Franz Liszt (1811-1886)
オーケストラ ピアノ① ピアノ② 歌曲 自作編曲 編曲① 編曲② 名曲選
このページはリストの編曲作品を紹介します。有名な作曲家の編曲作品は①です。 太字はとくに有名な作品です。何を聴くか迷った時は参考にしてみてください。
全ての楽曲のタイトルについて日本語に翻訳済です。
リスト名曲43選
リストの作品の中でも特におすすめで有名な名曲を43曲紹介します。
交響詩 第1番「山岳における自然の響き」 s.95
リストが新たに開拓したジャンル「交響詩」の第一作。標題音楽の先駆けであり、アルプスの山岳風景や自然の壮麗さを音楽で描写しています。力強い冒頭から始まり、穏やかな自然描写とダイナミックな山岳風景が交互に展開される構成が特徴です。
交響詩 第2番「タッソー、嘆きと勝利」 s.96
イタリアの詩人トルクァート・タッソーの生涯を題材にした作品で、彼の苦悩と栄光が描かれています。序盤の憂鬱なメロディはタッソーの悲劇的な人生を象徴し、中盤以降では勝利の喜びが壮大に表現されます。詩的で感情豊かな音楽が特徴です。
交響詩 第3番「前奏曲」 s.97
リストの交響詩の中で最も有名な作品です。アルフォンス・ド・ラマルティーヌの詩『詩的瞑想』に触発され、人生そのものを音楽で描いたものとされています。序奏部の神秘的な和音から、劇的な展開を経て、壮大なフィナーレへと進む構成が魅力です。力強い旋律と対位法の技巧が聴きどころです。
交響詩 第4番「オルフェウス」 s.98
ギリシャ神話のオルフェウスを題材にした作品で、叙情的で静謐な音楽が特徴です。冒頭のハープが神秘的な雰囲気を醸し出し、全体を通して繊細で感動的な旋律が続きます。オルフェウスの音楽の力が天と地を結ぶ様子を描いた、美しい作品です。
交響詩 第5番「プロメテウス」 s.99
ギリシャ神話のプロメテウスをテーマにした作品で、火を人類にもたらした英雄の苦難と栄光を描いています。冒頭は不協和音を多用した劇的な音楽で始まり、プロメテウスの苦悩を象徴しています。その後、英雄的な旋律が展開され、壮大なクライマックスを迎えます。
交響詩 第6番「マゼッパ」 s.100
ウクライナの英雄イヴァン・マゼッパを描いた作品で、ヴィクトル・ユゴーの詩に基づいています。激しい冒頭はマゼッパが馬に縛られて荒野を駆け抜ける情景を描写しており、力強く劇的な旋律が特徴です。中間部では一時的な静寂が訪れ、最後は英雄的な勝利を象徴する壮大なフィナーレで締めくくられます。
交響詩 第7番「祝祭の響き」 s.101
リストがイタリアを訪れた際に触発され、祝祭的な雰囲気を描いた明るい作品です。軽快なリズムと華やかなオーケストレーションが特徴で、人生の喜びや希望を音楽で表現しています。リストの交響詩の中では比較的軽やかな性格を持つ一曲です。
交響詩 第10番「ハムレット」 s.104
シェイクスピアの悲劇『ハムレット』を基にした作品で、デンマーク王子ハムレットの内面の葛藤を描いています。冒頭の不安定な和音と劇的な展開が印象的で、ハムレットの苦悩と疑念が音楽に表れています。中間部にはオフィーリアを象徴する静かな部分もあり、劇的な対比が際立つ作品です。
交響詩 第11番「フン族の戦い」 s.105
イタリアの画家ヴィットーレ・カルパッチョの絵画『フン族の戦い』に基づく作品です。フン族の攻撃的な性格を表す力強い音楽と、キリスト教的な救済を象徴する神秘的な部分が融合しています。リストの壮大な音楽的ビジョンが色濃く表れた交響詩です。
交響詩 第12番「理想」 s.106
フリードリヒ・シラーの詩『理想』に基づく作品で、人生の追求と理想の達成を描いています。冒頭は静かで哲学的な雰囲気を持ち、次第にドラマティックな展開を見せます。終盤では勝利と希望を象徴する壮麗なフィナーレが展開されます。
ピアノ協奏曲 第1番 s.124
リストのピアノ協奏曲の中で最も有名な作品で、全4楽章が切れ目なく演奏されます。冒頭の力強いテーマは作品全体を統一する動機として用いられ、技巧的で華麗なピアノのパッセージが際立ちます。第2楽章の優美な旋律と第3楽章の躍動感あふれる音楽が特徴で、終楽章では堂々としたフィナーレを迎えます。
ピアノ協奏曲 第2番 s.125
より詩的で内省的な性格を持つこの協奏曲は、単一楽章で構成されています。冒頭は静かで幻想的な旋律で始まり、次第にドラマティックな展開を見せます。繊細なピアノの表現とオーケストラの豊かな響きが融合し、抒情性と力強さを兼ね備えた名曲です。
ハンガリー民謡による幻想曲 s.123
リストの故郷であるハンガリーの民謡を基にしたピアノとオーケストラのための作品です。ハンガリーの民族音楽のリズムや旋律を活かしつつ、リストの独特な技巧的な書法が特徴的です。華麗で情熱的な音楽が展開され、リストの民族的なアイデンティティが感じられる一曲です。
死の舞踏 s.126
「怒りの日(Dies Irae)」の旋律を基にしたピアノとオーケストラのための作品で、死のテーマを劇的に描いています。ピアノの超絶技巧とオーケストラの重厚な響きが融合し、緊張感と恐怖感を伴った音楽が展開されます。ラフマニノフや後世の作曲家にも影響を与えた一曲です。
ファウスト 交響曲 s.108
ゲーテの『ファウスト』を題材にした3楽章構成の交響曲です。第1楽章はファウストの内面を描き、第2楽章はグレートヒェンの純粋さと悲しみを表現しています。第3楽章はメフィストフェレスのテーマを中心に進み、最後には「合唱」が加わり、壮大な終結を迎えます。リストの哲学的かつドラマチックな音楽世界を代表する作品です。
ダンテ 交響曲 s.109
ダンテの『神曲』を題材にした交響曲で、「地獄」と「煉獄」の2つの楽章から成ります。「地獄」では不安定な響きと激しいリズムが特徴で、「煉獄」では救済と希望の音楽が展開されます。終盤には女性合唱が加わり、天国を暗示するような神秘的な響きで締めくくられます。
前奏曲とフーガ「バッハの名による」 s.260
バッハの名前(B-A-C-H)を音名として取り入れたオルガン作品で、リストの作曲技術が発揮された重厚な一曲です。前奏曲はドラマチックで力強く、フーガは緻密で技術的な構造を持ちます。バッハへの敬意を表しつつ、リストの革新性を示した作品です。
超絶技巧練習曲 第4番「マゼッパ」 s.139-4-1
馬に縛り付けられたウクライナの英雄マゼッパの荒野を駆ける情景を音楽で描写した作品です。ピアノの技巧的限界に挑戦する激しいパッセージが特徴で、劇的で壮大な構成が魅力です。演奏者には非常に高い技術が要求されます。
パガニーニによる大練習曲 第3番「ラ・カンパネラ」 s.141-3
ニコロ・パガニーニのヴァイオリン作品「ヴァイオリン協奏曲第2番」の一部を基にした作品で、「鐘の音」を意味するタイトルが付けられています。軽快で華やかな旋律が繰り返される中、ピアノの技巧が最大限に発揮される一曲です。
パガニーニによる大練習曲 第6番 s.141-6
パガニーニの「24の奇想曲」の主題を基にした作品で、激しい技巧的要素が詰め込まれています。右手の急速なパッセージと左手の力強い和音が絡み合い、リストならではのダイナミックな音楽が展開されます。
3つの演奏会用練習曲 第3番「ため息」 s.144-3
抒情的で甘美な旋律が特徴の作品で、「ため息」というタイトルが示す通り、叙情性と繊細さが際立ちます。右手の装飾的なパッセージと左手の豊かな響きが絶妙に絡み合い、ピアノの表現力が求められる一曲です。
2つの演奏会用練習曲 第1番「森のざわめき」 s.145-1
自然を描いたこの作品は、リズミカルで動きのある旋律が特徴です。右手の流れるようなパッセージが森のざわめきを象徴し、ダイナミックな展開が音楽に深みを与えています。
2つの演奏会用練習曲 第2番「小人の踊り」 s.145-2
軽快でユーモラスな性格を持つ作品で、小人の踊りを連想させる跳ねるようなリズムが印象的です。技巧的な要素と遊び心が詰め込まれた一曲です。
巡礼の年 第1年 第4番「泉のほとりで」 s.160-4
フランツ・リストがスイスの自然に触発されて作曲した楽曲で、静かな泉の水音を思わせる繊細な旋律が特徴です。右手の流れるような音型と左手の穏やかな伴奏が、静謐な自然の情景を詩的に描き出しています。抒情性と瞑想的な雰囲気が魅力の一曲です。
巡礼の年 第2年 第1番「婚礼」 s.161-1
ラファエロの絵画「聖母の婚礼」から影響を受けた楽曲で、結婚式の神聖な雰囲気や祝福の感情を優雅な旋律で表現しています。右手の歌うような旋律と左手の穏やかな低音が、愛や幸福感を象徴するように進みます。内面的で抒情的な美しさが際立つ作品です。
巡礼の年 第2年 第5番「ペトラルカのソネット 第104番」 s.161-5
イタリア文学に触発されたリストが、詩人ペトラルカのソネットを音楽にした一曲です。抒情的で情熱的な旋律が中心で、リストのロマンティックな表現が詰まっています。右手の流れるようなパッセージと左手の支えがドラマチックな雰囲気を生み出します。
巡礼の年 第2年 第7番「ダンテを読んで」 s.161-7
ダンテの『神曲』に触発された作品で、地獄や煉獄を描いた劇的な音楽が展開されます。冒頭から激しい情熱と不安感を伴う旋律が広がり、リストの音楽的な深さと技巧が融合しています。
巡礼の年 第3年 第4番「ヴィラ・デステの噴水」 s.163-4
リストが訪れたローマのヴィラ・デステ庭園の噴水にインスピレーションを得た作品です。水の流れを連想させる繊細なピアノのパッセージと透明感のある音楽が特徴で、宗教的な静けさと自然の美しさが見事に表現されています。
詩的で宗教的な調和 第3部 第8番「葬送」 s.173-7
深い哀悼の意を込めた荘厳な作品で、重厚な和音とゆったりしたリズムが特徴です。宗教的な祈りのような雰囲気が漂い、悲しみと静けさが交錯する音楽となっています。終始静謐な響きが続き、リストの宗教的感情が色濃く表れた一曲です。
慰め 第3番「レント・プラチド」 s.172-3
「慰め」の中でも最も有名な作品で、穏やかで瞑想的な旋律が特徴です。右手の美しい旋律が優しく流れる一方、左手の簡潔な伴奏が安定感を与えています。簡潔な形式ながらも深い感情をたたえ、リストの抒情性が最大限に発揮された一曲です。
伝説 第1番「聖フランチェスコ:鳥への説教」 s.175-1
聖フランチェスコが鳥たちに説教をするという伝説を描写した作品です。右手が鳥のさえずりを表現する装飾的なパッセージを奏で、左手が静かな伴奏で支えます。自然と宗教が融合したような静謐で美しい音楽です。
伝説 第2番「聖フランチェスコ・デ・パオラ:波の上を歩く」 s.175-2
聖フランチェスコ・デ・パオラが奇跡的に海を歩いて渡る情景を描いた作品です。激しい波を想起させる左手の低音と、右手のドラマチックな旋律が特徴です。スケールの大きな構成とリスト特有の技巧的な書法が際立っています。
メフィスト・ワルツ 第1番 s.514
リストの「メフィスト・ワルツ」の中で最も有名な作品で、ファウスト伝説に基づき、メフィストフェレス(悪魔)が奏でる魅惑的なワルツを描いています。妖艶で狂気をはらんだ旋律が続き、リズミカルで技巧的なパッセージが魅力です。音楽的な緊張感とドラマが融合した一曲で、リストの才能が存分に発揮されています。
スケルツォと行進曲 s.177
この作品は、スケルツォ(諧謔的な楽章)と行進曲を組み合わせたユニークな形式を持っています。スケルツォ部分では軽快でリズミカルなパッセージが展開され、一方、行進曲部分は力強く荘厳な雰囲気を持っています。リストの技巧的でドラマチックな性格が強く表れた作品です。
ピアノ・ソナタ s.178
リストの最高傑作とされるこのピアノソナタは、単一楽章の中にソナタ形式やフーガなどの多様な要素を盛り込み、壮大なドラマを描いています。冒頭の低音の神秘的な動機から始まり、抒情的なメロディと激しい展開が交互に現れる構造が特徴です。音楽的・技巧的に極めて高度な作品で、リストの創造力が凝縮されています。
暗い雲 s.199
短いピアノ作品で、タイトルが示すように暗く不安定な雰囲気が漂います。不協和音や陰鬱な響きが特徴で、調性が曖昧な構成はリスト晩年の実験的な性格を反映しています。彼の革新的な精神が感じられる一曲です。
ワルツ・即興曲 s.213
軽快で遊び心に満ちたワルツで、即興的な性格が強調されています。流れるような旋律と変化に富んだ和声進行が特徴で、演奏者には繊細な表現力と流麗なテクニックが求められます。リスト特有の華やかさが魅力です。
調性のないバガテル s.216a
リスト晩年の作品で、調性を持たない楽曲の先駆けとして知られています。不協和音と独特な音の配置が特徴で、調性の枠を超えた響きが印象的です。彼の作曲スタイルが、後の現代音楽へ影響を与えた一例と言える作品です。
ハンガリー狂詩曲 第2番「レント・ア・カプリッチョ」 s.244-2
リストの「ハンガリー狂詩曲」の中で最も有名な作品で、華やかでダイナミックな構成が特徴です。冒頭のゆったりとした「レント」部分から、急速で情熱的な「フリスカ」部分へ展開される劇的な構成が魅力です。技巧的なパッセージと民族的な要素が融合した一曲で、演奏者にとって高い技術が求められます。
スペイン狂詩曲 s.254
リストがスペイン音楽に触発されて作曲した華麗なピアノ曲で、彼の民族音楽への関心が表れた作品です。スペイン舞曲のリズムやメロディを取り入れながら、ピアノの技巧的な要素が散りばめられています。華やかな構成と情熱的な旋律が特徴で、リストの色彩豊かな表現力を堪能できる一曲です。
ハンガリー狂詩曲 第2番 s.359-2
この作品はリストの代表的なピアノ曲で、ハンガリーの民族音楽に基づく情熱的な旋律とダイナミックな構成が特徴です。冒頭の「レント」部分ではゆったりとした民族舞曲の雰囲気を醸し出し、後半の「フリスカ」部分では急速なテンポで華麗な技巧が展開されます。最も有名なリスト作品の一つで、多くの演奏家によって取り上げられています。
愛の夢 第3番 s.541-3
リストの抒情的な一面を代表する名作で、甘美で感動的な旋律が特徴です。シンプルな構成ながらも、美しい旋律と装飾的なパッセージが織り交ぜられており、深い感情を表現しています。リストの作品の中でも特に親しまれている一曲です。
ハンガリー狂詩曲 第2番 s.621-2
ピアノ版をもとにリスト自身が編曲したオーケストラ版です。原曲のピアノの華麗さがオーケストレーションによってさらに壮大に展開され、管楽器や弦楽器の多彩な響きが民族的な情熱を強調しています。リストのオーケストレーションの才能が際立つ一曲です。
愛の歌 s.566
イタリアの作曲家サルヴァトーレ・マッレロの旋律を基に作られた作品で、優美で繊細な旋律が印象的です。リストの抒情的な側面が色濃く表れた楽曲で、静かな愛情と情熱が込められています。シンプルながらもリストの音楽的な深みを感じさせる一曲です。