カラマーゾフの兄弟 登場人物人名対照表しおり ドストエフスキー 読書の手引き

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amazonでカラマーゾフの兄弟

世界文学の頂点、カラマーゾフの兄弟。登場人物全員熱い。猛烈な熱量。

ロシア文学を読む上での障壁となる、人物名を対照表として一覧表示します。しおりとしてご利用いただけます。

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カラマーゾフの兄弟の概要

「カラマーゾフの兄弟」は、ロシアの作家フョードル・ドストエフスキーによる最後の長編小説であり、「罪と罰」と並んで最高傑作とされる。信仰、死、国家と教会、貧困、児童虐待、家族関係、愛情など、多様なテーマを含んでおり、「思想小説」「宗教小説」「推理小説」「裁判小説」「家庭小説」「恋愛小説」としても読むことができる。三兄弟を軸に親子、兄弟、異性など複雑な人間関係が絡む中で、父親殺しの嫌疑をかけられた子の刑事裁判について三兄弟の立場で向き合うことが本筋となっている。イヴァンがアリョーシャに語る「大審問官」は、有名なセリフのひとつである。続編は、ドストエフスキーの死によって中断されたが、いくつかの断片的な情報が残されている。

物欲の権化のような父フョードル・カラマーゾフの血を、それぞれ相異なりながらも色濃く引いた三人の兄弟。放蕩無頼な情熱漢ドミートリイ、冷徹な知性人イワン、敬虔な修道者で物語の主人公であるアリョーシャ。そして、フョードルの私生児と噂されるスメルジャコフ。これらの人物の交錯が作り出す愛憎の地獄図絵の中に、神と人間という根本問題を据え置いた世界文学屈指の名作。 - 新潮文庫

暴力を否定し,調和的な愛を強調するこの作品は,作者最後のかつ最高の傑作で雄大な構想,複雑で緻密な構成,人間精神の深刻な把握,また人類の苦悩に対する深い理解と愛情とをもつ.淫蕩なフョードルを父に持つ三人の兄弟を主人公に,悪夢のような一家の形成から破滅に至るまでの複雑多岐な内容を短時日の事件の中に描き出す.- 岩波文庫

登場人物 人名対照表

本名 愛称  
フョードル・パーヴロウィチ・カラマーゾフ   カラマーゾフ家の家長
アデライーダ・イワーノヴナ・ミウーソワ   フョードルの最初の妻(長男の母)
ソフィア・イワーノヴナ・ミウーソワ   フョードルの2番目の妻
ドミートリイ・フョードロウィチ・カラマーゾフ ミーチャ、ミーチカ フョードルの長男
イヴァン・フョードロウィチ・カラマーゾフ ワーニャ、ワーネチカ フョードルの次男
アレクセイ・フョードロウィチ・カラマーゾフ アリョーシャ、リューシェチカ フョードルの三男(主人公)
グリゴリイ・ワシーリエヴィッチ・クツーゾフ   カラマーゾフ家の使用人
スメルジャコフ
パーヴェル・フョードロウィチ
カラマーゾフ家の使用人(コック)
カチェリーナ・イワーノヴナ・ヴェルホフツェヴァ カーチャ、カチェーニカ ドミートリイ(長男)の婚約者
ホフラコーワ夫人   カチェリーナの友人
アグラフェーナ・アレクサンドロヴナ・スヴェトロヴァ グルーシェンカ 妖艶な美貌を持つ女性
リザヴェータ リーザ、リーズ アリョーシャ(三男)と相愛
ジノーヴィ ゾシマ 修道院の長老
ラキーチン   アレクセイ(主人公)と共に学ぶ若い僧
フェラボンド神父   ゾシマを敵視
スネギリョフ   元二等大尉
アリーナ・ペトローヴナ   スネギリョフの妻
イリューシャ   スネギリョフの子
ミハイル・オーシポウィチ・ラキーチン ラキートカ 神学生
コーリャ・クラソートキン   イリューシャの級友
ムシャローヴィチ   ポーランド人獣医
ニコライ・パルフェーノウィチ・ネリュードフ   予備判事
イッポリート・キリーロウィチ 検事 検事補
フェチュコーヴィチ   弁護士

ロシア人の名前について

名前+親(〇〇の子の意味)+姓が基本形となり、姓については男性と女性で異なり、「○○u」が男性、「○○a」が女性と考えてよい(他には○○ンと○○iナ(トルストイのアンナ・カレーニナなど)、○○スキーと○○スカヤ(女子アイススケート選手は○○スカヤですね!)など)。ドミートリイ・フョードロウィチ・カラマーゾフであれば、ドミートリィ・フョードルの子・カラマーゾフ(男性)となります(父の名はフョードル・パーヴロウィチ・カラマーゾフ)。また、ドミートリィ・フョードロウィチという呼び方は「ドミートリィさん」という敬称の雰囲気になります。

印刷用人物対照表

PDF版人物対照表

カラマーゾフの兄弟 人物対照表pdf

A4でそのまま印刷して不要な部分を切り取れば文庫本サイズになります

青空文庫

上のみ

カラマゾフの兄弟 (ドストエフスキー フィヨードル・ミハイロヴィチ)
[#ページの左右中央]誠にまことに汝(なんじ)らに告ぐ、一粒の麦、地に落ちて死なずば、唯(ただ)一つにて在(あ)りなん、もし死なば、多くの果(み)を結ぶべし。ヨハネ伝第十二章第二十四節[#改ページ][…

ロシア語による原文

ロシア語の原文になります。google翻訳などで読むこともできます。下記にリンクを掲載しておりますがロシア語のため文字化けして表示されていることがあります。

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カラマーゾフの兄弟と聖書

『カラマーゾフの兄弟』は、聖書と深く結びついた作品であり、そのテーマ、構造、登場人物の内面的葛藤において、キリスト教の思想が色濃く反映されています。信仰、道徳、人間の自由、そして救済という普遍的なテーマを聖書的な文脈で探求しています。

聖書的テーマと物語の構造

『カラマーゾフの兄弟』の中心的なテーマには、罪、贖罪、愛、そして自由です。これらは聖書全体を通じて繰り返される概念であり、小説の主要な出来事や登場人物の選択に深く関わっています。

  • 罪と贖罪
    父親フョードルの殺害を巡る物語は、聖書における「カインとアベル」の兄弟間の殺人の物語(創世記4章)を彷彿とさせます。また、罪を犯した者がその責任と向き合い、贖罪を求める過程は、聖書における悔悟と救済のテーマを明確に反映しています。

  • 自由と責任
    作中では、人間の自由が中心的なテーマとなっています。特に、ゾシマ長老の教えや、イワンの「大審問官」の章では、自由をどのように使うべきかという問題が探求されています。これは、聖書における自由意志と神への信仰の関係を問う内容と共鳴します。

主要キャラクターと聖書的象徴

登場人物たちは、それぞれ聖書的な象徴を持つ役割を果たしています。

  • アリョーシャ
    末弟アリョーシャは、ゾシマ長老の弟子として信仰を体現するキャラクターです。彼の無償の愛と人間性に対する信頼は、キリスト教における理想的な信仰者の姿を象徴しています。アリョーシャはキリストに近い存在として描かれ、物語を通じて愛と希望をもたらします。

  • イワン
    中央の兄イワンは、理性と無神論を代表するキャラクターです。「大審問官」の章では、イエスが与える自由を人間が受け入れられるのかという問いを投げかけます。この章は、イエスが人間に自由意志を与えた意味を聖書的観点から深く掘り下げています。

  • ドミートリー(ミーチャ)
    長兄ドミートリーは、人間の欲望や罪深さを象徴する存在ですが、物語の後半では罪を認めることで贖罪の道を模索します。彼の姿は、聖書における「放蕩息子」(ルカによる福音書15-11)に例えられることがあります。

  • フョードル・カラマーゾフ
    父親フョードルは、堕落しきった人間性を象徴する人物です。彼の存在は、愛や信仰を欠いた人間がどれほど堕落するかを示すものとして描かれています。

「大審問官」の章と聖書

『カラマーゾフの兄弟』の中でも特に有名な「大審問官」の章は、聖書に対する哲学的な問いを深く掘り下げています。この物語では、イエスが再臨しても教会に受け入れられず、自由を恐れる人間のために教会がイエスを拒絶するという大胆な議論が展開されます。ここでは、人間が神から与えられた自由をどのように扱うべきかが問われており、聖書における自由意志のテーマが鋭く描かれています。

ゾシマ長老の教え

ゾシマ長老は、聖書の教えを体現した存在として描かれています。彼の説教や死後の影響力は、イエスの教えや初期キリスト教の聖人たちを彷彿とさせます。特に、すべての人が他者の罪に責任を負うという考え方は、聖書的な愛と謙虚さを象徴しています。

聖書の引用と物語の結末

作中には直接的な聖書の引用も数多く登場します。例えば、アリョーシャが子どもたちに語る言葉や、物語のクライマックスにおける赦しと和解の描写は、聖書の教えに基づいています。物語の結末でアリョーシャが見せる姿勢は、キリスト教的な愛と希望の象徴として読者に感動を与えます。