Excelの「名前の定義」の使い方とLAMBDA関数との組み合わせ
Excelの「名前の定義」は、セル範囲や数式にわかりやすい名前を付けて管理を簡略化する機能です。この基本的な使い方と、新しいLAMBDA関数との組み合わせでさらに効率的に作業を進める方法を解説します。
「名前の定義」とは?
「名前の定義」を使用すると、セル範囲や数式に任意の名前を付けることができます。この名前を利用すれば、セル参照や計算式が簡潔でわかりやすくなります。たとえば、セル範囲「A1:A10」に「売上」という名前を付けると、数式内で「=SUM(売上)」と書くことができます。
基本的な「名前の定義」の使い方
手順
- 名前を付けたいセル範囲を選択します(例: A1:A10)。
- リボンの「数式」タブをクリックします。
- 「名前の定義」をクリックし、ダイアログボックスを開きます。
- 「名前」欄に任意の名前を入力します(例: 売上)。
- 「参照範囲」欄でセル範囲が正しく選択されていることを確認します。
- 「OK」をクリックして設定を保存します。
結果
セル範囲「A1:A10」を「売上」という名前で定義できます。これにより、以下のような数式が使用可能になります:
=SUM(売上)
※=SUM(“売上”)ではありません。
LAMBDA関数との組み合わせ
LAMBDA関数を使用すると、カスタム関数を名前の定義で管理できます。これにより、複雑な数式を簡単な名前で再利用可能になります。
LAMBDA関数とは?
LAMBDA関数は、ユーザー独自の関数を作成できる新しいExcel関数です。引数を指定して、任意の計算や処理を実行する関数を定義できます。
手順: 名前の定義でLAMBDA関数を設定する
- リボンの「数式」タブをクリックし、「名前の管理」を選択します。
- 「新しい名前」をクリックして「名前の定義」ダイアログを開きます。
- 「名前」欄に任意の名前を入力します(例: 税込計算)。
- 「参照範囲」に以下のようなLAMBDA関数を入力します:
=LAMBDA(価格, 価格*1.1)
ここでの価格は変数です。価格である必要はなく、xやyでも構いません。 - 「OK」をクリックして設定を保存します。
使用方法
名前の定義で作成した「税込計算」を使用するには、次のように記述します:
=税込計算(1000)
この数式は、1000円に10%の消費税を加えた値(1100)を計算します。
応用例: 条件付きで計算するLAMBDA関数
LAMBDA関数を使用して、条件付きの計算を行うカスタム関数を作成することも可能です。
例: 割引価格の計算
商品価格が5000円以上の場合に10%の割引を適用し、それ以外の場合は価格をそのまま返す関数を作成します。
手順
- 「名前の管理」から「新しい名前」を選択します。
- 「名前」欄に「割引価格」を入力します。
- 「参照範囲」に以下を入力します:
=LAMBDA(価格, IF(価格>=5000, 価格*0.9, 価格)) - 「OK」をクリックして設定を保存します。
使用方法
以下の数式で割引価格を計算できます:
=割引価格(6000)
この数式は、6000円に10%の割引を適用し、5400を返します。
注意点
- 名前には空白や特殊文字を含めることはできません(例:「割 引」は不可)。
- 「名前の定義」で作成したLAMBDA関数は、シート間で共通して使用できます。
- 複雑なLAMBDA関数を使用する際は、引数と計算ロジックが正しいことを確認してください。
まとめ
Excelの「名前の定義」は、セル範囲や計算式を効率よく管理するための強力なツールです。LAMBDA関数を組み合わせることで、独自のカスタム関数を作成し、作業の効率化をさらに向上させることができます。ぜひ活用してみてください。
使用した関数について

