シングルスレッドモデル | 役割と特徴 | JavaScript 超完全入門 基本から発展までのすべて

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解説の概要

JavaScriptは、基本的に「シングルスレッド」という仕組みで動いています。これは、同時に1つの仕事(タスク)しか実行しない仕組みです。このモデルがどうやって動いているのか、どんな利点と問題があるのかを、わかりやすく説明します。

シングルスレッドモデルとは?

シングルスレッドとは、「一度に1つの作業しかできない」という仕組みです。たとえば、キッチンで料理をしているとき、一人しか料理していないなら、1つの料理が終わるまで次の料理には取り掛かれません。JavaScriptも同じように、一度に1つのタスクしか実行できません。

この仕組みには、以下のような特徴があります。

特徴 説明
一度に1つのタスク JavaScriptは、1つの作業が終わるまで次の作業に移れません。
順番に実行 仕事は順番に進んでいきます。1つのタスクが終わると次のタスクが実行されます。

シングルスレッドは簡単な仕組みですが、いくつかの問題もあります。次にその問題点を説明します。

シングルスレッドモデルの問題点

シングルスレッドモデルでは、1つのタスクが時間がかかる場合、次のタスクはその間ずっと待たなければなりません。たとえば、ネットから大きなファイルをダウンロードする作業や、重い計算処理があると、他の作業がその処理が終わるまで止まってしまいます。


// 時間のかかる処理の例
console.log("処理1開始");
for (let i = 0; i < 1000000000; i++) {} // 長い計算
console.log("処理1終了");
console.log("処理2開始");

このコードでは、最初の「処理1」が終わるまで「処理2」が始まりません。これがシングルスレッドの制約です。

非同期処理で問題を解決

JavaScriptでは、非同期処理という方法を使って、この「待ち時間」の問題を解決できます。非同期処理とは、1つのタスクが時間がかかる場合でも、他のタスクを先に進める仕組みです。これにより、時間のかかる作業(例えばネットワークのリクエストなど)を待っている間に、別の作業を並行して進めることができます。

JavaScriptには、非同期処理を行うための方法がいくつかあります:

方法 説明
コールバック関数 ある処理が終わったときに実行する関数です。
Promise 非同期処理の結果を待つ仕組みで、成功か失敗に応じた処理が可能です。
async/await Promiseを使った非同期処理を、より簡単に記述するための構文です。

以下の例は、非同期処理のひとつであるPromiseを使った例です。


// 非同期処理の例 (Promise)
console.log("処理1開始");

const heavyTask = new Promise((resolve, reject) => {
    setTimeout(() => {
        resolve("処理1終了");
    }, 2000); // 2秒後に終了
});

heavyTask.then((message) => {
    console.log(message);
    console.log("処理2開始");
});

この例では、最初のタスクが2秒かかりますが、その間にJavaScriptは他の作業も並行して進めることができます。これが非同期処理の強力な点です。

イベントループでタスクを管理

JavaScriptは「シングルスレッド」ですが、イベントループという仕組みを使って、非同期タスクを処理しています。イベントループは、次に何を実行するかを管理し、タスクが終わると次のタスクを実行します。


// イベントループの簡単な例
console.log("処理1");

setTimeout(() => {
    console.log("非同期処理完了");
}, 1000); // 1秒後に実行

console.log("処理2");

このコードでは、setTimeoutが1秒後に非同期で処理を行いますが、その間に「処理2」がすぐに実行されます。このように、JavaScriptはイベントループを使って、効率的にタスクを処理します。

まとめ

JavaScriptのシングルスレッドモデルは、一度に1つのタスクしか処理できない仕組みですが、非同期処理やイベントループを活用することで、効率よくプログラムを動かすことが可能です。シングルスレッドはシンプルな仕組みですが、非同期処理を組み合わせることで、より柔軟でスムーズな動作が実現できます。この仕組みを理解すると、JavaScriptの動作原理がより深く理解できるようになります。