第13章 例題で解く第1問対策:土地購入における手数料
第1問で頻出のテーマに「固定資産の取得」があります。土地や備品などの購入は、商品売買とは異なる資産の取得取引です。
購入時の手数料や運搬費などをどの勘定に含めるかは、その支出が貸借対照表に関係するのか、損益計算書に関係するのかによって決まります。
土地購入時の手数料の扱い
(問題)
事務所用の土地を2,000,000円で購入し、仲介手数料50,000円を支払った。代金はすべて小切手で支払った。仕訳を示しなさい。
(考え方)
- 土地は固定資産であり、減価償却の対象にはなりません。
- 仲介手数料や登記費用、測量費などは土地の取得に直接要した費用として、土地の金額に含めます。
- つまり、費用(支払手数料)ではなく、資産(貸借対照表)として扱います。
(仕訳)
| 土地 | 2,050,000 | 当座預金 | 2,050,000 |
ポイント:
- 土地購入にかかる手数料や付随費用は「土地」に含める。
- 小切手で支払った場合は「当座預金」を用いる。
- 商業取引のように「支払手数料」にはしない。なぜなら土地購入は費用ではなく資産の取得だからである。
資産に含めるか、費用処理するかの判断基準
手数料などの支出を「資産に含める」か「費用とする」かは、 その支出が将来の利益を生み出すかどうか、つまり貸借対照表項目か損益計算書項目かによって判断します。
| 区分 |
含める 貸借対照表の資産 |
含めない 損益計算書の費用 |
|---|---|---|
| 対象 | 土地・建物・備品などの取得 | 商業活動・経常費用 |
| 勘定科目 | 土地・建物・備品・機械 | 支払手数料・租税公課・支払家賃など |
| 性質 | 将来の利益を生む支出(資産) | 当期のみに効果のある支出(費用) |
つまり、「将来にわたって使用し続けるもの」への支出は資産計上、 「当期限りの効果しかないもの」への支出は費用処理という考え方です。
備品や機械を購入した場合
備品や機械なども、取得に直接かかった費用はすべて資産勘定に含めます。 運搬費、設置費、組立費などが該当します。
(例)備品800,000円を購入し、設置費20,000円を現金で支払い、合計を小切手で支払った。
| 備品 | 820,000 | 当座預金 | 820,000 |
→ この設置費は、備品の「取得に直接必要な支出」であるため、費用ではなく資産に含めます。
収入印紙・家賃などとの違い
同じ支出でも、資産の取得に関係しない場合は費用処理します。
- 収入印紙代 → 租税公課
- 事務所の賃料 → 支払家賃
- 営業上の手数料(仲介・広告など) → 支払手数料
(例)土地1,000,000を購入し、土地購入契約書に貼付する収入印紙3,000円を現金で支払った。
| 土地 | 1,00,000 | 現金 | 1,003,000 |
| 租税公課 | 3,000 |
※契約書の印紙代は資産取得の一部ではなく、取引書類に必要な公的費用であるため「租税公課」です。
例題まとめ(第1問での出題パターン)
- ① 資産の取得に直接要する費用
→ 「土地」「建物」「備品」などに含めて資産計上 - ② 営業上の支出・商取引に関する費用
→ 「支払手数料」「支払家賃」などとして費用処理 - ③ 収入印紙など
→ 収入印紙(契約書作成)→ 租税公課 - ④ 小切手で支払った場合
→ 「当座預金」で処理する
注意点・試験でのポイント
- 「資産」と「費用」の区別を明確にする
手数料を含めるかどうかは、その支出が貸借対照表(資産)に載るものか、損益計算書(費用)に載るものかで判断します。 - 資産の取得に関する支出はすべて原価に含める
仲介手数料、登記費用、測量費などは資産である「土地」や「建物」に含める。 - 収入印紙は租税公課
契約書作成に伴う印紙税は、資産の一部ではなく公的支出のため費用処理します。 - 地代家賃・広告費などは当期の費用
効果が当期に限られる費用は損益計算書に計上します。 - 小切手で支払った場合は当座預金を使う
小切手支払い=当座預金の減少であり、「現金」ではない点に注意。 - 土地は減価償却しない
建物や備品と違い、土地は使用によって価値が減少しないため、減価償却の対象外です。
したがって、土地購入時の手数料を資産に含めるかどうかは、その支出が資産の取得に直接関係するか、単なる費用かによって決まります。
損益計算書に出る「費用」と、貸借対照表に残る「資産」を区別して考えることが、第1問での理解の鍵です。
手数料は、資産は含め、費用は別に、計上することを覚えておきましょう。