ATRの見方をわかりやすく解説 オシレーター系インジケーター

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指標は株式市場における価格変動やトレンドを分析するための情報を提供するものですが、必ずしも指標通りに市場が動くわけではありません。株式市場の価格は、経済状況、企業業績、ニュースや出来事、その他多数の要因によって複雑に影響されます。

取引における最終的な判断は、ご自身の責任で行ってください。本記事の内容を参考にして行われた取引による損益について、一切の責任を負いかねます。株式取引はリスクを伴う投資行動であり、元本割れや損失が発生する可能性があることを十分ご理解いただいた上で慎重にご判断ください。

ATRについて

ATRの概要

Average True Rangeインジケーター

ATR

概要 ATRは、相場の変動幅を測定する指標で、ボラティリティ(価格変動の幅)を数値化します。トレンドの方向性ではなく、価格変動の大きさを分析するために使用されます。

かんたん解説 ATRは、高値と安値、前日終値を比較した「真の値幅(True Range)」を平均化することで、ボラティリティの大きさを算出します。値が大きいほど変動が激しく、小さいほど相場が安定していると判断できます。
  • ボラティリティの測定
    価格変動の大きさを視覚的に確認可能です。

  • トレンドの強弱判断に活用
    大きなATR値は強いトレンド、低いATR値は弱いトレンドを示唆します。

  • リスク管理に役立つ
    損切り幅やポジションサイズの設定に利用されることが多い指標です。

評価 8/10 ボラティリティ指標として標準的な指標で、人気が高い。

ATRの長所

  • ボラティリティを客観的に把握
    市場の変動幅を定量化でき、リスクの高低を判断可能です。

  • トレード戦略の多機能性
    エントリーや損切り設定、ポジションサイズの調整に利用できます。

  • トレンドに依存しない
    価格の方向性ではなく、変動幅を分析するため、トレンド相場でもレンジ相場でも活用できます。

ATRの弱点

  • トレンド方向を示さない
    ボラティリティを測定する指標であり、価格の方向性を直接判断することはできません。

  • 横ばい相場では有用性が低下
    価格変動が少ない場合、ATRの値も低下し、分析材料が限定されます。

  • 遅行性
    平均値を利用しているため、ボラティリティの急激な変化に反応が遅れることがあります。

ATRの見方

ATRの設定

  • 通常は14期間が一般的に使用されます。短期トレードでは5~10期間、長期トレードでは20~30期間に設定を変更することもあります。ここでの「期間」とは、日足では、週足では、分足ではを指します。

ATRの数値について

  • 値が大きい場合
    相場のボラティリティが高く、変動幅が大きい状態を示します。
  • 値が小さい場合
    相場のボラティリティが低く、変動幅が小さい状態を示します。

ATRのサンプルチャート

以下は実際の2024年8月から12月までのTOYOTAの株価とATRのグラフです。

ATRの活用例

  • 損切り幅の設定
    ATRの値を基に、ボラティリティを考慮した損切りラインを設定します。
  • トレードエントリーの補助
    ATRが急激に上昇した場合、トレンドが発生する可能性が高いと判断できます。

ATRと他の指標との併用

ATRは、他のインジケーターと併用することで、分析の精度を高めることができます。

  • 移動平均線との併用
    移動平均線でトレンド方向を確認し、ATRでリスクとボラティリティを評価します。

  • ボリンジャーバンドとの併用
    ボリンジャーバンドとATRを組み合わせることで、トレンドの強さとリスクを同時に分析できます。

ATRの計算式(参考)

ATRは以下の手順で計算されます。

  • 「真の値幅(True Range)」の計算

    以下の3つの値の中で最も大きいものを「真の値幅」とします:

    ( 当日の高値 当日の安値 )

    ( 当日の高値 前日の終値 )

    ( 前日の終値 当日の安値 )
  • 「平均真の値幅(ATR)」の計算

    ATR = 過去n日間の真の値幅の合計 n

    ここで、nは計算期間を示します(例: 14日)。

まとめ

ATRは、相場のボラティリティを定量化するために非常に役立つ指標です。トレンド方向を直接示さないため、移動平均線やトレンドラインなどの補完的な指標と併用することで、リスク管理やトレード戦略の精度を高めることができます。

インジケーターについて

インジケーターの弱点

  • 過去データに依存
    インジケーターは過去の価格や取引量を基に計算されるため、未来の価格変動を完全に予測するものではありません。予期せぬ中央銀行の発表や突発的な事態、政治動向の急変などには対応できません。
  • 遅延が発生する
    特に移動平均のようなトレンド系指標では、価格変動に対して反応が遅れるため、急激な変動に対応しにくい場合があります。
  • ノイズへの敏感さ
    短期指標では価格の一時的な動き(ノイズ)に敏感になりすぎ、誤ったシグナルが出やすいことがあります。
  • 単独使用の限界
    一つの指標だけでは情報が偏り、相場の全体像を正確に把握できないことが多いです。

インジケーターの弱点への対応策

  • 複数指標の組み合わせを意識する
    一つの指標に頼らず、異なる種類の指標(トレンド系とオシレーター系など)を組み合わせて使うと精度が向上します。
  • 市場環境に合わせる
    インジケーターの効果は、トレンド相場かレンジ相場かによって大きく異なるため、適切な指標を選ぶことが重要です。
  • 過剰な複雑化を避ける
    多くの指標を同時に使うと混乱を招き、明確な判断が難しくなることがあります。シンプルな組み合わせを心がけましょう。
  • ファンダメンタルズも考慮する
    インジケーターは価格の動きに焦点を当てているため、経済指標やニュースなどのファンダメンタルズを無視すると重要なリスクを見逃す可能性があります。
  • 相場の変化に注意
    過去に効果的だった指標や設定が、相場の状況が変わると機能しなくなることもあります。定期的な見直しが必要です。

株式市場における各種指標

ファンダメンタルズ指標
| EBITDAマージン | EPS | PBR | PER | ROA | ROE | ROE拡張 | VWAP | インタレストカバレッジレシオ | キャッシュ比率 | フリーキャッシュフロー | 出来高 | 営業キャッシュフロー | 営業利益率 | 固定比率 | 売上高成長率 | 売買代金 | 当座比率 | 流動比率 | 純利益率 | 自己資本比率 | 負債比率 | 貸株金利 | 配当利回り | 配当性向 | 配当成長率 | 信用倍率 |
信用取引関連指標
| 信用期限到来残高 | 信用残高 | 信用貸株金利 | 回転日数 | 日証金速報 | 空売り残高 | 空売り比率 | 融資残高 | 貸株残高 | 貸株金利 | 逆日歩 |
トレンド系テクニカル指標
| EMA | HLバンド | Variable Volatility Stops | パラボリック | ピボットポイント | フィボナッチ(戻り・ザラ場) | フィボナッチ(戻り・終値) | フィボナッチ(新値・ザラ場) | ボリンジャーバンド | 一目均衡表 | 単純移動平均線 | 回帰トレンド |
オシレーター系テクニカル指標
| Aroon-Indicator | Aroon-Oscillator | ATR | CCI | DMI | DPO | MACD | RCI | RSI | UOS | ウィリアムズ%R | サイコロジカルライン | ストキャスティクス | ポラティリティレシオ | ボリュームレシオ1 | ボリュームレシオ2 | モメンタム | レシオケータ | 標本標準偏差 | 標準偏差 |