第13章 例題で解く第1問対策:買掛金と売掛金の相殺
ここでは、買掛金と売掛金の相殺処理について解説します。 企業間で、同じ相手に対して「商品を売った取引(売掛金)」と「商品を仕入れた取引(買掛金)」が同時に存在する場合、 現金での決済を行わずに、相殺によって決済することがあります。
この処理は、簿記3級でも頻出のテーマであり、同額でなくても相殺可能である点が重要なポイントです。
買掛金と売掛金の相殺とは
同じ取引先に対して、次のような取引関係があるとします:
- 相手から商品を仕入れている(=買掛金)
- 相手に商品を販売している(=売掛金)
この場合、期日が同じであれば、相殺(そうさい)決済を行うことができます。 つまり、互いに支払うべき金額のうち、同額部分を差し引いて処理します。
例題1:売掛金と買掛金が同額の場合
(問題)
当社は同じA商店に対して、売掛金200,000円および買掛金200,000円があり、決済期日に相殺により決済した。仕訳を示しなさい。
(考え方)
売掛金(資産)と買掛金(負債)の両方を相殺により消滅させます。 現金の動きがないため、単純に両者を相殺する仕訳を行います。
(仕訳)
| 買掛金 | 200,000 | 売掛金 | 200,000 |
ポイント: 相殺は、現金の受け渡しを伴わないため、売掛金と買掛金の両方を取り消す形で仕訳します。 現金の入金・出金処理は不要です。
例題2:売掛金と買掛金が異なる場合
(問題)
当社はB商店に対して、売掛金250,000円および買掛金200,000円があり、同日決済のため相殺により処理した。 残額は当社が現金で受け取った。仕訳を示しなさい。
(考え方)
まず、共通部分の200,000円を相殺し、残額50,000円(売掛金の超過分)は現金で受け取ります。
(仕訳)
| 買掛金 現金 |
200,000 50,000 |
売掛金 | 250,000 |
ポイント: 相殺部分をまず取り消し、残額は通常の入金(または支払い)処理を行います。 相殺はあくまで「同日決裁できる範囲内」で行われるものであり、全額一致していなくても処理可能です。
200,000分を相殺し、売掛金50,000を残したままとすることも可能です。
相殺処理の原則と注意点
- 相殺は「同一相手先」「同一決済日」で行う
→ 相手が異なる場合や決済期日が異なる場合は原則相殺できません。 - 相殺できるのは相手先との双方向取引
→ 売掛金と買掛金の関係がある場合に限られます。 - 同額でなくても相殺できる
→ 超過分は現金や小切手で決済します。 - 第1問での出題形式
→ 「相殺した」「残額を現金で受け取った/支払った」という文言に注意。
買掛金と売掛金の関係整理
| 勘定科目 | 性質 | 発生時 | 決済時 |
|---|---|---|---|
| 売掛金 | 資産(受け取る権利) | 販売時 | 入金または相殺で減少 |
| 買掛金 | 負債(支払う義務) | 仕入時 | 支払または相殺で減少 |
例題まとめ(第1問での出題パターン)
- ① 売掛金と買掛金が同額:
買掛金/売掛金 - ② 売掛金>買掛金(残額入金):
買掛金・現金/売掛金 - ③ 売掛金<買掛金(残額支払い):
買掛金/売掛金・現金
注意点・試験でのポイント
- 現金を使わずに決済できる取引
→ 「相殺によって決済した」という文言に注意。 - 同額でなくても相殺は可能
→ 差額分を現金や小切手で処理するか、その部分のみ相殺する。 - 売掛金と買掛金の方向を誤らない
→ 売掛金は資産、買掛金は負債。相殺では両方とも減少。 - 第1問頻出のパターン
→ 「相殺」「同日決裁」「残額を現金で受け取る/支払う」という表現に注目。
このように、買掛金と売掛金の相殺は、同一取引先間での現金を伴わない決済処理です。 簿記3級では「相殺した」「同日決済」などの表現で出題されるため、金額が一致しない場合でも仕訳を正確に書けるようにしておきましょう。