第13章 例題で解く第1問対策:クレジットカードによる売上と手数料計算
第1問では、クレジットカードによる販売がよく出題されます。 現金販売とは異なり、売上代金はクレジット会社を通じて後日振り込まれます。 このとき、クレジット会社は販売金額の一定割合を手数料として差し引くため、 手数料の計算と仕訳処理を正しく理解することが重要です。
クレジット販売の基本的な流れ
- 顧客がクレジットカードで商品を購入する。
- 販売店はクレジット会社に代金を請求できる権利を得る(売掛金ではなく「クレジット売掛金」)。
- 後日、クレジット会社から手数料を差し引かれた金額が当座預金に振り込まれる。
試験では、販売と入金を分けて処理する形式ではなく、「手数料を差し引いて入金された」取引を一度に処理するタイプ(例題2型)が中心です。
手数料の計算に関する注意点
クレジット手数料は、売上金額に対して一定の割合を掛けて求めます。 つまり、当座預金に振り込まれる予定の金額に対して計算するのではありません。
たとえば、「手数料1%を差し引いて振り込まれた」という問題文の場合、
- ×誤り:入金額 × 1%
- 〇正解:売上金額 × 1%
この点が、税込み計算などで用いる「逆算方式」と異なる点です。 消費税のように「税込金額に含まれる税額」を求めるわけではなく、 あくまで売上金額に対して手数料率を掛けるのが正しい計算です。
(例) 売上120,000円、手数料1%の場合:
120,000 × 1% = 1,200円(手数料)
120,000 − 1,200 = 118,800円(入金額)
したがって、入金額に基づいて逆算すると誤答になります。 このミスは簿記3級で非常に多いので注意が必要です。109,091円 × 1.10% ではありません。
例題1:手数料を差し引かれて入金される場合
(問題)
商品120,000円をクレジットカードで販売し、クレジット会社から手数料1%を差し引かれた金額が当座預金に振り込まれた。仕訳を示しなさい。
(考え方)
- 売上金額:120,000円
- 手数料:120,000 × 1% = 1,200円
- 入金額:120,000 − 1,200 = 118,800円
- 手数料は「支払手数料」として費用処理。
(仕訳)
| 当座預金 支払手数料 |
118,800 1,200 |
売上 | 120,000 |
ポイント:
- 手数料は売上金額に基づいて計算する。入金額を基準にしてはいけません。
- 支払手数料は販売費および一般管理費。営業活動にかかる費用として損益計算書に計上します。
- 当座預金を使用する。振込で受け取るため、現金ではなく当座預金勘定を使います。
例題2:手数料を後日支払う場合(参考)
(問題)
商品100,000円をクレジット販売し、後日全額が当座預金に入金された。手数料1%(1,000円)は翌期にクレジット会社に支払うことになっている。仕訳を示しなさい。
(考え方)
- 売上:100,000円
- 手数料:100,000 × 1% = 1,000円
- 入金は全額100,000円、手数料は未払いのため「未払金」で処理。
(仕訳)
| 当座預金 | 100,000 | 売上 未払金 |
99,000 1,000 |
(後日手数料支払い時)
| 支払手数料 | 1,000 | 未払金 | 1,000 |
ポイント:
- 手数料は翌期に支払うため、当期は未払金で処理。
- 支払い時に「支払手数料/未払金」として費用化します。
例題まとめ(第1問での出題パターン)
- ① 手数料を差し引かれて入金される(最頻出)
→ 当座預金・支払手数料/売上 - ② 手数料を後日支払う場合
→ 当座預金/売上・未払金 - ③ 現金販売との違い
→ 「現金」ではなく「当座預金」または「クレジット売掛金」を使用する。
注意点・試験でのポイント
- 試験では「手数料差引後の入金」処理が中心。
販売と入金を分けるタイプは出題されません。 - 手数料計算の基準を間違えない。
「売上金額 × 手数料率」で求めるのが正しい。 「入金額 × 手数料率」は誤りであり、消費税の逆算のような計算ではありません。 - 支払手数料は販売費および一般管理費。
営業活動にかかる費用として損益計算書に計上します。 - 入金勘定は当座預金。
銀行振込による入金であるため、現金ではなく当座預金勘定を用います。 - 計算の流れを固定化する。
① 売上金額 × 手数料率 → 手数料額を出す
② 売上金額 − 手数料額 → 入金額を出す
③ 当座預金・支払手数料/売上 と記帳する
このように、クレジット販売の手数料は売上金額を基準に計算するという点が、 消費税計算との大きな違いです。ここを押さえておけば、第1問でのミスは防げます。