第10章 伝票会計と補助簿 – 入金伝票・出金伝票・振替伝票
帳簿を記入する前段階で、日々の取引を記録するために使うのが「伝票(でんぴょう)」です。
伝票会計では、1つの取引を「入金伝票」「出金伝票」「振替伝票」のいずれかで記録し、仕訳帳を簡潔に保つ役割を果たします。
伝票会計とは
伝票会計とは、取引を直接仕訳帳に書き込むのではなく、まず伝票に記入して整理する方法です。
複数の担当者が同時に記録を行うことができ、業務を分担しやすくなるのが特徴です。
3種類の伝票
伝票会計で使われる伝票は次の3つです。
| 伝票の種類 | 使う場面 | 主な記入内容 |
|---|---|---|
| 入金伝票 | 現金を受け取ったとき | 借方:現金 / 貸方:相手科目 |
| 出金伝票 | 現金を支払ったとき | 借方:相手科目 / 貸方:現金 |
| 振替伝票 | 現金の出入りがない取引のとき | 借方:相手科目 / 貸方:相手科目 |
入金伝票の例
現金を受け取った場合に使用します。
たとえば、売上として現金10,000円を受け取ったときの記入は次の通りです。
| 伝票名 | 借方 | 貸方 | 金額(円) |
|---|---|---|---|
| 入金伝票 | 現金 | 売上 | 10,000 |
この場合、「現金」が増えるため借方、「売上」という収益が発生するため貸方に記入します。
出金伝票の例
現金を支払ったときに使用します。
たとえば、消耗品を現金で5,000円購入したときの記入例です。
| 伝票名 | 借方 | 貸方 | 金額(円) |
|---|---|---|---|
| 出金伝票 | 消耗品費 | 現金 | 5,000 |
支払により現金(資産)が減り、費用が発生するためこのように記入します。
振替伝票の例
現金の出入りがない取引に使用します。
たとえば、従業員の給料100,000円を当座預金から振り込んだ場合です。
| 伝票名 | 借方 | 貸方 | 金額(円) |
|---|---|---|---|
| 振替伝票 | 給料手当 | 当座預金 | 100,000 |
現金を使っていないため、「振替伝票」で記録します。
このように、現金を介さない取引はすべて振替伝票で処理します。
ミニ練習:どの伝票を使う?
次の取引で使う伝票を考えてみましょう。
| 取引内容 | 伝票の種類 |
|---|---|
| 売上代金として現金を受け取った |
解答を見る入金伝票 |
| 通信費3,000円を現金で支払った |
解答を見る出金伝票 |
| 家賃50,000円を銀行振込で支払った |
解答を見る振替伝票 |
まとめ
- 入金伝票は「現金を受け取ったとき」。
- 出金伝票は「現金を支払ったとき」。
- 振替伝票は「現金の出入りがない取引のとき」。
- 簿記3級では、3つの伝票を区別して仕訳を考えられるようにしよう。
伝票の使い分けは、実務でも非常に重要です。
次回は「売掛帳・買掛帳・現金出納帳」など、補助簿の役割を学びましょう。