン: アシュレーの婚約者で、心優しく献身的な女性。
- ジェラルド・オハラ: スカーレットの父。アイルランド系移民で農園主。
- エレン・オハラ: スカーレットの母。フランス系の上品で敬虔な女性。
- スエレン・オハラ: スカーレットの妹。虚栄心が強く、姉に嫉妬心を抱く。
- キャリーン・オハラ: スカーレットの妹。信心深く、内気な性格の持ち主。
- チャールズ・ハミルトン: メラニーの弟。スカーレットの最初の夫となる。
- フランク・ケネディ: スカーレットの二番目の夫。商才に乏しい中年男性。
- ボニー・ブルー・バトラー: スカーレットとレットの娘。父親に溺愛される。
- マミー: オハラ家の黒人乳母。スカーレットを厳しくも愛情深く育てる。
- プリシー: オハラ家の黒人召使い。若く、少しおしゃべりな性格。
- ベル・ワトリング: アトランタの娼館の女主人。レットの友人。
- ピティパット・ハミルトン: メラニーとチャールズの叔母。世間知らずな老婦人。
- ウィル・ベンティン: 南軍の復員兵。オハラ家の農園再建を助ける。
- インディア・ウィルクス: アシュレーの妹。スカーレットに対して批判的。
- ハニー・ウィルクス: アシュレーの妹。おしゃべりで、少し軽薄な性格。
- ウェード・ハンプトン・ハミルトン: スカーレットとチャールズの息子。内気な少年。
- エラ・ロレーナ・ケネディ: スカーレットとフランクの娘。母親にあまり愛されない。
3分で読めるあらすじ
作品を理解する難易度
『風と共に去りぬ』は、非常に壮大な物語であり、歴史的な背景や人間関係の複雑さを理解するには、ある程度の読解力が求められます。特に、南北戦争やその後の復興期に関する知識があると、物語の背景や登場人物たちの行動をより深く理解できるでしょう。しかし、物語の展開はスリリングで、キャラクターの魅力も強いため、読み進める楽しさは尽きません。また、マーガレット・ミッチェルの筆致は感情に富み、読者を引き込む力があります。
後世への影響
『風と共に去りぬ』は、その後のアメリカ文学や映画に多大な影響を与えました。特に1939年に公開された同名映画は、アカデミー賞を多数受賞し、今なお名作映画として愛されています。スカーレット・オハラは、強い女性の象徴としてさまざまなメディアで引用され続けており、彼女の物語はフェミニズム文学にも大きな影響を与えました。また、アメリカ南部の文化や歴史についても、この作品を通じて多くの読者が興味を持つきっかけとなっています。
読書にかかる時間
『風と共に去りぬ』は、非常に長編で、翻訳版で1000ページ以上に及ぶため、1日1~2時間の読書時間を確保すれば、1ヶ月程度で読み終えることができます。物語の展開はテンポ良く進むため、興味深く読み進めることができるでしょう。
読者の感想
「スカーレットの強さと生き様に圧倒された。彼女の成長と変化に感動した。」
「歴史的な背景と個人の人生が交錯する様子が美しく描かれている。」
「スカーレットの決して諦めない姿勢は、現代でも多くの人に勇気を与える。」
「愛、裏切り、復讐といった感情が絡み合い、読み応えのある物語だった。」
「映画で見たことはあったが、小説を読むとより深い人間関係の描写が楽しめた。」
作品についての関連情報
『風と共に去りぬ』は、1939年にヴィクター・フレミング監督によって映画化され、クラーク・ゲーブルがレッド・バトラー役、ヴィヴィアン・リーがスカーレット・オハラ役を演じました。この映画は、アカデミー賞を多数受賞し、映画史に残る名作として今なお多くの人に愛されています。
書籍案内 どの訳で読む?
鴻巣友季子訳は、現代的で親しみやすい文体と詳細な解説が特徴で、初めて『風と共に去りぬ』を読む方や、物語の背景を深く知りたい方に適しています。一方、荒このみ訳は、原文のニュアンスを忠実に再現し、落ち着いた文体で物語を楽しみたい方におすすめです。
新潮文庫版
2015年 鴻巣友季子訳
アメリカ南部の大農園〈タラ〉に生まれたスカーレット・オハラは16歳。輝くような若さと美しさを満喫し、激しい気性だが言い寄る男には事欠かなかった。しかし、想いを寄せるアシュリがメラニーと結婚すると聞いて自棄になり、別の男と結婚したのも束の間、南北戦争が勃発。スカーレットの怒濤の人生が幕を開ける――。小説・映画で世界を席巻した永遠のベストセラーが新訳で蘇る!
岩波文庫版
2015年 荒このみ訳
1861年春、アメリカ南部ジョージア州。大農園主の娘として育った16歳のスカーレットはある日、生まれて初めて試練に直面する…。南北戦争とその後の混乱で転回する社会をスカーレットは強固な意志の力で生き抜いてゆく。その人生と激しい愛を描いたこの大作はミッチェル(1900-49)の唯一の作品である。新訳。(全6冊)