MACDについて
MACDの概要
Moving Average Convergence Divergenceインジケーター | ||
MACD 概要 移動平均収束拡散手法。金融市場でトレンドの方向性や転換点を分析し、価格の勢いや市場の状態を評価するために使用されるインジケーターです。短期および長期の指数移動平均(EMA)の差を基に構成されています。 |
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かんたん解説 短期と長期の移動平均線の差から価格の勢いやトレンドの方向を分析する指標です。ラインがクロスすると売買サイン、棒グラフ(ヒストグラム)で勢いを確認できます。トレンド相場で効果的ですが、横ばい相場では注意が必要です。 | ||
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評価 10/10 認知度、使用頻度ともに非常に高いトレンド系指標の代表格。 |
MACDの長所
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トレンド転換の発見
MACDラインとシグナルラインのクロスで、トレンドの転換点を早期に把握可能です。 -
勢いを視覚化
ヒストグラムを通じて価格変動の勢いを直感的に確認できます。 -
柔軟性
短期・長期の期間をカスタマイズすることで、短期トレードから中長期トレードまで幅広く適用できます。
MACDの弱点
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遅行性
トレンドフォロー型の特性上、サインが遅れて現れる場合があります。 -
横ばい相場での不安定性
明確なトレンドがない場合、ノイズが多くなり、誤った売買サインを発することがあります。 -
調整の必要性
デフォルト設定がすべての市場や銘柄に適合するわけではなく、調整が必要です。
MACDの見方
MACDの設定
- 通常は短期EMAを12期間、長期EMAを26期間、シグナルラインを9期間に設定します。短期トレードではこれらを短縮し、長期トレードでは長く設定することもあります。ここでの「期間」とは、日足では日、週足では週、分足では分を指します。
MACDの各要素について
- MACDライン
短期EMA(一般的に12日)と長期EMA(一般的に26日)の差です。このラインは、トレンドの勢いや方向性を示します。 - シグナルライン
MACDラインの9日EMAを指します。このラインがMACDラインを上抜け・下抜けすることで、売買のタイミングを視覚的に確認できます。 - ヒストグラム
MACDラインとシグナルラインの差を棒グラフとして表示したもので、トレンドの強さや勢いを測定します。 - 指数平滑移動平均(EMA)とは
EMA(Exponential Moving Average)は、最新の価格データをより重視する移動平均です。過去のデータに比べて現在の価格変動を迅速に反映するため、トレンドの変化を早期に捉えるのに適しています。 - 移動平均とは
一定期間のデータの平均値を求め、それを連続的に計算することでデータの動きを滑らかにし、全体の流れやトレンドを見やすくする手法です
MACDサンプルチャート
以下は実際の2024年8月から12月までのTOYOTAの値動きとMACDのグラフです。
MACDでわかるトレンドと転換点シグナル
- コールデンクロス(買いサイン)
MACDラインがシグナルラインを下から上へクロスした場合、上昇トレンドの始まりを示します。 - デッドクロス(売りサイン)
- MACDラインがシグナルラインを上から下へクロスした場合、下降トレンドの始まりを示します。
- ヒストグラムのゼロライン越え
ヒストグラム(柱状グラフ)がゼロラインを上抜けるとき、上昇トレンドの強化を示唆します。 - ヒストグラムのゼロライン抜け
ヒストグラム(柱状グラフ)がゼロラインを下抜けするとき、下降トレンドの強化を示唆します。 - ダイバージェンス(乖離)
価格が高値を更新する一方でMACDラインが高値を切り下げる場合、上昇トレンドの弱まりを示します(売りサイン)。逆に、価格が安値を更新する一方でMACDラインが安値を切り上げる場合、下降トレンドの弱まりを示します(買いサイン)。
MACDと他の指標との併用
MACDの弱点を他のインジケーターで補います。
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RSI(相対力指数)との組み合わせ
MACDはトレンドフォロー型であるのに対し、RSIは買われすぎ・売られすぎを示すオシレーター型(相場のトレンドが不明確な状態で能力を発揮する指標)です。両者を組み合わせることで、トレンドと勢いを総合的に判断できます。 -
ボリンジャーバンドとの併用
ボリンジャーバンドがトレンドの幅を示す中で、MACDが勢いや転換点を補足する形で利用されることがあります。 -
単純移動平均(SMA)との比較
SMAは全体的なトレンドを示すのに適していますが、MACDは勢いや転換点をより敏感に捉えられます。
MACDの計算式(参考)
MACDは以下の手順で計算されます。
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短期指数平滑移動平均(短期EMA)
t-1 × 1 – 2 n + 1 ここで:
- P_t: 現在(最新)の価格やデータポイント(例: 株価の終値、為替レートなど)。
- t-1: 1つ前の時点を指す(前日の終値)。
- EMAt-1: 1つ前の指数平滑移動平均。
- n: 移動平均の期間(短期は通常12日)。
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長期指数平滑移動平均(長期EMA)
t-1 × 1 – 2 m + 1 ここで:
- P_t: 現在の価格やデータポイント。
- m: 長期の移動平均期間(長期は通常26日)。
- その他の記号の意味は短期EMAと同じ。
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MACD
短期 – EMA 長期 短期EMAから長期EMAを引いた値。
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シグナル線
MACD MACDを平滑化したもの(通常は9日間)。
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ヒストグラム
MACDとシグナル線の差を表します。トレンドの強弱を視覚化します。
まとめ
MACDは、トレンドの発見や転換点の確認、勢いの測定に非常に役立つ指標です。遅行性やノイズの影響といった欠点を補うために、他のインジケーターやチャート分析と組み合わせると、より効果的なトレード戦略が構築できます。市場や銘柄に合わせた設定調整と実践的な利用を心がけることで、トレーダーにとって強力なツールとなるでしょう。
インジケーターについて
インジケーターの弱点
- 過去データに依存
インジケーターは過去の価格や取引量を基に計算されるため、未来の価格変動を完全に予測するものではありません。予期せぬ中央銀行の発表や突発的な事態、政治動向の急変などには対応できません。 - 遅延が発生する
特に移動平均のようなトレンド系指標では、価格変動に対して反応が遅れるため、急激な変動に対応しにくい場合があります。 - ノイズへの敏感さ
短期指標では価格の一時的な動き(ノイズ)に敏感になりすぎ、誤ったシグナルが出やすいことがあります。 - 単独使用の限界
一つの指標だけでは情報が偏り、相場の全体像を正確に把握できないことが多いです。
インジケーターの弱点への対応策
- 複数指標の組み合わせを意識する
一つの指標に頼らず、異なる種類の指標(トレンド系とオシレーター系など)を組み合わせて使うと精度が向上します。 - 市場環境に合わせる
インジケーターの効果は、トレンド相場かレンジ相場かによって大きく異なるため、適切な指標を選ぶことが重要です。 - 過剰な複雑化を避ける
多くの指標を同時に使うと混乱を招き、明確な判断が難しくなることがあります。シンプルな組み合わせを心がけましょう。 - ファンダメンタルズも考慮する
インジケーターは価格の動きに焦点を当てているため、経済指標やニュースなどのファンダメンタルズを無視すると重要なリスクを見逃す可能性があります。 - 相場の変化に注意
過去に効果的だった指標や設定が、相場の状況が変わると機能しなくなることもあります。定期的な見直しが必要です。
株式市場における各種指標
ファンダメンタルズ指標 |
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| EBITDAマージン | EPS | PBR | PER | ROA | ROE | ROE拡張 | VWAP | インタレストカバレッジレシオ | キャッシュ比率 | フリーキャッシュフロー | 出来高 | 営業キャッシュフロー | 営業利益率 | 固定比率 | 売上高成長率 | 売買代金 | 当座比率 | 流動比率 | 純利益率 | 自己資本比率 | 負債比率 | 貸株金利 | 配当利回り | 配当性向 | 配当成長率 | 信用倍率 | |
信用取引関連指標 |
| 信用期限到来残高 | 信用残高 | 信用貸株金利 | 回転日数 | 日証金速報 | 空売り残高 | 空売り比率 | 融資残高 | 貸株残高 | 貸株金利 | 逆日歩 | |
トレンド系テクニカル指標 |
| EMA | HLバンド | Variable Volatility Stops | パラボリック | ピボットポイント | フィボナッチ(戻り・ザラ場) | フィボナッチ(戻り・終値) | フィボナッチ(新値・ザラ場) | ボリンジャーバンド | 一目均衡表 | 単純移動平均線 | 回帰トレンド | |
オシレーター系テクニカル指標 |
| Aroon-Indicator | Aroon-Oscillator | ATR | CCI | DMI | DPO | MACD | RCI | RSI | UOS | ウィリアムズ%R | サイコロジカルライン | ストキャスティクス | ポラティリティレシオ | ボリュームレシオ1 | ボリュームレシオ2 | モメンタム | レシオケータ | 標本標準偏差 | 標準偏差 | |