当座借越と決算について | 似ているけど違うシリーズ | やさしい簿記3級講座

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第12章 似ているけど違うシリーズ – 当座借越と決算について

簿記3級の中でも少し難しく感じるテーマが「当座借越(とうざかりこし)」です。普段の仕訳ではあまり登場しませんが、決算時に必ず処理が必要になる重要な項目です。この記事では、当座借越の仕組みと、決算でどのように「借入金」として処理するのかという点を中心に、分かりやすく解説します。

当座借越とは?

当座借越とは、会社が銀行と契約を結び、当座預金の残高が不足したときに、自動的に一定額まで立て替えてもらえる仕組みのことです。簡単に言えば、銀行が用意した「短期の融資枠」です。

通常、当座預金は「資産」です。しかし、支払いが残高を上回ると、当座預金がマイナス(貸方残高)になります。この状態が「当座借越」です。つまり、会社は銀行からお金を借りて支払いを済ませているということになります。

当座借越の仕訳は、支払い時点では単に当座預金を使うだけですが、決算時に借入金に振り替える処理が必要になります。

当座借越の発生時(支払い時)

たとえば、買掛金230,000円を小切手で支払いました。当座預金の残高は200,000円、銀行との借越契約の極度額は50,000円だとします。この場合、支払いは可能ですが、30,000円分が当座借越となります。

借方科目 金額 貸方科目 金額
買掛金 230,000 当座預金 230,000

帳簿上、当座預金の残高はマイナス30,000円(貸方残高)となります。このマイナスが「当座借越」です。極度額内に収まっているため許容されます。

決算時の処理(借入金に振り替える)

決算では、当座預金がマイナスのまま残っているのは不自然です。なぜなら、当座預金は「資産」科目であり、マイナス残高を持つことはありえないからです。したがって、マイナス分を短期借入金(または当座借越)に振り替える処理を行います。

借方科目 金額 貸方科目 金額
当座預金 30,000 借入金(または当座借越) 30,000

これにより、当座預金の残高は0円になり、マイナス分が「借入金」として貸借対照表の負債に計上されます。つまり、「銀行に一時的に借りているお金」として整理するのです。

翌期首の処理(逆仕訳)

翌期首には、前期末に行った振替仕訳を元に戻す必要があります。なぜなら、翌期に入れば再び当座預金が動くため、一時的な振替を解除するためです。

借方科目 金額 貸方科目 金額
借入金(または当座借越) 30,000 当座預金 30,000

この逆仕訳を行うことで、当座預金のマイナスを解消した決算処理が翌期に反映され、帳簿が正しく引き継がれます。

なぜ借入金に振り替えるのか?

当座預金は資産であり、マイナス残高のままでは財務諸表の見た目も不適切です。会計上は、当座預金のマイナスを「銀行から一時的に借りた資金」と見なして整理する必要があります。つまり、実態としては短期借入金なのです。

また、決算書上も正しく分類することが求められます。

項目 勘定科目 区分
通常の預金残高 当座預金 資産
当座借越(マイナス分) 借入金(または当座借越) 負債

極度額と不渡りの関係

当座借越には「極度額(きょくどがく)」が設定されており、これは銀行が立て替えてくれる上限額です。残高が極度額を超える支払いを行うと、銀行は決済を拒否し、その小切手は不渡りになります。

つまり、当座借越の範囲内であれば銀行が支払いを行ってくれますが、超えると信用問題に発展する可能性があります。したがって、帳簿の上でも実際の残高と極度額をしっかり管理しておくことが大切です。

まとめ

  • 当座借越は、当座預金のマイナスを銀行が一時的に立て替える仕組み。
  • 決算では、当座預金のマイナス(貸方残高)を「借入金(当座借越)」に振り替える。
  • 翌期首には逆仕訳で戻す。
  • 極度額を超えると不渡りになるため、残高管理が重要。

当座借越は、仕組みを理解していれば難しくありません。「マイナスになった当座預金を借入金に振り替える」と覚えておけば、決算処理で迷うことはなくなります。