第2問対策:前期繰越・後期繰越を書く基準について 支払地代・前払地代と損益T勘定による
問2(1)の解法パターン
- T勘定から求めることができる空欄を生める(損益T勘定は穴埋めできる可能性がある)
- 前払○○、未収○○のT勘定について前期繰越、後期繰越を書く
- 問題文[資料]に基づく仕訳を書く
- T勘定に上記仕訳に基づく日付、科目と価格を書く
- 支払○○、受取○○のT勘定に損益を書く(損益Tの繰越利益剰余金の反対側にその額)
- 借方、貸方の合計が同額となっていることを確認。
T勘定書に前期繰越・後期繰越を書く基準
| 前期・後期繰越が必要 | 貸借対照表対象科目 | |
|---|---|---|
|
資産 仮払○○ 前払○○ 未収○○ 建物 土地 受取手形 |
負債 仮受○○ 前受○○ 未払○○ 支払手形 純資産 資本金 利益準備金 繰越利益剰余金 減価償却累計額 |
|
| 前期・後期繰越は不要 |
損益計算書対象科目 ※借方、貸方のいずれかの決算日に損益 |
|
|
費用 支払○○ 法人税等 |
収益 売上 受取○○ |
|
賃借対照表の対象科目は繰越処理が必要であり、損益計算書の対象科目は損益を書く
※当期に購入等をした場合は前期繰越なく、売却等している場合は後期繰越なし。
※法人税等は損益計算書対象科目だが、仮払法人税等は資産であり繰越処理を要す。
※残高の関係上、資産でありながら前期繰越等が不要な場合がある。
例題 支払地代と前払地代、損益T勘定
今度は、11月1日に1年分の地代120,000円を支払った場合で考えていきます。 第2問の典型的な形式である、支払地代・前払地代・損益T勘定を完成させる練習です。
- 決算期:X6年4月1日〜X7年3月31日
- X6年11月1日に、1年分の地代120,000円を現金で支払った(X6年11月1日〜X7年10月31日分)。
- 当期の売上高は200,000円である。
- 期首の前払地代はない(前払地代残高0)。
ポイントは:
- 支払い(120,000円)は一旦すべて「支払地代」に入る。
- 決算で、当期分(5か月)と翌期分(7か月)に分ける。
- 当期分は損益へ、翌期分は前払地代へ振り替える。
- 売上20万円と地代費用で当期純利益を出し、繰越利益剰余金を計上する。
- 「支払は前払を使って繰り越す。」
取引ごとの仕訳と考え方
① X6年11月1日:1年分の地代を支払った
1年分 = 120,000円 → 月額は 10,000円です。 X6年11月1日〜X7年10月31日までの12か月分を、まとめて先払いしています。
支払い時の仕訳は次のとおりです。
| 支払地代 | 120,000 | 現金 | 120,000 |
→ 支払地代T勘定の借方に「X6年11/1 現金 120,000」と記入されます。
支払地代T勘定の「仕訳で支払地代と書かれている位置(借方)」に、相手方である現金を記します。つまり、仕訳上の自身と同じ位置に相手方を書くという方法です。
| 支払地代 | |||||
|---|---|---|---|---|---|
|
X6年 11/1 |
現金 |
120,000 |
|||
② 決算時(X7年3月31日):当期分と翌期分を分ける
事業年度:X6年4月1日〜X7年3月31日。
地代の対象期間:X6年11月1日〜X7年10月31日。
このうち、
- 当期分:X6年11月〜X7年3月 ⇒ 5か月分
- 翌期分:X7年4月〜X7年10月 ⇒ 7か月分
月額10,000円ですから、
- 当期の費用(支払地代)にすべき分:10,000 × 5 = 50,000円
- 翌期の費用(前払地代)にすべき分:10,000 × 7 = 70,000円
支払地代には120,000円が入っていますから、このうち翌期分70,000円を前払地代(資産)に振り替えます。
決算整理仕訳:
| 前払地代 | 70,000 | 支払地代 | 70,000 |
これで、
- 当期の費用として残る支払地代 = 120,000 − 70,000 = 50,000円
- 翌期に繰り越す前払地代 = 70,000円
となります。
| 支払地代 | |||||
|---|---|---|---|---|---|
|
X6年 11/1 |
現金 |
120,000 |
X7年 3/31 |
前払地代 |
70,000 |
| 前払地代 | |||||
|---|---|---|---|---|---|
|
X7年 3/31 |
支払地代 |
70,000 |
|||
③ 売上20万円と損益勘定への振替
当期の売上は 200,000円 です。(問題では損益T勘定、若しくは問題文に売上額が書かれている)
決算では、収益と費用を損益勘定にまとめます。
- 売上の振替
売上 200,000 / 損益 200,000 - 地代(当期分)の振替
損益 50,000 / 支払地代 50,000
この結果、損益勘定には、
- 借方:支払地代 50,000(費用)
- 貸方:売上 200,000(収益)
という状態になります。
差額は、
当期純利益 = 200,000 − 50,000 = 150,000円
この150,000円を繰越利益剰余金に振り替えます。
純利益の振替仕訳:
| 損益 | 150,000 | 繰越利益剰余金 | 150,000 |
→ これにより、損益勘定は借方と貸方が200,000円で一致し、「ゼロ」に締め切られます。
支払地代T勘定の完成(1〜3列目=借方/4〜6列目=貸方)
支払地代T勘定に登場するのは次の3つです。
- 借方:X6年11/1 現金 120,000
- 貸方:X7年3/31 前払地代 70,000(決算整理)
- 貸方:X7年3/31 損益 50,000(損益への振替)
借方合計 = 120,000円 貸方合計 = 70,000 + 50,000 = 120,000円 → 勘定の借方・貸方が等しくなり、T勘定が完成します。
| 支払地代 | |||||
|---|---|---|---|---|---|
|
X6年 11/1 |
現金 |
120,000 |
X7年 3/31 X7年 3/31 |
前払地代 損益 |
70,000 50,000 |
| 120,000 | 120,000 | ||||
前払地代T勘定の完成
前払地代T勘定には、
- 借方:X7年3/31 支払地代 70,000(翌期分)
- 貸方:X7年3/31 次期繰越 70,000
のみが登場します(期首残高は0)。
借方合計 = 70,000円 貸方合計 = 70,000円 → 勘定はきれいに締まります。
| 前払地代 | |||||
|---|---|---|---|---|---|
|
X7年 3/31 |
支払地代 |
70,000 |
X7年 3/31 |
次期繰越 |
70,000 |
| 70,000 | 70,000 | ||||
本問は期首に前払地代はないので、借方に前期繰越は来ません。前払地代は次期に繰り越されるものですから、貸方に次期繰越が置かれます。現金70,000が来るわけではありません。
損益T勘定の完成(売上・支払地代・繰越利益剰余金)
損益勘定には、
- 借方:支払地代 50,000(当期の地代費用)
- 貸方:売上 200,000(当期の収益)
差額150,000円を繰越利益剰余金に振り替えます。
- 損益 150,000 / 繰越利益剰余金 150,000
これをT勘定にすると、次のようになります。
| 損益 | |||||
|---|---|---|---|---|---|
|
X7年 3/31 X7年 3/31 |
支払地代 繰越利益剰余金 |
50,000 150,000 |
X7年 3/31 |
売上 |
200,000 |
| 200,000 | 200,000 | ||||
まとめ(第2問での出題パターン)
- ① 「何か月分が当期か?」を必ず数える
11月1日払い・年度末3月31日の場合は「当期5か月・翌期7か月」。 - ② 支払地代の中身を当期分と翌期分に分解する
当期分は損益へ、翌期分は前払地代へ振替。 - ③ T勘定は1〜3列目が借方・4〜6列目が貸方
借方合計と貸方合計が一致するように、「前払地代」「損益」「次期繰越」「繰越利益剰余金」などを埋める。 - ④ 損益勘定では最終的に借貸を等しくし、その差額を繰越利益剰余金へ振り替える
今回は当期純利益150,000円 → 繰越利益剰余金150,000円。
このように、「支払日」「対象期間」「決算日」の位置関係から当期分と翌期分を切り分けていくのが、 第2問・決算とT勘定問題の最大のポイントです。