聖書に由来する人名は各国でどう表記される? マイケル、ルーク、ピーターなど。

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聖書に由来する名前は各国でどう表記される?

聖書に登場する人物の名前は、長い歴史の中で各国の言語に合わせてさまざまな形に変化してきました。本記事では代表的な10名について、各言語での表記・読み方と、聖書におけるその人物の役割を簡単に紹介します。

ミカエル(大天使ミカエル)

悪と戦う天使の長。神の軍を率いる天使として『ヨハネの黙示録』に登場。

  • ラテン語:Michael(ミカエル)
  • 英語:Michael(マイケル)
  • ドイツ語:Michael(ミヒャエル)
  • フランス語:Michel(ミシェル)
  • イタリア語:Michele(ミケーレ)
  • ポルトガル語:Miguel(ミゲウ)
  • スペイン語:Miguel(ミゲル)
  • ロシア語:Михаил(ミハイル)

ヨハネ(洗礼者ヨハネ)

イエスの道を整える預言者。イエスに洗礼を授けた。

  • ラテン語:Ioannes(イオアンネス)
  • 英語:John(ジョン)
  • ドイツ語:Johann / Johannes(ヨハン / ヨハネス)
  • フランス語:Jean(ジャン)
  • イタリア語:Giovanni(ジョヴァンニ)
  • ポルトガル語:João(ジョアン)
  • スペイン語:Juan(フアン)
  • ロシア語:Иоанн(イオアン)

マリア(イエスの母)

イエス・キリストの母。聖母マリアとして崇敬される。

  • ラテン語:Maria(マリア)
  • 英語:Mary(メアリー)
  • ドイツ語:Maria(マリア)
  • フランス語:Marie(マリ)
  • イタリア語:Maria(マリア)
  • ポルトガル語:Maria(マリア)
  • スペイン語:María(マリーア)
  • ロシア語:Мария(マリーヤ)

ペトロ(使徒ペトロ)

十二使徒の筆頭で、初代ローマ教皇とされる。イエスに「この岩の上に教会を建てる」と言われた。

  • ラテン語:Petrus(ペトルス)
  • 英語:Peter(ピーター)
  • ドイツ語:Peter(ペーター)
  • フランス語:Pierre(ピエール)
  • イタリア語:Pietro(ピエトロ)
  • ポルトガル語:Pedro(ペドロ)
  • スペイン語:Pedro(ペドロ)
  • ロシア語:Пётр(ピョートル)

ヤコブ(使徒ヤコブ)

ゼベダイの子で、イエスの十二使徒のひとり。スペイン巡礼の目的地・聖ヤコブの墓でも知られる。

  • ラテン語:Iacobus(イアコブス)
  • 英語:James(ジェームズ)
  • ドイツ語:Jakob(ヤーコプ)
  • フランス語:Jacques(ジャック)
  • イタリア語:Giacomo(ジャーコモ)
  • ポルトガル語:Tiago(チアゴ)
  • スペイン語:Santiago(サンティアゴ)
  • ロシア語:Иаков(イアコフ)

パウロ(使徒パウロ)

元はキリスト教迫害者だったが改宗し、異邦人伝道に大きく貢献した。

  • ラテン語:Paulus(パウルス)
  • 英語:Paul(ポール)
  • ドイツ語:Paul(パウル)
  • フランス語:Paul(ポール)
  • イタリア語:Paolo(パオロ)
  • ポルトガル語:Paulo(パウロ)
  • スペイン語:Pablo(パブロ)
  • ロシア語:Павел(パーヴェル)

アンデレ(使徒アンデレ)

ペトロの兄弟。最初にイエスに従った使徒のひとり。

  • ラテン語:Andreas(アンドレアス)
  • 英語:Andrew(アンドリュー)
  • ドイツ語:Andreas(アンドレアス)
  • フランス語:André(アンドレ)
  • イタリア語:Andrea(アンドレア)
  • ポルトガル語:André(アンドレ)
  • スペイン語:Andrés(アンドレス)
  • ロシア語:Андрей(アンドレイ)

エリサベト(洗礼者ヨハネの母)

ザカリヤの妻であり、マリアの親類。高齢でヨハネを出産した。

  • ラテン語:Elisabeth(エリサベト)
  • 英語:Elizabeth(エリザベス)
  • ドイツ語:Elisabeth(エリザベート)
  • フランス語:Élisabeth(エリザベット)
  • イタリア語:Elisabetta(エリザベッタ)
  • ポルトガル語:Isabel(イザベル)
  • スペイン語:Isabel(イサベル)
  • ロシア語:Елизавета(エリザヴェータ)

シモン(熱心党のシモン)

十二使徒のひとり。政治的熱意を持つ者とされる。

  • ラテン語:Simon(シモン)
  • 英語:Simon(サイモン)
  • ドイツ語:Simon(ズィーモン)
  • フランス語:Simon(シモン)
  • イタリア語:Simone(シモーネ)
  • ポルトガル語:Simão(シマオン)
  • スペイン語:Simón(シモン)
  • ロシア語:Симон(シモン)

ヨセフ(イエスの養父)

マリアの夫であり、大工。イエスの育ての父とされる。

  • ラテン語:Josephus(ヨセフス)
  • 英語:Joseph(ジョセフ)
  • ドイツ語:Joseph(ヨーゼフ)
  • フランス語:Joseph(ジョゼフ)
  • イタリア語:Giuseppe(ジュゼッペ)
  • ポルトガル語:José(ジョゼ)
  • スペイン語:José(ホセ)
  • ロシア語:Иосиф(イオシフ)

このように、聖書の登場人物の名前は各国語で驚くほど違いがあり、それぞれの文化的背景や発音習慣が色濃く反映されています。

日本語での読み方の由来について

日本語における聖書由来の人名の読み方は、主に以下の2つの経路から伝わったと考えられています。

カトリックのラテン語発音・綴りをベースにした読み

キリスト教が世界に広がる過程で、カトリック教会の伝統において使用されていたラテン語が、聖書の名前の「正典的な読み」として長く用いられてきました。日本でも明治以降に多く用いられるようになった聖書は、ラテン語を元に翻訳されたことが多く、その発音をカタカナ化した形が現在の「ミカエル」「パウロ」「ペトロ」などの読み方に影響を与えています。

ポルトガル語経由で伝わった読み方

16世紀、戦国時代の日本にキリスト教(カトリック)が伝来した際、布教を行ったのは主にポルトガルの宣教師たちでした。この時代に日本語に取り入れられた多くのキリスト教用語や聖書の名前が、ポルトガル語の発音をベースにして定着しました。

例えば、以下のような例が挙げられます:

  • ミカエル(Miguel / Michael):ポルトガル語「Miguel(ミゲウ)」の影響を受けつつも、ラテン語の形「Michael」に由来するミカエルという表記が用いられた。
  • ヨハネ(João / Ioannes):ポルトガル語では「ジョアン」ですが、日本語ではラテン語の「イオアンネス」に近い「ヨハネ」が採用されました。
  • ペトロ(Pedro / Petrus):ポルトガル語の「Pedro(ペドロ)」よりも、ラテン語「Petrus(ペトルス)」を元にした「ペトロ」が採用されています。

このように、名前ごとにラテン語形とポルトガル語形のどちらが強く影響しているかは異なりますが、両方の言語が日本語の聖書人名のカタカナ表記に大きく関わっているのは確かです。

日本語のキリスト教語彙や聖書翻訳における読み方の定着は、布教の歴史と密接に関わっており、単なる翻訳の問題以上に、文化交流の痕跡が残されたものだと言えるでしょう。