第1章 簿記とは何か – 家計簿との違いを知ろう
「簿記」はむずかしい数字の勉強、というイメージを持つ人も多いでしょう。
ですが、実は簿記の考え方は、私たちが普段使っている「家計簿」にとてもよく似ています。
違いを知ると、簿記の目的がはっきりと見えてきます。
家計簿は「お金の出入り」を記録するもの
家計簿では、「何に使ったか」「いくら残っているか」を記録します。
目的は、無駄づかいを防いだり、貯金のペースを確認したりすることです。
| 日付 | 内容 | 収入 | 支出 | 残高 |
|---|---|---|---|---|
| 4/1 | 前月繰越 | 50,000 | ||
| 4/2 | アルバイト代 | 20,000 | 70,000 | |
| 4/3 | 昼食代 | 600 | 69,400 | |
| 4/4 | 文房具購入 | 1,000 | 68,400 |
家計簿では、単純に「お金が入った」「お金を使った」という事実を記録します。
つまり、結果(残高)を確認するのが目的です。
簿記は「会社の動きを数字で説明するもの」
いっぽう、簿記ではお金の動きだけでなく、「なぜ増えたのか・なぜ減ったのか」も記録します。
そのため、簿記では「収入」「支出」ではなく、次のような分類で考えます。
- 資産(現金・預金・商品など)
- 負債(借金・買掛金など)
- 純資産(元手・資本金など)
- 収益(売上などのもうけ)
- 費用(仕入や給料などの出費)
つまり簿記は、「何が増えて」「何が減ったのか」を両面から記録します。
この考え方を「取引の二面性」といいます。
| 出来事 | 増えたもの | 減ったもの |
|---|---|---|
| 文房具を現金で購入した | 消耗品費(費用) | 現金(資産) |
| 商品を現金で販売した | 現金(資産) | 商品(資産) |
| 銀行からお金を借りた | 現金(資産) | 借入金(負債) |
家計簿と簿記のちがいを整理しよう
| 項目 | 家計簿 | 簿記 |
|---|---|---|
| 使う場所 | 家庭 | 会社・お店・団体など |
| 目的 | お金の残りを確認する | 経営の状態を数字で表す |
| 書き方 | 収入と支出を記録 | 資産・負債・収益・費用で分類 |
| 結果 | お金の残高がわかる | 利益・財産の状況がわかる |
家計簿は「お金の動き」を知るためのもの。
簿記は「お金の動きの理由」を知るためのもの。
この違いを理解することで、簿記がただの数字の勉強ではなく、「会社の言葉」であることが見えてきます。
練習問題
- 家計簿の目的は何ですか?
- 簿記の目的は何ですか?
- 「文房具を現金で買った」場合、簿記では何が増え、何が減りますか?
解答を見る
- 家庭のお金の出入りを把握して、残高を確認すること。
- 会社のお金の流れを記録し、経営状態を明らかにすること。
- 増える:消耗品費(費用)、減る:現金(資産)。
まとめ
家計簿は「お金の出入り」、簿記は「お金の動きの理由」を記録します。
家計簿を一歩進めたものが簿記です。
次回は、簿記を理解するために欠かせない「5つの分類(資産・負債・純資産・収益・費用)」を学びましょう。