第4章 現金・預金の記録 – 現金出納帳のつけ方
会社やお店では、日々の現金の動きを正確に記録するために現金出納帳を使います。
簿記では「仕訳帳」や「総勘定元帳」なども使いますが、まずは現金出納帳で日常の出入りを管理できるようになることが大切です。
現金出納帳とは
現金出納帳とは、現金の入金と出金を日付順に記録する帳簿です。
いつ・どのような理由で・いくら現金が動いたのかを整理し、残高が合っているかを確認します。
簿記3級の範囲では、最も基本的な帳簿のひとつです。
現金出納帳の形式
| 日付 | 摘要(内容) | 入金 | 出金 | 残高 |
|---|---|---|---|---|
| 4/1 | 前月繰越 | 100,000 | – | 100,000 |
入金・出金のどちらか一方に金額を記入し、残高欄で常に現金の総額を更新します。
現金の増減をひと目で確認できる点がポイントです。
実際の記入例
例:4月中の取引を以下のように記録してみましょう。
| 日付 | 摘要 | 入金 | 出金 | 残高 |
|---|---|---|---|---|
| 4/1 | 前月繰越 | 100,000 | – | 100,000 |
| 4/3 | 商品売上 | 50,000 | – | 150,000 |
| 4/5 | 仕入代金支払 | – | 30,000 | 120,000 |
| 4/7 | 事務用品購入 | – | 5,000 | 115,000 |
| 4/10 | 売掛金回収 | 40,000 | – | 155,000 |
このように、入金と出金をそれぞれ別の列に分けて書きます。
残高は「前の行の残高 ± 入出金」で計算します。
記帳のルール
- ① 日付順に正確に記録する(後からまとめて書かない)
- ② 摘要欄には、取引の内容や相手先を書く
- ③ 毎回、残高を更新して計算ミスを防ぐ
- ④ 月末には、金庫の現金と帳簿残高が一致しているか確認する
仕訳との関係
現金出納帳は、仕訳帳の「現金勘定」だけを取り出して一覧にしたようなものです。
したがって、現金出納帳の記入は仕訳の補助的な役割を果たします。
たとえば、次の仕訳をするとき:
| 借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
|---|---|---|---|
| 現金 | 50,000 | 売上 | 50,000 |
この取引の「現金」部分だけを、現金出納帳に記録します。
このようにして、帳簿上の残高と実際の手元の現金が一致するかを常に確認できるようにします。
まとめ
現金出納帳は、会社の日々のお金の動きを管理する最も基本的な帳簿です。
ポイントは、「入金・出金・残高」を常に明確にすること。
試験では、取引内容から現金出納帳を完成させる問題も出題されます。
練習を通じて、残高の変化を感覚的に掴めるようになりましょう。