第13章 例題で解く第1問対策:法人税等の中間申告と確定申告
ここでは、法人税等に関する仕訳について学びます。 特に、中間申告・確定申告・決算処理の流れを通して、 仮払法人税等や未払法人税等の正しい使い方を理解します。
問3において頻出ですから、必ず理解を深めておきましょう。
法人税等とは
法人税等とは、会社の利益に対して課される税金(法人税、住民税、事業税など)の総称です。 個人でいう「所得税」に相当し、企業の最終的な所得に応じて納めるものです。
簿記上では、これらの税金は費用として「法人税、住民税及び事業税(法人税等)」という科目で処理します。
中間申告と確定申告の違い
法人は原則として年1回、決算後に税額を確定して申告・納付しますが、 前期の実績に基づいて途中で一部を先に納付する制度があり、これを中間申告といいます。
| 区分 | 時期 | 目的 | 使用する勘定科目 |
|---|---|---|---|
| 中間申告 | 事業年度の中間(通常6か月経過時) | 前期税額の一部を前払いする | 仮払法人税等 |
| 確定申告 | 決算後(通常1~2か月以内) | 当期の税額を確定させる | 未払法人税等 |
つまり、中間申告では「前払い(資産)」、確定申告では「確定額(負債)」として処理します。
例題1:中間申告時の仕訳(仮払法人税等)
(問題)
当期の中間申告により、法人税等500,000円を小切手で支払った。仕訳を示しなさい。
(考え方)
中間申告の段階ではまだ正確な税額が確定していないため、前払い(資産)として処理します。 費用ではなく、仮払金の一種である仮払法人税等を使います。
(仕訳)
| 仮払法人税等 | 500,000 | 当座預金 | 500,000 |
ポイント: 仮払法人税等は、あくまで「一時的な前払い」であり、 この時点では損益計算書に影響しません。 決算時に確定額が判明した段階で、費用として処理します。
例題2:決算時の確定申告(法人税等の確定)
(問題)
決算の結果、当期の法人税等の確定額は600,000円であることが判明した。 中間申告で500,000円をすでに支払っている。仕訳を示しなさい。
(考え方)
当期の法人税額600,000円のうち、前払いしていた500,000円はすでに支払済みです。 差額100,000円が未払の状態で残るため、未払法人税等を計上します。
(仕訳)
| 法人税、住民税及び事業税 | 600,000 | 仮払法人税等 未払法人税等 |
500,000 100,000 |
ポイント: 決算ではここで初めて「法人税、住民税及び事業税」として費用処理を行います。 前払い分(仮払法人税等)は資産から控除し、差額分(未払法人税等)を負債として残します。
決算での取り扱いについて
決算では、法人税の確定額を費用化し、貸借対照表上に次のように整理されます。
- 仮払法人税等: 資産(次期に繰り越し)
- 未払法人税等: 負債(次期に繰り越し)
- 法人税、住民税及び事業税: 費用(損益計算書で当期のみ)
つまり、仮払法人税等や未払法人税等は決算で消すのではなく、 そのまま次期に繰り越されるのが正しい処理です。
翌期に実際の納付が行われた際、未払法人税等を消す仕訳を行います。
(翌期の仕訳)
| 未払法人税等 | 100,000 | 当座預金 | 100,000 |
ポイント: 未払法人税等は決算後に実際に納付することで消滅します。 仮払法人税等も、次期の確定申告で精算されるまでは資産のまま残ります。
法人税等の流れのイメージ
- 中間申告 → 仮払法人税等(資産)として処理
- 決算時 → 法人税、住民税及び事業税を費用化し、差額を未払法人税等で整理
- 翌期 → 未払分を納付
例題まとめ(第1問での出題パターン)
- ① 中間申告: 仮払法人税等/当座預金
- ② 決算整理: 法人税等/仮払法人税等・未払法人税等
- ③ 翌期納付: 未払法人税等/当座預金
注意点・試験でのポイント
- 中間申告は「前払い(資産)」、確定申告は「確定(費用・負債)」
- 仮払法人税等・未払法人税等は決算で消さずに繰り越す
- 法人税、住民税及び事業税は決算でのみ計上する(当期の費用)
- 中間申告・確定申告・翌期納付の一連の流れを理解しておく
このように、法人税の処理は「前払い(仮払)」→「確定(費用化)」→「納付(未払消滅)」という流れで行います。 決算時に「法人税、住民税及び事業税」を費用化し、仮払・未払は次期に繰り越されるという構造をしっかり理解しておきましょう。