第7章 帳簿と転記を学ぼう – 仕訳帳・総勘定元帳の役割
これまでの章では、取引を仕訳で記録する方法を学びました。
しかし、仕訳をたくさん記録していくと、勘定科目ごとの増減を確認するのが難しくなります。
このため簿記では、「仕訳帳」と「総勘定元帳」という帳簿を使って、取引を整理・集計していきます。
仕訳帳とは
仕訳帳は、日々の取引を時系列で記録する帳簿です。
すべての取引をここに記入するため、「簿記の出発点」とも呼ばれます。
例:仕訳帳の記入イメージ
| 日付 | 借方勘定科目 | 金額 | 貸方勘定科目 | 金額 | 摘要 |
|---|---|---|---|---|---|
| 4月1日 | 現金 | 100,000 | 借入金 | 100,000 | 銀行からの借入 |
| 4月3日 | 仕入 | 30,000 | 現金 | 30,000 | 商品を現金で仕入 |
| 4月5日 | 現金 | 50,000 | 売上 | 50,000 | 商品を現金販売 |
総勘定元帳とは
総勘定元帳は、仕訳帳の内容を勘定科目ごとに取り出してまとめた帳簿です。
たとえば現金に着目した「現金勘定」なら、現金に関係する取引だけを集計して、増減と残高を管理します。
例:総勘定元帳(簡略形式)
| 現金勘定 | ||||
|---|---|---|---|---|
| 日付 | 相手科目 | 借方金額 | 貸方金額 | 残高 |
| 4月1日 | 借入金 | 100,000 | 100,000 | |
| 4月3日 | 仕入 | 30,000 | 70,000 | |
| 4月5日 | 売上 | 50,000 | 120,000 | |
この表では、現金の増減が一目で分かります。
借方に金額があると「増加」、貸方に金額があると「減少」を意味し、残高は借方(左側)に残る場合が多いです。
理論的には総勘定元帳の行数は仕訳帳の行数以下になります。
補足:正式な元帳と「借又貸」の意味
実務や2級以上では、次のような正式形式が使われることもあります。
| 現金勘定(正式形式) | ||||||
|---|---|---|---|---|---|---|
| 日付 | 摘要 | 仕丁 | 借方金額 | 貸方金額 | 借又貸 | 残高 |
| 4月1日 | 借入金 | 1 | 100,000 | 借 | 100,000 | |
| 4月3日 | 仕入 | 2 | 30,000 | 借 | 70,000 | |
注: 「借又貸」はその行の取引ではなく、残高の性質(どちら側に残っているか)を示します。
たとえば上の例では、4月3日に貸方(右)で現金30,000が減っていますが、残りの現金はまだ左側(借方)に残っているため、借方残=借と記載されます。
したがって、貸方金額があっても「借」と表示されるのは正しい表記です。
簿記3級ではこの欄は省略して構いませんが、意味を理解しておくと後の学習がスムーズになります。
まとめ
- 仕訳帳はすべての取引を時系列に記録する帳簿。
- 総勘定元帳は勘定科目ごとに取引を整理して残高を確認する帳簿。
- 「借又貸」は残高の性質を示す欄で、取引の向きとは関係ない。
- 簿記3級では省略形式でも理解していれば十分。