第3章 仕訳の書き方をマスターしよう – よくある取引の仕訳例
ここでは、実際のビジネスでよく登場する取引をもとに、仕訳の具体例を見ていきましょう。
簿記3級の試験では、これらの基本的な取引を理解していれば多くの問題に対応できます。
勘定科目がどの分類（資産・負債・純資産・収益・費用）に属するかを意識しながら学んでください。
現金の入出金に関する取引
例1：商品を現金で販売した
| 借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
|---|---|---|---|
| 現金 | 100,000 | 売上 | 100,000 |
資産（現金）が増え、収益（売上）も増える取引です。現金は左（借方）、売上は右（貸方）に記録します。
例2：商品を仕入れて、代金を現金で支払った
| 借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
|---|---|---|---|
| 仕入 | 50,000 | 現金 | 50,000 |
簿記3級では三分法を用いるため、「仕入」は費用として処理します。資産（現金）が減り、費用（仕入）が増える取引です。
掛け取引に関する取引
例3：商品を掛けで販売した
| 借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
|---|---|---|---|
| 売掛金 | 80,000 | 売上 | 80,000 |
売掛金（資産）が増え、売上（収益）が増える取引です。代金は後で受け取るため、現金の代わりに売掛金として記録します。
例4：商品を掛けで仕入れた
| 借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
|---|---|---|---|
| 仕入 | 60,000 | 買掛金 | 60,000 |
仕入（費用）が増え、買掛金（負債）が増える取引です。代金は後で支払うため、現金ではなく買掛金を使います。
経費に関する取引
例5：給料を現金で支払った
| 借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
|---|---|---|---|
| 給料 | 200,000 | 現金 | 200,000 |
給料（費用）が増え、現金（資産）が減る取引です。費用の増加は左側（借方）に記録します。
例6：家賃を現金で支払った
| 借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
|---|---|---|---|
| 支払家賃 | 100,000 | 現金 | 100,000 |
家賃（費用）が増え、現金（資産）が減ります。支払家賃のような科目も、簿記3級では費用の分類に入ります。
純資産に関する取引
例7：株主から出資を受けた（資本金の増加）
| 借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
|---|---|---|---|
| 現金 | 1,000,000 | 資本金 | 1,000,000 |
株主からの出資により、現金（資産）が増え、資本金（純資産）が増える取引です。
純資産は「会社を支える元手」であり、右側（貸方）で増えるように決められています。
まとめ
これらの仕訳例に共通しているのは、「増えたものを借方」「減ったものを貸方」に書くという基本原則です。
簿記3級では、まずこの左右の関係と勘定科目の分類を正確に押さえることが重要です。
取引の背景を考えながら仕訳を練習していくと、自然とパターンが身につきます。