第8章 決算整理とは何か – 固定資産売却に関する訂正仕訳
固定資産を売却する際には、「減価償却費」「減価償却累計額」「固定資産売却損益」「借入金」など、複数の勘定科目が関係します。これらの処理を誤ると、利益や資産の残高に影響が出てしまうため、訂正仕訳によって正しい状態に戻す必要があります。ここでは、減価償却の計上漏れや売却損益の誤記があった場合の訂正仕訳を中心に解説します。
誤仕訳の例:減価償却を計上せずに備品を売却した場合
次のように、減価償却をしないまま備品を売却すると、実際の価値よりも高い簿価で処理してしまうことになります。
| 内容 | 借方科目 | 金額 | 貸方科目 | 金額 |
|---|---|---|---|---|
| 誤仕訳 | 現金 | 50,000 | 備品 | 100,000 |
| 固定資産売却損 | 50,000 |
この場合、備品の価値を正しく減らしていないため、「減価償却費」を追加で計上し、帳簿上の備品価値を正しい水準に修正する必要があります。
訂正仕訳の手順
① 減価償却費の追加計上
まず、当期に対応する減価償却費を計上し、備品の簿価を下げます。
| 借方科目 | 金額 | 貸方科目 | 金額 |
|---|---|---|---|
| 減価償却費 | 10,000 | 減価償却累計額 | 10,000 |
② 売却損益の再計算と訂正
減価償却を反映すると、備品の帳簿価額は90,000円になります。現金で50,000円を受け取ったので、差額40,000円が実際の売却損です。誤って計上した「固定資産売却損50,000円」を修正します。
| 借方科目 | 金額 | 貸方科目 | 金額 |
|---|---|---|---|
| 固定資産売却損(取消) | 50,000 | 固定資産売却損 | 40,000 |
これにより、減価償却を反映した正しい損益金額に修正できます。
③ 売却代金で借入金を返済していた場合
売却によって得た現金を借入金の返済に充てる場合、次のような仕訳を行います。
| 借方科目 | 金額 | 貸方科目 | 金額 |
|---|---|---|---|
| 借入金 | 50,000 | 現金 | 50,000 |
このとき、返済額を誤って多く記帳した場合は、その差額を「逆仕訳」で訂正します。
| 借方科目 | 金額 | 貸方科目 | 金額 |
|---|---|---|---|
| 現金 | 10,000 | 借入金 | 10,000 |
まとめ
- 減価償却を忘れて売却処理をした場合は、まず減価償却費を追加で計上する。
- その後、再計算した売却損益に基づいて訂正仕訳を行う。
- 売却代金で借入金を返済している場合、返済額の誤りがあれば逆仕訳で調整する。
- 固定資産の訂正仕訳では、「減価償却累計額」「固定資産売却損益」「借入金」が連動する点を押さえておこう。
このように、訂正仕訳は誤りの内容を明確にし、どの