第13章 例題で解く第1問対策:売買における仮払金と仮受金の考え方
ここでは、仮払金と仮受金について解説します。取引の内容がいったん不明なときや、勘定科目が確定していないときに使われる勘定であり、第1問でも頻出のテーマです。
仮払金とは
仮払金とは、支払の内容が確定していない場合に一時的に用いる資産勘定です。たとえば、次のようなケースで使われます。
- 車両や備品を購入したが、詳細がまだ不明な場合
- 出張旅費などを前渡ししたが、精算前で科目が確定していない場合
- 一時的に立替払いをしたが、最終的な処理がまだ決まっていない場合
支払時点では「とりあえず仮払金」として処理し、後から正式な勘定科目へ振り替えます。
例題1:車両を購入し、いったん仮払金で処理する場合
(問題)
当店は20X5年6月10日に、営業用の車両を800,000円で現金購入した。購入内容は後日確定するため、支払時点では仮払金で処理し、内容確定時に「車両」勘定へ振り替えること。
(考え方)
支払時点では「車両」として処理せず、内容不明の一時的な資産として仮払金を用います。内容が確定した段階で、仮払金から正式な科目(車両)へ振り替えます。
(1)支払時の仕訳(20X5年6月10日)
| 仮払金 | 800,000 | 現金 | 800,000 |
(2)内容確定時の仕訳(車両と判明したとき)
| 車両 | 800,000 | 仮払金 | 800,000 |
ポイント: 支払時点では費用や固定資産の科目を使わず、いったん仮払金で処理し、後で正式な科目へ振り替えるのが仮払金の役割です。
仮受金とは
仮受金とは、入金の内容が確定していない場合に一時的に用いる負債勘定です。たとえば、次のようなケースで使われます。
- 何の代金か不明な入金が銀行口座にあった場合
- 車両などの固定資産を売却したが、詳細な処理が後日になる場合
- 誰からの入金か・どの取引に対応するかが未確認の場合
入金時点では「とりあえず仮受金」として処理し、後から正式な内容が判明したときに、適切な勘定科目へ振り替えます。
例題2:車両を売却し、いったん仮受金で処理する場合
(問題)
当店は使用していた車両を売却し、代金として500,000円を現金で受け取った。売却の詳細(帳簿価額や売却益・売却損の有無)は後日確定するため、入金時点では仮受金で処理し、後に「車両売却による入金」であることが判明したものとする。
(考え方)
入金時点では、まだ「車両売却」と決めつけず、内容不明の一時的な負債として仮受金を用います。その後、車両売却代金であることが確定した段階で、仮受金を適切な科目へ振り替えます。
(1)入金時の仕訳(20X5年7月1日)
| 現金 | 500,000 | 仮受金 | 500,000 |
(2)内容確定時の仕訳(車両売却代金であり、帳簿価額も500,000円と判明したときの単純な例)
ここでは簡単のため、帳簿価額がちょうど500,000円で、売却損益が発生しない場合を考えます。
| 仮受金 | 500,000 | 車両 | 500,000 |
ポイント: 入金時にすぐ「売上」や「車両売却益」とせず、内容不明であれば仮受金を用いておき、後で正しい科目へ振り替えるのが仮受金の役割です。
仮払金と仮受金の共通点
仮払金と仮受金には、次のような共通点があります。
- 取引の内容が未確定のときに一時的に使う勘定であること
- 後で内容が判明したら、必ず正式な勘定科目へ振り替える必要があること
- 「とりあえず入れておく箱」のような役割を持つこと
仮払金と仮受金の違い
一方で、両者には次のような違いがあります。
| 勘定科目 | 内容 | 区分 | 典型的な場面 |
|---|---|---|---|
| 仮払金 | 内容不明の支払を一時的に処理する勘定 | 資産 | 車両・備品の購入、出張費の前渡しなど |
| 仮受金 | 内容不明の入金を一時的に処理する勘定 | 負債 | 入金の相手や内容が不明なとき |
例題まとめ(第1問での出題パターン)
- ① 仮払金: 支払内容が未確定 → 仮払金/現金、後日 車両/仮払金 などに振り替え
- ② 仮受金: 入金内容が未確定 → 現金/仮受金、後日 仮受金/売上・車両 などに振り替え
- ③ 共通する考え方: 一時的な「仮の箱」であり、内容確定後に必ず正式な勘定科目に置き換える
注意点・試験でのポイント
- 内容不明=すぐに売上や費用にしない
→ とりあえず仮払金・仮受金で受払を処理し、後で振り替える。 - 決算で残高をそのままにしない意識
→ 決算時点で内容が判明していれば、仮払金・仮受金をできるだけ正式科目へ振り替える。 - 貸借の向きを整理する
→ 仮払金は「資産」なので借方残高、仮受金は「負債」なので貸方残高であることを意識しておく。
このように、仮払金と仮受金はどちらも「内容がはっきりするまでの仮の勘定」です。試験では、支払か入金か・資産か負債かを意識しながら、正しい方向で仕訳を切れるようにしておきましょう。