第8章 決算整理とは何か – 経過勘定とは何か
「経過勘定」とは、ある取引が複数の会計期間にまたがるときに、その金額を正しい期間に配分するための調整です。会計は発生主義に基づき、現金の出入りではなく、収益・費用が発生した時点で記録します。家賃や利息、保険料のように、支払(受取)の時期とサービスの提供期間がズレる場合、このズレを正すのが経過勘定です。
経過勘定の4つの種類
| 勘定科目 | 性質 | 代表例 |
|---|---|---|
| 未収収益 | まだ受け取っていない当期の収益(資産) | 受取利息など |
| 未払費用 | まだ支払っていない当期の費用(負債) | 支払利息、給料など |
| 前払費用 | すでに支払った翌期の費用(資産) | 保険料、家賃など |
| 前受収益 | すでに受け取った翌期の収益(負債) | 受取家賃、受取利息など |
なぜ経過勘定が必要なのか
例:12月決算の会社が、翌年3月までの3か月分の家賃を12月に前払いした場合、全額を当期費用にすると翌期分まで含まれ、当期の利益が過少表示になります。経過勘定で当期・翌期に正しく配分し、期間対応の原則を守ります。
考え方を一覧で整理
| 時点の状況 | 現金の動き | 会計上の調整 | 使う勘定 |
|---|---|---|---|
| 前もって支払った(翌期の分) | 支払あり | 当期費用を減らす(翌期へ繰延) | 前払費用(資産) |
| 後から支払う(当期の分) | 支払なし | 当期費用を増やす(見越) | 未払費用(負債) |
| 前もって受け取った(翌期の分) | 受取あり | 当期収益を減らす(翌期へ繰延) | 前受収益(負債) |
| 後から受け取る(当期の分) | 受取なし | 当期収益を増やす(見越) | 未収収益(資産) |
まとめ
- 経過勘定は、支払・受取のタイミングと利用期間のズレを正す調整。
- 見越(未収収益・未払費用)と繰延(前払費用・前受収益)の4種類。
- 発生主義・期間対応の原則を満たし、正しい損益計算と貸借対照表表示を実現する。