第9章 財務諸表を作ってみよう – 株式会社の設立と増資の仕訳
「純資産」とは、会社の資産から負債を差し引いた残りの部分であり、会社の持ち主(株主)の財産にあたります。株式会社では、株主が出資した資金によって会社が成り立ち、この資金を資本金といいます。ここでは、会社設立時や増資時における純資産の仕組みと仕訳をわかりやすく説明します。
株式会社の設立と資本金の計上
株式会社を設立する際、株主が出資した金額は会社の資産(現金など)となり、その対価として株主に持分(純資産)が与えられます。したがって、仕訳は「資産が増加し、同額の純資産が増加する」形になります。
例:株主が現金1,000,000円を出資して会社を設立した。
| 借方科目 | 金額 | 貸方科目 | 金額 |
|---|---|---|---|
| 現金 | 1,000,000 | 資本金 | 1,000,000 |
この仕訳により、会社の資産(現金)が1,000,000円増え、同時に株主の持ち分としての純資産(資本金)も1,000,000円計上されます。
出資の一部を資本準備金に計上する場合
会社法では、出資額のうち2分の1までは「資本準備金」として資本金とは別に計上することが認められています。これにより、会社の安全性を高めるとともに、将来的な配当や内部留保に利用しやすくなります。
例:株主が現金1,000,000円を出資し、そのうち500,000円を資本金、500,000円を資本準備金とした。
| 借方科目 | 金額 | 貸方科目 | 金額 |
|---|---|---|---|
| 現金 | 1,000,000 | 資本金 | 500,000 |
| 資本準備金 | 500,000 |
このように、出資金のうち一部を資本準備金に振り分けることで、将来の資本政策に柔軟性を持たせることができます。
増資とは何か
会社が事業拡大などのために新たに株式を発行し、株主や第三者から出資を受けることを増資といいます。増資によって、会社の資本金および純資産が増加します。
例:事業拡大のため、新株を発行し、株主から現金500,000円の出資を受けた。
| 借方科目 | 金額 | 貸方科目 | 金額 |
|---|---|---|---|
| 現金 | 500,000 | 資本金 | 500,000 |
この場合も、出資によって会社の資産が増え、それに対応して純資産(資本金)が増加します。
増資時の資本準備金の計上
増資の際にも、出資額のうち2分の1を上限として資本準備金に振り分けることができます。たとえば、500,000円のうち半分を資本金、半分を資本準備金にすることも可能です。
| 借方科目 | 金額 | 貸方科目 | 金額 |
|---|---|---|---|
| 現金 | 500,000 | 資本金 | 250,000 |
| 資本準備金 | 250,000 |
まとめ
- 株主の出資は「現金の増加(資産)」と「資本金の増加(純資産)」として記録する。
- 出資額の一部を資本準備金に振り分けることができる(2分の1を上限)。
- 増資も同様に、資本金・資本準備金を増やす取引として処理する。
このように、会社の設立や増資は純資産の変動に直結する重要な取引です。簿記では、これらの仕訳を通して「会社の財産構成の変化」を正確に記録していきます。