備品の売却と減価償却累計額 | 例題で解く第1問対策 | やさしい簿記3級講座

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第13章 例題で解く第1問対策:備品の売却と減価償却累計額(計算問題)

第1問では、単に仕訳を問うだけでなく、減価償却費を自分で計算してから仕訳を作るタイプの問題も頻出です。ここでは、取得時期・売却時期・耐用年数などの条件をもとに、減価償却累計額を算出してから売却損益を求める手順を整理します。

例題:減価償却費を計算してから備品を売却する

(問題)

次の備品について、当期に売却したときの仕訳を示しなさい。

  • 事務所備品(取得日:X5年4月1日)
  • 取得原価:960,000円
  • 残存価値:0円
  • 耐用年数:6年(定額法)
  • 当期(X8年9月30日)に、現金で400,000円で売却した。
  • 減価償却は毎期末(3月末)に行う。

(1)減価償却費の計算

まず、毎期の減価償却費を求めます。

定額法の計算式:

取得原価 × (1 − 残存価値率) ÷ 耐用年数

= 960,000 ÷ 6 = 160,000円/年

この備品はX5年4月1日に取得しており、X8年9月30日に売却しています。

  • X5年度:4月~翌3月 → 1年分(160,000円)
  • X6年度:1年分(160,000円)
  • X7年度:1年分(160,000円)
  • X8年度:4月~9月(6か月分)= 160,000 × 6/12 = 80,000円

したがって、売却時点までの減価償却累計額は560,000円です。

※減価償却の月数カウントには売却月(ここではX8年9月)も含めます。

(2)帳簿価額の算定

帳簿価額 = 取得原価 − 減価償却累計額

= 960,000 − 560,000 = 400,000円

売却価額も400,000円のため、差額はゼロ。損益は発生しません。

(3)仕訳

現金
減価償却累計額
400,000
560,000
備品 960,000

※差額がゼロのため、売却損益は発生しません。

例題2:売却益が発生する場合

(問題)

上記の備品(取得原価960,000円、残存価値0円、耐用年数6年、定額法)を、X8年9月30日に450,000円で売却した。仕訳を示しなさい。

(考え方)

  • 減価償却累計額:560,000円(上と同じ)
  • 帳簿価額:960,000 − 560,000 = 400,000円
  • 売却価額:450,000円 → 差額50,000円の利益

(仕訳)

現金
減価償却累計額
450,000
560,000
備品
固定資産売却益
960,000
50,000

→ 売却益50,000円が営業外収益となります。
売却時に40万円の価値の備品が45万円で売れたから5万円の利益が出たということです。

例題3:売却損が発生する場合

(問題)

同じ条件の備品をX8年9月30日に350,000円で売却した。仕訳を示しなさい。

(考え方)

  • 減価償却累計額:560,000円
  • 帳簿価額:400,000円
  • 売却価額:350,000円 → 差額50,000円の損失

(仕訳)

現金
減価償却累計額
固定資産売却損
350,000
560,000
50,000
備品 960,000

売却時に40万円の価値の備品が35万円で売れたから5万円の損失が出たということです。

例題4:当期に購入した備品を当期中に売却した場合

(問題)

当期(X8年6月1日)に購入した備品600,000円を、同年12月31日に現金で550,000円で売却した。減価償却は定額法(残存価値0円、耐用年数6年)であり、当期の決算日は3月31日である。仕訳を示しなさい。

(考え方)

  • 当期購入 → 当期中の売却。
  • 減価償却は期末(3月31日)に行うため、売却時点では減価償却をまだ行っていない。
  • したがって、減価償却累計額は「0円」。
  • 帳簿価額は取得原価の600,000円。
  • 売却価額550,000円との差額50,000円が損失となる。

(仕訳)

現金
固定資産売却損
550,000
50,000
備品 600,000

ポイント:

  • 減価償却累計額は登場しない。
    当期に購入し、まだ償却していない備品を売却する場合は、累計額の処理は不要。
    6カ月経過しているからと言って、減価償却費の6か月分を借方に書くわけではありません。
    決算を経なければ帳簿上の価値は下がりません。
  • 差額はすべて損益勘定で処理。
    今回は売却価額のほうが低いため「固定資産売却損」となる。
  • もし売却価額が取得原価を上回った場合には、「固定資産売却益」で処理する。

このように、当期取得資産の売却は、減価償却を行っていない点が特徴であり、第1問でも頻出のパターンです。

例題まとめ(第1問での出題パターン)

  • ① 売却価額 = 帳簿価額
    → 現金/備品・減価償却累計額(損益なし)
  • ② 売却価額 > 帳簿価額
    → 現金・減価償却累計額/備品・固定資産売却益
  • ③ 売却価額 < 帳簿価額
    → 現金・減価償却累計額・固定資産売却損/備品
  • ④ 当期に購入した備品の売却
    → 減価償却累計額は登場せず、「現金・固定資産売却損/備品」

注意点・試験でのポイント

  • 減価償却累計額は必ず取り崩す
    売却時には、備品勘定から削除するだけでなく、対応する減価償却累計額も借方で消します。
  • 帳簿価額の算定を先に行う
    売却損益は「売却価額」と「帳簿価額(取得原価−累計額)」の差額で判断します。順番を誤ると金額ミスになります。
  • 売却損益は営業外項目
    「固定資産売却益」「固定資産売却損」は営業外損益として扱われ、営業利益には影響しません。
  • 当期取得資産の売却では累計額は出ない
    当期中に購入した場合は、決算整理前であれば減価償却を行っていないため、減価償却累計額の記載は不要です。
  • 月割計算を忘れない
    売却が年度途中である場合、減価償却費は「月数按分(×○/12)」で計算します。これは試験で非常に頻出です。
  • 「固定資産売却損益」の勘定名を正確に書く
    「備品売却損」や「設備売却益」と書くのではなく、試験では必ず「固定資産売却損」「固定資産売却益」を使用します。

このように、売却時の仕訳は「取得原価」「減価償却累計額」「売却価額」の3点を整理し、帳簿価額を求めてから損益を判断するのが確実です。第1問では数値が少し変わっても、この手順を踏めばミスを防げます。