会社の取引ってどんなこと? | 簿記とは何か | やさしい簿記3級講座

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第1章 簿記とは何か – 会社の取引ってどんなこと?

簿記で扱う「取引(とりひき)」とは、会社のお金や財産に関係する出来事のことです。
会社が商品を売ったり、お金を支払ったり、銀行から借りたり──こうした「お金やモノの動き」があるたびに、簿記ではそれを記録します。
この取引を一つひとつ整理していくことで、会社の経営の流れを数字で説明できるようになるのです。

取引とはどんな出来事?

「取引」というと、商品を売ったり買ったりするイメージがありますが、簿記でいう取引はもう少し広い意味です。
お金やモノ、あるいは債権や債務(ツケや借金など)の動きがある出来事なら、すべて取引に含まれます。

取引にあたる出来事の例
出来事 取引にあたるか 理由
商品を現金で販売した お金(資産)が増え、売上(収益)が発生したため
アルバイトの給料を支払った 現金(資産)が減り、給料(費用)が発生したため
銀行からお金を借りた 現金(資産)が増え、借入金(負債)が増えるため
社長があいさつをした × お金やモノの増減がないため
商品の注文を受けた × まだお金もモノも動いていないため

このように、「お金や財産が実際に動いたかどうか」が取引にあたるかどうかの判断基準です。
注文や契約だけでは、まだ取引にはなりません。

取引は「結果」と「理由」で記録する

簿記では、1つの取引を「増えたもの・減ったもの」の両面から考えます。
これは、出来事を「結果(何が変わったか)」と「理由(なぜ変わったか)」に分けて整理する考え方です。

取引の二面性の例
出来事 結果(借方・左) 理由(貸方・右)
商品を現金で販売した 現金(増えた) 売上(お金が増えた理由)
文房具を現金で購入した 消耗品費(使った理由) 現金(減った)
銀行から10万円借りた 現金(増えた) 借入金(増えた理由)

「貸方」は“理由”を表している

簿記には「理由欄」はありません。
代わりに、貸方(かしかた)に書かれた勘定科目が、その取引の“理由”を表しています。

たとえば「商品を現金で販売した」場合、現金が増えたのは事実ですが、
その原因は「商品を売ったから」です。
その“理由”を表すのが「売上(収益)」という勘定科目です。

したがって、仕訳帳にはこう書きます。

仕訳の例:商品を現金で販売した
借方(左・結果) 金額 貸方(右・理由) 金額
現金 10,000 売上 10,000

このように、簿記では「結果」と「理由」を左右に分けて書きます。
増えた・減ったという出来事を、原因と結果の両側から整理するための仕組みです。

左右に分ける理由 ― 整合性と効率のため

「理由欄を作ればいいのに」と感じる人も多いでしょう。
実は、仕訳を左右に分けるのは帳簿を正確かつ効率的に管理するためなのです。

左右に分けることで、

  • すべての取引で「左の合計=右の合計」になる(数字の整合性が保たれる)
  • 手書き帳簿時代から、同じ形式で記録できる(省スペースで合理的)
  • 誰が見ても同じルールで理解できる(世界共通の形式)

つまり、左右に分けるのは「枠を節約するため」でもあり、
「どんな取引でも必ずバランスが取れるようにするため」でもあるのです。

左右を分けると、必ず合計が一致する
借方合計 貸方合計
100,000 100,000

このように「左右に分ける」という形式は、単なる書き方の決まりではなく、
簿記の正確さを保つための数学的な仕組みでもあるのです。

練習問題

  1. 次のうち「取引」にあたるものを選びましょう。
    A)銀行からお金を借りた
    B)会議を開いた
    C)お客様に商品を発送した(代金未回収)
  2. 「貸方」はどんな役割を持っていますか?
  3. 簿記が左右に分かれているのはなぜですか?
解答を見る
  1. AとCが取引。お金や商品などの財産が動いているため。
  2. 貸方は「お金やモノが動いた理由」を表し、収益や負債などの原因を記録する場所。
  3. 左右に分けることで、金額のバランスを保ち、帳簿全体の整合性を確保できるため。

まとめ

取引とは、会社のお金や財産が動く出来事のこと。
簿記ではその取引を「結果(借方)」と「理由(貸方)」に分けて記録します。
左右の合計を常に一致させることで、正確でミスのない会計記録ができるのです。
次回は、この「取引」を実際に帳簿へ記録する仕組み「仕訳(しわけ)」を見ていきましょう。